異聞、妖術合戦 その1
ここはツバーンの洞窟内、つまりドラコメソッド協会事務所である。
男が訪ねて来ている。
彼の名前は傀儡鬼(くぐつき)。妖怪である。
ツバーンのお得意様であり、旧知の中でもある。
(Th)「ようこそいらっしゃいました。お久しぶりですね」
(傀儡鬼)「おお、久しぶり。元気そうだな。
で、早速なんだがな、次のような呪具が欲しいんだ。あるかな?」
今回の相手はこの傀儡鬼。さてどんな展開になりますやら。
3人宛に奇妙な招待状が届いた。
(
碧)「え、スーパーガール展?」
某博物館の5階フロアーにおいて。
スーパーガールの偉業を称(たた)えた、展示会を開催するという内容である。
蝋人形を飾るので『是非ともご来場いただきたい』とも書いてある。
(碧)「蝋人形って・・・全然聞いてないよ、そんな話は」
碧は憤慨して騒ぐが、そもそも許可は必要なのであろうか?
(碧)「どうやって、体のサイズを測ったんだ!」
突っ込みはそこかよ!
美穂と夏美も「あたしたちも知らないよ」
碧は気持ち悪がっていて、
「ああいやだ!」と騒いでいるが、気になる事はまだある。
もしかして「あたしたちの正体が全部晒されているとか」
もっと気になることは、
(美穂)「主催は・・・へ?」
これは驚きだ。
(美穂)「主催者は・・・悪人協会って、悪人が主催なの?」
招待状にはそのように書いてある。
どうどうと開催するようだが、一般の人はまさか『悪人協会』が本当に悪人の組織とは思わないだろう。
冗談でわざとそんな名を付けている、とね。
そこまでして招待状を出してくるからには、何か目的があるに違いない。
ワイワイと話を続けていたが、行ってみることになった。
興味が半分。残りは悪人たちが何かやらかさないかという心配のためである。
(美穂)「どうしたのよ?」
夏美は浮かぬ顔をして考え込んでいる。
(夏美)「いやちょっとね。蝋人形か・・・」
休日になった。
3人は待ち合わせて博物館に向かったのだが、夏美が途中で飴を舐めだした。
碧と美穂が見ていると、彼女は2つとり出して、
「あんたたちにもあげる」と言う。
2人は「あ、ありがとう・・・」と受けとったが、すぐに舐めるつもりはない。
バックにしまおうとすると、
(夏美)「あ、ダメだよ。今すぐに舐めてよ」
(美穂)「え、なんでよ?」
今は舐めたくないからと言ったが、
(夏美)「いいからさ。いいことがあるよ」
少し強引で、いつもの夏美らしくないな。
目力がすごい。なにか思いつめた目つきをしているようで断わりにくい。
しかし、たかが飴ぐらいのことで、言い争っていてもつまらない。
美穂と碧は、渡された飴を舐めることにした。
(碧:別に舐めたいとは思わないんだけどな・・・)
でも飴は・・・おいしかった。
博物館が見えてきた。が、またしても夏美はおかしなことをしている。
建物前に植えてある茂みの中に何か置いている。
碧が「何やってるのよ?ゴミを捨ててんの?」
(夏美)「違うってば。護符のカードだよ。役に立つんだよ、これは!」
(碧)「はぃぃ?護符?何を言ってるのかしら?」
(夏美)「まあ、いいからいいから。気にしないで。さあ行こう」
2人を押すようにして、ルンルンと鼻歌交じりで歩いて行く。
美穂と碧は顔をあわせて「おかしいよね。夏美ったら」
さて、スーパーガール展と銘打っていたが、実際のところはどうであろうか。
入館者は多かったが、なぜかそのフロアーには誰もいなかった。
あれだけ大々的に宣伝していた割には少し変な気もする。
しかしじっくりと好きなように見学するのには都合が良い。
案内の通りスーパーガールの蝋人形が展示されていた。
しかも全部で14体!等身大で実に精巧にできている。
