妄想別館 弐号棟


伝説の美魔女 その1


学園祭実行委員会室には一枚の写真が飾ってある。
どんな写真かというと・・・
今回は美魔女のお話である。

「はぁーやく!あ、それ!はぁーやく!」
会場から怒涛のごとく沸き上がる歓声。
祥子は舞台ステージの袖で呆然と立ちつくしている。
頭からは血の気が引いていく。
しかし同時に、全く逆の現象ではあるが、
顔が真っ赤に上気しているのも感じる。
(祥子:絶体絶命だわ!どうしよう)
もはや逃げだすわけにはいかない。
会場のボルテージはどんどん上がっていく。
そしてついに、覚悟を決めた。
(し、しかたないわね)
ここは星空学園大学の中央キャンパスの内。
そして本日は学園際の最終日である。
佳境に入り、さまざまなイベントがあちらこちらで行われている。
どこもかしこも盛況また盛況。
そして祥子を巻き込んで異様に盛り上がっているこの会場。
きれいに彩られたイベントの看板には次のように書いてある。
『この中に1人だけ50代の人がいます。それは誰でしょう?』
何かのCMのパクリイベントみたいだが・・・

数日前に戻る。
祥子と娘の怜の会話。
(怜)「おかあさん、うちの文化祭に出てみない?」
(祥子)「うちの文化祭に来ない?・・・じゃないの?」
(怜)「出てみるのよ」
(祥子)「なんのことかな?」
話の概要はこうだ。
上述のイベントを行うにあたって、50代の女性を募集しているとのことであった。
祥子は先月50歳になった。
しかし実に若く見える。いわゆる美魔女なのである。
顔つきは30代、いやいや、見ようによっては20代にも見えないこともない。
またスラりとした長身で、若いころからの体形もほとんど変わっていない。
「いつまでも美しいままでいたいわ」
お肌のお手入れなんかの時も結構高級な化粧品を使っているし、
常日頃からダイエットや体を鍛えることも怠っていなかった。
まあ、それなりに投資や努力をしてきた成果であろう。
(祥子)「ふーん。で、どうするの?」
他の3人については他校生の出演者がすでに決まっている。
あと1人、50代のゲストの4人で舞台にあがってもらい、誰が50代の人かを会場の挑戦者に当ててもらうという内容である。
(祥子)「50代、50代って言わないでよ」
(怜)「まあまあ。それでね」
イベントの性格上若く見えなければ意味がない。
(祥子)「まあそうだろうね」
(怜)「そういうわけだからさ。それにね」
出演者には相応な商品券のようなものがもらえることになっている。
さらにスペシャルゲスト(50代)には別に高額の参加賞もでるそうな。
(祥子)「えーでもはずかしいなあ」
しかし話を聞いているうちに興味が出てきた。
言っていることとは裏腹に、自分の美貌(と本人は思っている)がどれくらい世間に通じるか知りたい気もしてきた。
(怜)「お母さんが出てくれれば、きっと盛り上がると思うよ」
(祥子)「そうだね。暇だしな。たまに学園祭のようなものを見に行くのも悪くないな」

そしてイベント当日。
祥子はイベント会場の入口までやってきた。
(祥子:なんかこんな所にいるなんて場違いで変な感じだな)
叫びながらあれこれ指図している責任者みたいな生徒に声をかけた。
(祥子)「あのぉ・・・」
(責任者)「はい、なんでしょう?」
(祥子)「私、高橋 怜の母なんですけど。今日こちらに来るようにと・・・」
彼氏は驚いた。
(責任者:わ、若い!)
いや、こんなに若くて(実際は50歳)美人だとは思っていなかったようだ。
(責任者)「はーぁ、お、お、お忙しいところをありがとうございます。こちらへどうぞ」
控室に案内されて、他の3人の出演者を紹介された。
(祥子:ハー、みんなさすがにきれいね)
しかし祥子を見た3人も驚いた様子である。
(薫:う、きれい)
(なつみ:若いっ!若く見える)
(るい:すっごくすてきだな)
他の3人を一応紹介しておくと、1番、吉村なつみ、3番、龍田るい、4番、長沼薫。
2番が祥子の番号である。
続いてイベント進行についての説明が簡単にあった。
(責任者)「衣装は同じものをそろえています。4人とも同じものを着て、最初はマスクをしてください」
やや大き目なマスクを渡された。
(祥子:顔を見せると歳がすグにバレちゃうからかな?)
(責任者)「その後質問タイムがあって、マスクをとってもらって、素顔を見せてもらいます。
      そして、もう一回くらい質問タイムがあって、回答者に答えてもらう予定です」
まあ難しく考えなくても、司会者の指示に従っていれば良いようである。


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