赤舌のオークション その1
オークション出品(予定)作品 全裸開脚美女 8体
榎本陽子 河上香織 小沼今日子 小原明子 中藤真理子 照橋京恵 沢田 愛 佐久田麻由子
これから始まる物語は『赤舌のオークション』と呼ばれている。
なぜこう呼ばれているのかは、水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎 赤舌の巻』を参照してもらいたい。
まず背景の描写から始める。
ここは某研究所の実験棟内である。
中央には円形のプールが設置されている。
直径は10m、深さは3mもあろうか。
プールといっても遊泳用ではなく巨大な実験用水槽と呼ぶ方が合っているだろう。
淡い青色の透明な液体で満たされており、コポコポと小さなあぶくが沸き立っている。
プール中央には浅い傾斜角のある円錐形の、つまりキノコのカサのような台が浮いており、カサのふちを液体の波がチャプチャプと洗っている。
このカサの直径は5mくらいで、回る、傾く、上下するなどの動きができるようになっている。
プールの縁の向こう側には、これははっきり水槽とわかるものが置かれている。
大きな水槽で、高さ3m×幅2m×奥行1mくらいといったところか。
8槽あって、水槽の中には円型プールの液体とは違う透明な液体で満たされている。
さらに、これらのプールと水槽の外側を取り巻くように観客席がグルリと設置されており、このプールや水槽の状況を見物できるようになっている。
客席は金持ちのような身分の者たちがほとんどで、これから始まるショーを、今か今かと待ちくたびれている。
研究所とは世間を欺くためのものであり、実際には、これから始まる次のようなことが頻繁に行われていたのである。
『ビー』というブザーの音が鳴り響くと、一瞬観客席のざわめきが消えた。
客席の中央あたりに司会者が現れて、
(司会)「皆様、大変お待たせいたしました。これよりオークションショーを開催します」
観客が固唾をのんで見守る中、舞台奥の方からクレーンにより、奇妙なものが運び込まれてきた。
『キーキー』という音とともに運ばれてきたものは、直径3mくらいのプラスチックの円板だ。
正確に表現すると、円板の中心には長さ2mくらいのポールが突き立っていて、その先端が鎖でクレーンにつながっている。
そしてこの円板の上には8人の女性がのっている。
彼女たちは湯上りのような恰好で、体にはバスタオル1枚しか巻いていない。
全員しゃがみこんで小さく丸くなっている。
片手で落下しないようにポールをつかみ、もう片方の手でバスタオルをしっかり押さえている。
不安定にユラユラしながら、キノコのカサ(以下ステージと記す)に近づいてきた。
(司会)「ほらほら、円板の上の皆さん、あんまり動くと落ちますよ。動かないで動かないで」
司会の言う通り、柵は無いので、気を付けないと下のプールに落ちてしまう。
(今日子)「私たちをどうしようっていうのよ」
(愛)「お願い、助けてよ」
悲鳴のような叫び声が上がるが、そのたびにプールの外の観客席からは、笑い声や拍手が起きる。
やがて円板はプール中央のステージの真上で止まり、8人の女性たちはその上に降ろされた。
ステージの周りはもちろん液体のプールであり、動けるのはこのステージ上のみということになる。
(麻由子)「一体何を始めようっていうのよ!」
ステージの上から再び叫び声が上がる。
(司会)「まあまあ、あわてなくとも、これから説明いたしますから。ともあれ、客席の皆様も、まずこれをご覧ください」
『キーン』という音とともに、クレーンがまた何かを運んできた。
さっきの円板と同じ形状であるが、一回り小さく、上に何かいる。
(京恵)「あ、ネコがのってる」
(麻由子)「本当だ、かわいい」
(司会)「そうです。この円板の上には一匹のネコがのっています。そしてよく見ていてください」
クレーンに吊るされた円板は彼女たちのいるステージまでは来なかった。
液体のプールの上で止まり、ブラブラと揺れている。
(愛)「プールに落ちちゃう」
しばらく間があり、彼女たち固唾をのんで見守っていたが、
『ガコッ』
突然クレーンが揺れ、ネコはたまらず、円板から振り落とされてしまった。
ネコは『ギャッ』という声を発し、プールの中に落ちてしまった。
あっという間に沈んでしまい、そのまま浮いてこない。
(今日子)「なんて、かわいそうなことをするのよ」
他の彼女たちも『そうだそうだ』と叫んでいる。
(司会)「それでは、今度はこの哀れなネコちゃんを拾い上げて差し上げましょう。それっ」
『キーン』という音とともに、先ほどとは形状の違うクレーンが出てきた。
先端に2本のガッチリとしたアームがついている。
(真理子)「今度はなんなの」
(愛)「手がついてるから、拾い上げるんじゃないの」
アームのついたクレーンは、ネコが落ちたあたりで一旦停止した。
そして位置や角度を微妙に調整し、プールの中にアームを入れて・・・
「・・・」
しばらくすると、ネコは上がってきた。
片方のアームが右の前足、もう片方のアームが左の前足を挟んで『ブラーンブラーん』と。
しかし『水面上に出てきたネコ』を見た瞬間、彼女たちの口から驚愕の声が上がった。
(今日子)「なんで?、一体どうして?」
(明子)「ええっー、なんなのよ、あの格好は!」
持ち上げられてきたネコの格好、いや形といった方がいいか、が、えらく奇妙だったからである。
ネコは、両前足、両後足を、ビーンと外側に伸ばしたような恰好になっている。
(司会)「すばらしいでしょ、皆さん。どうですか。このネコの格好」
ネコの開きとでもいうか!