(夏美)「こんなにいたんだ」
碧が涙ぐみながら見ているのは、美代子と真理子の蝋人形だ。
(碧)「真理子、美代子さん・・・」
赤と青のベネチアンマスクをして、腰に手を当てて颯爽(さっそう)と立っている。
ベネチアンマスクをとって顔を見てみたいが、もちろん展示エリア内への立入は禁止だ。
ロープが張ってあって、それより内側には入れない。
碧はじっと見つめているが、とうとう我慢できなくなったのか・・・
美穂と夏美は別の蝋人形を見ながら、
(夏美)「これさ、どうやってこんなに集めたんだろ」
集めたというよりも調べたと言った方がいいのかもしれない。
彼女たちも知らない人ばかりだ。それに、
(美穂)「マスクの下も本物に似てるのかな?」
これだけ精巧なら、顔についても本物そっくりであろう。
でもベネチアンマスクをつけているので素顔は見えない。
さらに気になっているのは、
(夏美)「まさか、ベネチアンマスクは本物じゃないよね」
(美穂)「どうだろう。あ、こら!」
夏美がちょっといたずらをしている。
『変身!』と、グリーンに変身して、
置いてある観葉植物に手をかざし「伸びておいで」と、言っている。
伸びた観葉植物は、奥の蝋人形の1つからベネチアンマスクをはずして持ってきた。
(美穂)「どうかな」
(夏美)「やっぱり本物ではないよ」
ベネチアンマスクはレプリカであった。
碧は2人のところに戻ってきたが、
(碧)「切ないよね。やりきれないや」
展示されてるのは、美代子と真理子の蝋人形だけではない。
歴代・・・全部で14体ほどと書いたが、
赤色のベネチアンマスクが3体、黄色が2体、青色が3体、緑色が4体、そして黒色も2体ある。
これだけの人数が過去に命を落としたことになるのか・・・いや少し訂正。
黄色、青色、緑色、各1体は、ご存命(ぞんめい)中である。
つまり、美穂と碧と夏美の蝋人形も展示してあるのだ。
彼女たちの3体だけは、少し離れたところに置いてあった。
(美穂)「あたし達のも、やっぱりあるんだね」
現在活躍中の彼女たちのも展示したかったのだろう。
(G)「どれどれ」
グリーンは再び観葉植物に術をかけて、
「ちょっとマスクをはずしておいで」と、緑のベネチアンマスクをはずしてみた。
(G)「どう、似てるかな?」
蝋人形は夏美と瓜二つ。そっくりだった。
しかし蝋人形はやっぱり蝋人形。
テカテカした顔や肌をしていて、人間の皮膚感とは全然違う。
しかし碧が妙な事を言っている。
(碧)「でもあっちにあったのとは質感がぜんぜん違うね」
(美穂)「違うって何が?」
向こうに置いてある人形の肌の質感は、人間の皮膚そのままだったと言っている。
(碧)「人間をそのまま人形にしたみたい」
それに比べると、こっちの3体は蝋人形らしい蝋人形だ。
向こうとこっちでは素材や作り方が違うらしいのだが。
ところで、この3体は顔だけではない。体形もほぼ、いや完璧に同じだ。
碧は腹が立つらしく、先日の話を蒸し返しだした。
(碧)「誰が作ったんだ!あたしは協力した覚えはないぞ」
さらに「どうしてこんな精巧な様子がわかるんだ」
さらに続けて「どうせコスチュームの下もそっくりなんだろう」
グリーンは夏美に戻って「ん?やっぱり・・・かな・・・」と、何かつぶやいている。
(美穂)「どうしたの」
夏美は首をかしげてニヤニヤしだした。
(夏美)「いやちょっとね」
(美穂)「ねえ、あんたどうしちゃったの。さっきも変な事してたし、昨日からおかしいよ」
(夏美)「いや、なんでもない。そろそろ行こうか」
しかしどうやら、夏美の感は当たっていたようだ。
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