凸凹渓谷の決闘 その6
状況的にはまだまだ有利で余裕のある悪人2人。
隙があれば踏み込んで、距離を縮めようとしてくる。
玉の呪力内に入ってしまえば、勝ちである。
たちまちにブルーの能力を吸い取ることができる。
「ほらほら」と、ツバーンが近づくとブルーはすぐに後ろに下がって、間合いをとる。
足場が悪いが間合いの詰め合いのようになってきた。
心配していた通り、ブルーはもう疲れてしまったようだ。
なんとか、水流を吹きかけているが、戦闘開始時に比べてあきらかに威力が落ちている。
威力が落ちた水流は、2人の前まで来ると、虹の玉の力に中和されて、さらに威力が・・・極端に落ちる。
ホースの水まきのような『チョロチョロ』という感じ。
こんなので2人を倒すなんて絶対無理だ。
ピーイーとツバーンはビショビショになったが動じない。
ブルーを倒すまでもう一息だ。
(美穂)「あーあ、ビショ濡れに勝機があるのかな?」
(夏美)「ないでしょ、たぶん」
ブルーは後ろに下がっているうちに、足場が極端に悪いところに追い込まれてしまった。
水の能力も、いや水鉄砲自体が出なくなった。
もはや間合いを取って逃げるだけだ。
夏美が「ブルー、川の中に逃げるのよ!」
しかしブルーは逃げようとする気配はない。
真正面からピーイーとツバーンに向かって構えている。
でも・・・「あっ」と、叫んでよろけた。
ツバーンは「今だ」とばかりに、間髪を入れずに走り寄った。
美穂と夏美が「あーっ、まずい!」と叫び声をあげた!
ツバーンはブルーの目の前で呪文をとなえた。
万事休す!
ピーイーとツバーンは思った。
これで、この女の能力も奪い取った。
あとは、十字架でナニもいただいて・・・
(Th)「ん?え!」
バシャーンとブルーはつぶれて水たまりになってしまった。
同時に後ろの方で、
(B)「どうしたの?」
ブルーがニコニコとしながら立っている。
(Th)「あ!」
この虹の玉は、能力は吸い取るが、本体が消えてしまうことはないはず。
後にブルーがいるということは、つぶれた水たまりは本体ではなかったのか?
なによりも別の場所にいきなり彼女が現れたのは?
(Th)「なんだ、今の現象は!」
少なくとも彼女の能力が消えていない証拠である。
(Th)「そんなばかな!それじゃ、こっちが本体か」
今度こそはと、手を前に突き出した。
持っている玉がブルーに触れようとした、まさにその時だ。
虹の玉はツバーンの手の上で『パーン』という音とともに砕け散った。
「あー!!!」
ツバーン、ピーイー、美穂、夏美が同時に声を上げた。
しかしツバーンはさすがに妖怪である。
起きた一連の現象を咄嗟に理解したらしい。
ピーイーを振り返ると、
(Th)「すぐに引き上げましょう。すぐにです」
(Pe)「え?」
ピーイーは何がどうなったかわからない。
美穂も夏美も同じだ。
ブルーはニヤニヤしながら「さあ、どうするの、お2人さん」
彼女はさっきからずっと立っているだけだ。
何かアクションを起こした気配は全然ない。
(美穂:いったい何をしたんだろう?)
これも不思議と言えば不思議だ。
ツバーンが右手を振ると再び傘が現われた。さらにふって開く。
ピーイーを中にかくまおうとしたが、
『パシーン』と音がして、ピーイーの手から十字架がはじけ飛んで、川の中に落ちた。
(Th)「しまった、遅かったか。残念」
ツバーンは傘でピーイーを覆うと閉じた。
2人は消えてしまった。
同時に・・・美穂と夏美はビクンとした。どんどん力がみなぎる感じがする。
「あ、能力が戻ったんだ」
すぐにイエローとグリーンに変身してみた。
「よかったぁ!」
立っていたブルーはシュルシュルと崩れて水たまりになってしまった。
(Y)「あれ?ブルーちょっと。どうしたのよ」
(G)「疲れちゃったのかな?」
「逃げられたか」
500メートルほど離れた茂みの中。
膝立ちでてライフル銃を構えていた者がいる。
ゆっくりと立ち上がったのはブルーであった。
「まあ、今回は仕方がないかな」
ブルーはライフル銃をしまうと、ゆっくりイエローとグリーンのところに歩いて行った。
(夏美)「それじゃなに。あんたライフル銃であの玉を撃ったの」
(碧)「そうだよ」
(夏美)「へぇ、そんなことができるの?」
(碧)「やって見せたじゃないの。あたしだって警察官だよ。射撃ぐらいできるよ」
本当は超能力で少し補正はしたが。
悪人たちは、当然超能力勝負で来ると思っていたが、
まさかライフル銃で玉を壊されるとは思っていなかったろう。
(碧)「だって近づけば、やられるし、この方が確実だと思ったの」
(美穂)「え、でもさ、あの2人と戦っていたブルーは?」
(碧)「あれは水で作ったレプリカだよ」
川に潜った時にレプリカを作り、本人は適当な茂みに移動していたわけ。
そしてレプリカをうまく戦わせて、適当な位置に誘い出し、玉を撃って壊したのだ。
(美穂)「どうみても戦っていたのは本物だったけど」
(夏美)「そうだよ。あのブルーは水の玉や水鉄砲を撃っていたよ。それも強力に」
確かに相当の破壊力もあったが、レプリカから水玉や水鉄砲を出したと言っている。
もちろんイシツブテも。
すべて茂みの中から本物の彼女がコントロールしていたのだ。
つまり碧は、レプリカの碧を作り、それをブルーに変身させて、
そのブルーを茂みの陰から操って攻撃させたのだ。
イシツブテや水の攻撃は全部陽動作戦!
美穂は少しうっとりするように「あんた・・・すごいんだね・・・」
(碧)「結構うまくいったでしょ。よかったよかった」
(美穂)「ねえねえ、最後にもう一つだけ教えてよ。
この渓谷を選んだのって理由があったの?」
(碧)「都心のドブ川に潜るのなんてイヤだ!」
一方、ピーイーの事務所ビルである。
(Th)「最後の詰めで、やられましたね」
(Pe)「まったくだよ」
ツバーンは「彼女たちは意外とやるな」と思った。
同時に「いずれ、私の商売の邪魔になるな。早いうちに手を打った方がいいだろう」
ピーイーのコレクションは、夏美が十字架を解析して術を解いてしまった。
女性たちのナニは持ち主の所に帰っていった。
もちろん、美穂と夏美のナニも。
しかし・・・
ツバーンは知恵者であり、ピーイーに意見をいれておいた。
(Th)「スーパーガールは必ず取り返しにきますよ。だから・・・」
念のため、コレクションのレプリカを作らせておいた。
本物ではないが、本物そっくりのレプリカは残っている。
丸々なくなってしまうよりはましかもしれないが、ピーイーは不満やるかたない。
本物ではないので、コレクションの価値は半減だろう。
(Pe)「この恨みは必ず晴らしてやる」
そしてツバーンと同じように、
「あいつらは早いうちに消しておいた方がいいな」と思ったのである。
凸凹渓谷の決闘 完
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