鬼の復活話 その8
3人が行方不明になってからすでに一週間。
警察では彼女たちも、例の行方不明事件に巻き込まれたに違いない、と考えている。
しかし真相は謎のまま。捜査は難航して行き詰っている。
大方の予想では、
「彼女たちの件も、このまま迷宮入りになってしまうだろう」
そして、行方不明事件はさらにエスカレートしていった。
鬼たちは食べたい放題で、一昨日は6人、昨日は5人と女を喰らっている。
今まで封じ込められていた憂さを晴らすかの如く、すさまじい食欲だ。
このままでは女性がいなくなってしまう。
そして今日も5人の女性が、餌食となった。
「助けてぇー」と、叫び声もむなしく、ペチャンコにされて鬼たちの食卓に上った。
鬼たちは、今日も満腹になって
寛いでいる。
(赤介)「いやあ、さっきの女たちもなかなかうまかったな」
スーパーガールを食してから完全に復調したようだ。
元気はつらつ!
(青之)「明日は、もう少し大勢人がいる所に行って・・・うん?変だな?」
(赤介)「どうかしたのか。あれ、おかしいな」
青之がキョロキョロと「おい、なんか部屋の様子がおかしいな。あれ、あ!」
赤介も目をこすりながら「なんだ。これはどうしたっていうんだ!」
部屋の空間がゆがみ、部屋が揺れて回っているようだ。
(黒彦)「あ、うゎ、うゎあー」
鬼たちは目が回り始めた。立ち上がったが、立っていられない。
「た、助けてくれぇー」
まるで何かに吸い込まれるように、猛烈な勢いで、窓を破って飛んで行ってしまった。
鬼たちが吸い寄せられた場所は封印石の所だった。
なんと封印石は元通りになっている。
鬼たちは何もできないまま、地面の穴の中に吸い込まれてしまった。
スーパーガールを簡単にあしらうほどの強さではあったが、こうなるともうどうしようもない。
それにしても、誰が石を元通りにしたのだろうか?
石から少し離れたところで2人の学生が座って休んでいる。
こんな山奥にわざわざやってきた2人。なんで?
(佐藤)「おい、今なんか変なのが飛んでこなかったか?」
(鈴木)「気のせいだろ。ああ気持ちがいい」
鳥が鳴いて、風がそよいでいて、いいお天気だし。
(佐藤)「こんなところにわざわざ人は来ないだろ。俺たちだって単位のためじゃなきゃ、こんなところ来ないよ」
(鈴木)「まあな。ところで、これでいいのかな」
(佐藤)「指示通りだろ。あれれ?見てみろよ!」
ベネチアンマスクがいつの間にか落ちている。
鬼が封じ込められたことによって、鬼の呪縛が解けたのである。
一週間前のあの日である。
美穂は2人の学生を前にして説明を始めた。
1人は都合のいいことに山岳部だとか。山歩きを趣味にしている。
もう1人もたまにハイキング程度で山に登っているそうだ。
(美穂)「もしあたしが一週間、いい、一週間たっても戻ってこなかったら・・・」
例の場所に行って、石をもとどおりにしてくれと指示を出した。
(鈴木)「い、石ですか?」
(佐藤)「元の場所に戻すって?」
封印石の場所を記した地図を渡して、さらにくわしく説明指示する。
「たぶん石がころがっているはずだから」「あたしがいなくなったら、とにかくできるだけ早くね」
さらに、くどいほど「必ずお願いよ」と、念を押しておいた。
「はあ・・・ぁ?!」
2人は、そのようなことをする理由がよくわからないが、先生からの指示である。
そうすれば単位をくれるというし、これは受けざるを得ない。
そして美穂の言葉通り、彼女は3日目から行方不明になってしまっていた。
2人はベネチアンマスクを拾い上げて見ている。
(鈴木)「これがベネチアンマスク?」
(佐藤)「想像してたのとは、全然違うな」
ベコベコのマスクが落ちている。
へこんでいたり折れ曲がっていたりと、まるで壊れた金属細工のようだ。
でもここまでは、美穂先生の説明通りのことが起きている。
石を元に戻すとベネチアンマスクが現われるはず、とね。
(鈴木)「で、どうするんだっけ」
(佐藤)「呪文を唱えるんだろ」
それぞれが、黄と緑のを持って「変身」と、唱えた。
するとあたりがまぶしいくらいに光り出した。
(鈴木)「うわ、なんだなんだ」
閃光がやむと、イエローとグリーンが立っていた。
いやいや転がって倒れていた。
エネルギーをほとんど吸い取られてゼイゼイと喘いでいる。
(鈴木)「あ、スーパーガール!」
2人を抱き起して、
(G)「こ、ここはどこ?」
(Y)「あ、あたしたち助かったの」
学生たちは経緯を説明する。
(鈴木)「というわけで、先生がこうしろと・・・」
(佐藤)「あのぉ、先生はどこにいらっしゃいますか?」
(Y)「か、彼女は大丈夫よ。別の場所で保護してるから」
話を聞いていたグリーンがコソコソと、
(G)「イエローあんた考えたね」
(Y)「へへへ」
(鈴木)「すぐに助けを呼んできます」、
(Y)「いやそれよりも、何か食べるものを頂戴!」
鬼の呪縛は完全に解けたようである。
ベンチアンマスクもいつの間にか元に戻っていた。
鬼は再び封じ込められた。
封印石のまわりに、今度はグリーンが強力な結界を追加して囲んだ。
これで人間でも簡単には動かすことはできないだろう。
地団駄を踏んだのはピーイーとツバーンである。
(Th)「やっぱりあのマスクは鬼などにやらずに別に封印して隠しておくんだった」
後の祭りである。
後日、いつもの喫茶店で3人が話をしている。
(碧)「しかし、今回は危なかったな」
(美穂)「本当だよ。潰されて食べられてしまうとはね」
全然、
敵わなかった。
(美穂)「ああいいうのと戦うのはもうごめんだな」
(夏美)「まったくの同感」
美穂の機転がなければあのままだったろう。
「まあ、とりあえずお祝いしよう」
いろいろあったが、結果オーライである。
まずは目出度し目出度しなのであった。
鬼の復活話 完
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