妄想別館 弐号棟


イエロー奮戦記 その8


グリーンはハッと気がついた。
(G)「あたしは今までいったい・・・」
辺りには、女性たちがフラフラと歩いている。
石にされた人たちだろう。術が解けて復活したのに違いない。
(G)「あっ、ブルー!」
少し向こうにブルーが倒れている。
(G)「ブルー起きて、起きてよぉ!」
グリーンは走り寄って彼女を揺さぶる。
(B)「ハッ、グリーン。ここは?そうだ、あたしたちは首にされてたんだよね」
そうするとメデューサを倒したのは・・・
(B)「あ、あああー!あれはぁ・・・!」
それを見てグリーンもハッとした。

異様なものが転がっている。
イエローとメデューサがつかみ合っているような格好で。
2人は急いで駆け寄ってみる。
イエローは完全な石像になっている。でもなぜか満足そうに微笑んだ顔をしているのだが・・・
(B)「どうしちゃったんだよ。美穂、元に戻って!」
一方、メデューサはというと・・・
こっちは光の塊のようになって光っている。
(B)「これはなんなの?」
グリーンもよくわからない。
光の・・・光の塊?って、
2人を含めて、他の人たちの石化が解けているということは・・・メデューサの妖力がなくなっているのは確かだ。
(B)「それなら、なんでイエローは元に戻らないのよ!」
(G)「とにかくまず、メデューサを封じることが先だよ」
彼女は呪文を唱えると、メデューサを護符に封印して、とりあえず動けないようにした。
これで彼女は護符の中から出られない。
あとは、メデューサの体を砕いて、結界を張った壺に入れて封じてしまえばよい。
グリーンは、フッと息をついて「メデューサの妖力はこれで完全に消えたはず」と、言っている。
ところが・・・ブルーは石像にしがみついて叫んでいる。
(B)「美穂、お願いだから元に戻って!」
イエローは石になったまま元に戻らない。
グリーンも焦りだした。
(G)「まさか・・・ これで大丈夫、大丈夫のはずよ」と、石像を撫でている。
しかし彼女の手も震えている。
(B)「何が大丈夫なのよ!戻らないじゃない!」
(G)「メデューサの妖力がなくなったんだから、美穂は元に戻るはずなんだよ。たぶん・・・」
(B)「たぶんって何よ!そんなあやふやな!」
(G)「そんなこと言ったって!あたしだって、どうしてこうなってるか、わかんないんだよぉ!」
(B)「あんた妖術使いでしょ。なんとかしてよ!」
ブルーは泣きそうだが、グリーンも泣きそうだ。

少し前の場面である。
(Y)「2人はまだ目を覚まさないか。よく眠ってるな、まったく」
イエローがホッとして、2人に近寄ろうとした時、
「残念だったな」と、声がした。
メデューサは元通りになって立っている。
(Y)「ウソ! 生き返ったの!」
(Me)「あたりまえだよ。そう簡単には死なんさ。
まあ、気を失って術がすべて解けてしまったのは不覚だったがね。礼はキッチリさせてもらうよ」
イエローは覚悟した。メデューサに向き直ると、ポツリと言った。
(Y)「簡単に勝てる相手ではないとは思っていたけどさ・・・」
(Y:やっぱり相打ちで倒すしかないな)
こういう事態も予想はしていた。
(Y:ブルーとグリーンが生き返っている。なんとか2人だけは生きて逃がさなくちゃね)
それにグリーンの方がイエローより対妖術については絶対に分がある。
(Y:あたしが倒されても夏美が生きてさえいれば、メデューサに対抗できる)
イエローは再びフルパワーになり体を光らせた。
そして、何かをとり出して体にかけた。
メデューサは何をしているのか不思議そうに見ている。
イエローもメデューサも、もうほとんど超能力や妖力を使い切っている。
宮殿内の妖力も消えた。メデューサも次に石になったら、もう元には戻れないだろう。
もっともイエローがメデューサを倒せればの話だが。

(Y)「あたしは死ぬかもしれないけれど、あんたも道連れだよ」
(Me)「ほう、面白い。どうするんだ」
イエローはいきなり組み付いてきた。
メデューサは意表を突かれたが、動じるまでもなく、
(Me)「お、力技でくるか。あたしと」
イエローはすぐに押さえつけられたが、
「あ!」体をバラバラの光の塊にしてまわり吹き飛ばした。
(Me)「あ、逃げたのか」
いや違う。すぐに再生して立っている。光人間のイエローである。
(Me)「そんなこと続けてても、あたしには勝てないよ」
(Y)「いいから、石化光線を撃ってきなよ」
(Me)「あぁ、何を言ってるんだ?」
メデューサは首をかしげる。
(Me:光になってかわすつもりか?それともまた、全身鏡になって反射させるつもりか。でも待てよ・・・)
彼女を押さえつけて、ごくごく至近近距離から全力の全力で放射すれば・・・
メデューサの目から放った石化光線の方が、イエローの体で反射された石化光線よりも、わずかだが威力があるだろう。
ほんのわずかな時間差だが、イエローの方を早く石化してしまえる。
先に相手を石にしてしまった方が勝ちである。
勝った方は石になっても、じきに石化が解けるし問題ない。
そして今、この状況は絶好のチャンスだ。
(Me)「それじゃ望みどおり石像にしてやる」
メデューサは飛びついてイエローを抱き抑えると、フルパワーで怪光線を発射した。
(Y)「そうよ、それでいいのよ」
その瞬間、イエローも目から怪光線を発射した。
こんなことは今までのイエローはできなかったのだが・・・これはなぜ?
(Me)「うっ、鏡じゃないのか?」
(Y:相打ちか。あたしの力じゃ、これが精一杯のところだな)
近距離から放射された怪光線どうしが、お互いの目に命中して・・・相手を石に、光に変えていく。
(Y)「あたしが石になっても2人が生きていれば・・・」
(Me)「???」
ものすごい閃光とともに、あとには・・・
イエローはもちろん石になっていた。
しかしメデューサも石、いや光の塊になっていた。
光の塊って・・・何?
例の相手の術を吸い取る粉をイエローは使った。
メデューサに抱きついた時に、彼女の妖力、石化光線を吸い取ったのだ。
石化光線の光バージョン、相手を光の塊に変えてしまう光線とでもいうものを。
これもまたイエローの賭け、本当に命がけの賭けなのであった。
そして賭けには勝ったようだ。

つかみ合ったまま、イエローは石像に、メデューサは光の塊になってしまった。
気を失っていたブルーとグリーンが、目を覚ましたのもこの時である。
グリーンの言った通り、メデューサを封じ込め終えた時、彼女の妖力は完全に消えた。
イエローの石化もこの時に解けたはずなのだが・・・
石像のイエローが元の姿に戻ったのは3日後のことであった。
彼女はさらに3日ほど、寝たきりで意識がなかったということである。

                                   イエロー奮戦記 完




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