ネコの骨格上、敷物のように完全に平べったくはなっていないが、思いっきり伸び広がった格好とは言えそうである。
(愛)「どうしてああなるのよ」
(司会)「ご説明いたしましょう。この薬品はですね、触れると筋肉が硬直し、カチカチに固まってしまうのです。
そして手足が限界まで開いてしまうというわけなのです。どうですか、わが社の科学の粋を集めて開発した製品は」
(京恵)「な!」
(真理子)「・・・」
彼女たちが、ネコの開きを驚きの表情で見つめていると、
(司会)「どうぞどうぞ、お手に取ってみてください」
その言葉に、皆、バスタオルを抑えつつ恐る恐る近寄ってくる。
(明子)「信じられないなぁ」
(今日子)「本当に動かないほど固くなってるの?」
真理子と京恵が手を出し、ネコの前足を動かそうとした。
ネコ毛はともかく、ボディ、筋肉は、ガッチガチでピクリともしない。
(京恵)「固いよこれ。本当に固まってる」
2人はさらに力を入れて動かそうとする。
(京恵)「なによこれ・・・いっ!」
(真理子)「本当にカチンカチ・・・痛いっ!」
あわてて固まったネコから手を放した。
いや、痛さのあまり放り投げてしまった。
『ゴトゴトッ、ゴトゴト』
ネコは開きの格好のまま、2回ほど転がってひっくり返っている。
(今日子)「いったいどうしたの」
2人の指はピーンとなり少し突っ張ったようになっている。
(真理子)「痛かった!突然痛みが」
(京恵)「ね、電気に触れたみたいだったね」
両人とも手をブラブラと振っている。
(司会)「おっとぉ、人間でもこの液体に、長く触れてると非常に毒ですよぉ」
「えっ」と彼女たち、司会の方を振り返る。
(司会)「あんまり長く触れていると、薬液が体に浸透して、触れている人も固まってしまうんですぅ」
(今日子)「な、なにをふざけたことを言ってるのよ」
(司会)「冗談ではありませんよ。あなたたちがこのプールに落ちてしまったらどうなるんでしょうね。
たぶんそのネコちゃんみたいになってしまうんでしょうねぇ」
「冗談でしょ」
陽子が悲鳴のように叫び、
「お願い、もうやめてよ。私たちを助けてください」
愛は許しを請うように言ったのだが・・・
(司会)「それではショーを始める前に、彼女たちにバスタオルをとってもらいましょう」
突然、霧状になった薬液が彼女たちの上にサラサラと降ってきた。
最初は不安そうに見上げ、しかしそれでも気丈に、
(陽子)「な、なんなのよ」
(愛)「バスタオル、はずせるわけないでしょ」
(京恵)「なんで裸を見せなきゃなんないの」
と、口々に言って、かかってくる霧を手で避けようとしたり、バスタオルを押さえ直そうとしたりしていた。
だがしかし、バスタオルはすグに霧を吸いはじめ、薬液が直に肌に触れるようになった。
(陽子)「あぅ!うわっ!痛い」
(愛)「あっぅ!い、痛い」
(明子)「うゎー、もうやだ!」
結局最後は、全員がバスタオルをはずした。
いや、はずさざるを得ない状況に追い込まれてしまったのだった。
泣きだしかけている者、観客をにらみつけている者、しかし心情は皆同じ。
不安と恐怖と羞恥!
(明子)「卑怯だよ!」
(麻由子)「どうしてこんなことするの」
全裸になってしまった彼女たち、胸や股の大事な所を両手でガッチリと隠して、しゃがんだような恰好をしているわけだ。
せめて見られる肌の面積も最小限にしようとね。
いやらしい観客たちなんぞに『大事な所だけは絶対に見せてたまるものか』とでもいうように。
- 1 -
*前次#
物語の部屋 目次へ