凸凹渓谷の決闘 その1
都心郊外の、と、ある洞窟。
1人の男がここを訪れてきた。
「フーン、ここか」
長身でスタイルが良く二枚目。
小綺麗な身なりで、涼しげな顔。穏やかそうな性格。
イケメン、ナイスミドル、ハンサム。まあそんな感じで女性からはモテそうだ。
ところがどっこい!
この男・・・悪人。
悪人仲間たちからは、ミスターピーイー(P・E)と呼ばれている。
要するに「ミスターPervert(変態)」の略なのである。
フェチ趣味が高じて悪事に手を染めること数十年。
そして、もう1人男がいる。
(Thuban)「ようこそいらっしゃいました」
と、挨拶している男は、人間のスタイルをしているが妖怪である。妖怪商人。
名前はツバーン四世。
簡単に言うと人間の悪人に、御用の品々を売って利益を得ている。
悪人たちにはドラコメソッドという企業名で通っている。
妖怪なので、どちらかというと、悪事に加担する側だ。
この洞窟はツバーンの本拠地のようなものである。
人間を襲うだけの妖怪では、この目まぐるしく変わっていく世の中についていけなくなったのだろう。
それに悪が滅びることはないので、人間相手に商売をすると結構儲かる。
食いっぱぐれることもない。
こういう商売人が出てきても、なにもおかしくない。
というか、結構世知辛い世の中である。
この2人は、遠い未来に、いやいやごく近い将来に、
スーパーガールたち3人を倒すことになるのだが・・・今回の話は違う。
(Th)「少しご案内します。こちらにどうぞ」
歩いて行くと巨大な水晶のような物体が現われた。その中には・・・
(Pervert)「おい、薄気味悪いな。これは鬼か?」
(Th)「まあ、そんなところです。
これは『封魔石』と呼ばれていて、この鬼は妖力で封じ込められているんですよ」
大きな水晶の中では鬼が体をくねらせるようにしている。
正面には護符のような、お札が貼ってある。
(Pe)「おい大丈夫かよ。出てこないよな」
(Th)「大丈夫ですよ」
ツバーンが言うには、
昔エライ僧侶がこの鬼を封印したらしいとか。
そして、この封魔石も、よほど強力なもので、閉じ込められたものは、絶対にここから出られないそうだ。
それにもかかわらず、この鬼の妖気だけは、何百年もの間、少しづつ少しづつ、外に放出されているらしい。
この洞窟は、もれた妖気を吸いに妖怪たちが集まる場所でもあるそうだ。
弱ったり、傷ついたりした妖怪がこの妖気を吸うと回復するらしい。
(Pe) 「ずっと妖気がもれてるってことは、この鬼は相当強力な力を持っていたんだな」
(Th)「その通りですよ。しかしですね、最近になって、この鬼はどうやら死んだらしいです」
(Pe) 「死んだ?」
(Th)「妖気が出なくなったんですよ」
妖気をまったく放出しなくなったらしい。
(Pe) 「鬼でも死ぬのか」
(Th)「そうなんですよ、それで・・・」
ツバーンが言うには、新しい代わりを考えているということだ。
この妖怪商人は妖怪からの商いも受けている。
妖怪たちから『鬼の代わりを何とか都合してくれ』との要望が、ひっきりなしにきている。
(Th)「しかし、こんな鬼に匹敵するような妖気を持ったやつは、なかなかいないんですよねぇ。
まあ、あたりはつけていますが、それはまた機会があればお話ししますよ。
さて、今日の取引に行きましょうかね」
来客部屋に着いたようだ。
(Th)「それで、今回のご注文はなんでしょうか?」
(Pe) 「あのな、金はいくらでも出すが、そのちょっとな・・・」
ミスターピーイーは、もじもじしている。
(Th)「?」
(Pe) 「ちょっと言いにくいんだな。はずかしくて・・・」
ツバーンとしては、いまさらそんなことを言われても困るのだがね。
(Th)「なんなりといってくだされれば、たいていの物はご用意できますが」
ピーイーが言うには、女性のあれを集めたいと言っている。趣味でだ!
(Th)「ははあ、あれと言うとナニのことですね」
(Pe) 「そうだ、ナニだ。できれば本人がすぐに気がつかないような・・・」
(Th)「そうすると痛くないとか、血だ出ないとかだな。そうだな・・・」
ツバーンは考えていたが、
(Th)「あ、いいものがありますよ」
彼が持ってきたのは、赤銅色の十字架のようなものだった。
使い方はいたって簡単。
女性に向けてかざし、
『●●●子の●を切り取り、我が至宝と成したまえ』と、唱えるだけだそうだ。
場面はガラリと変わって、碧(あおい)のいる警察署。
(碧)「・・・との報告にありますように、
最近当署の管内において、不審な事例が多発しております。
・・・途中省略・・・
担当署員の方々におかれましては、速やかなる事件の解決に向けて、
より一層の奮闘努力を心がけて職務に当たっていただくようにお願いします」
以上、臨時会議終わり。
碧は執務室に戻る途中ずっと考えていた。
(碧)「またまた、おかしな変質者が・・・いやいや、変質者はもともとおかしいものだろう、あれ、なんだっけ?」
最近、女性が襲われる事件が立て続けに起きている件。
例えば、ある被害者の女性。
歩いていると、変な男、やっぱり変質者としか言いようがないだろう。
そいつが突然、十字架のようなものを突きつけてきて、
「誰ダレのナントカを切り取って、タカラがどうのこうの」と、言うらしい。
それだけ言って、男はサッと逃げていく。一瞬の出来事だそうだ。
大抵の女性は、恐怖というよりも呆然としているうちに犯人はいなくなってしまう。
そして少し落ち着いた頃になって気がつく。
「あ、大事な所がない!」
胸のポッチ部分と、アソコの突起が亡くなっている。
彼女は道で脅かされたのは事実だが、身体を襲われたわけではない。
これでは身体部分がなくなった理由の説明がつかない。
(碧)「もしこれが本当だとすると、人間業ではないでしょうに」
それから彼女たちは明らかに被害者なのだが、しかし・・・
警察に届けるのを躊躇(ちゅうちょ)、あるいは警察に相談に来ても具体的供述を渋るらしい。
つまり大っぴらにしたくないそうだ。
(碧)「それはそうだよね。『大事な所がなくなりました』なんて言えないよ」
警察の方も『それじゃ、その証拠を見せてごらんなさい』とは言いづらい。
はずかしいし、みっともないし、原因もよくわからないし。
とにかく女性にとってはあまり口にはしたくないのは確かである。
つまり事件の件数が多い割には、詳しい事情はあまりわかっていない。
(碧)「しかし、なくなっているのは事実だものなぁ」
そんなこんなで、捜査がさっぱり進捗しない。
しかし潜在的な件数だけはどんどん増えていってるようだ。
そこで、
(碧)「彼女たち知恵を借りてみようかな。何か知ってるかもしれない」
夏美と美穂に相談してみることにした。
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