妄想別館 弐号棟


イエロー奮戦記 その7


(Me)「ずいぶんと勇ましいことを言っていた割には、全然弱かったじゃないか」
ゆっくりと、石像になったイエローに近づいていくが、
(Me)「あっ、これは!」
石像はザラッと崩れて消えてしまった。
(Me)「ニセモノか!どこだ、どこに隠れている!」
あわてて振り返った顔目掛けて、光のナイフが一直線に飛んできた。
みごと両目に命中して「ギャーッツ」と、絶叫が上がる。
「おのれ」彼女は両手で目を押さえている。
(Y)「さあ、目は使えなくなったね。どうするの」
イエローはフルパワーで電撃を放とうとしたが、
(Me)「バカめぇ」
(Y)「あっ、うわぁー!」
その瞬間、いや一瞬早くメデューサの目から怪光線が!
イエローは一瞬で石になってしまった。
なんと彼女の両眼は元通りになっている。
(Me)「ここはあたしの宮殿だ。おまけに妖力で強化しているんだよ。
こんな怪我は一瞬で元通りさ。手こずらせやがっ・・・あっつ!」
今度も石像はつぶれて消えてしまった。
(Me)「またしてもニセモノか。どこだ!どこにいる。隠れてないで出ておいで!」
入口は呪術で、もう完全に閉じている。宮殿の外に逃げることはできない。
袋のネズミとなってしまったイエロー!
あとは宮殿内に張った石の妖術をせばめてしまえば、石になって終わりだ。
(Me)「でも、あの女・・・」
石になるのは時間の問題ではあるが、その前に、捨て身で何かを仕掛けてくる公算の方が大きい。
メデューサは待つことをしないで攻勢に出る。
両手を大きく振ると、宮殿内の隅々まで砂塵を飛ばした。
「あーーー!」「うわあ!」と、隠れていた、さらに2体が、いや3体が石像になった。
(Me)「こざかしいやつだ」
2体は崩れて1体だけが残っている。
(Me)「これが本物か」
イエローは両手を振り上げて、足を前後に開いた格好で石になっている。
(Me)「やっと石になったな。よしよしお前は健闘をたたえて、門のところに飾ってやろう」

しかし本物のイエローは無事であった。生きていたのだ。
天井にぶら下がっているシャンデリアが、きらめく美しい光を放っている。
本体はその光の中に隠れていたのだが、メデューサは気がつかなかった。
さすがの彼女でも、イエローが光の中に隠れられることは知らなかった。
猛烈な砂塵が舞う中、光がともっているかぎり、その光が守ってくれる。イエローは安全である。
でもその前に明かりを消されてしまったら・・・真っ暗になり、その時点で終わり!
(Y:うまくいくかな?)
メデューサがこのことに気がつくか否か。これも一つの賭けであった。
イエローは祈るような気持ちで情勢の推移を見守る。
そして、今が勝機だ!イエローは光の中から飛び出した。
細心の注意で気配を消してメデューサに近づいていった。

ところがメデューサもさすがだ。
常人ならば気がつかないほどのわずかの気配に気がついた。
「ん?」後ろから気配が近寄ってくる。ものすごく静かにソッと!
(Me:あ、これもニセモノだったのか!小癪な。
後にイエローはいる。まちがいなく近づいてきている。それならば!)
あえて、目の前の石像を見続けながら、メデューサは気づかないふりをする。
イエローが真後ろまで来たことを確信した彼女!
(Me)「これでどうだ!」
目から怪光線を放ちながら振り返った。
今度こそイエローは石像に・・・だがしかし・・・。
今だとばかりに、イエローは光のバリアを張り、さらに鏡のように輝かせた。
(Me)「あ、それはなんだ!鏡か!うわあーーー」
メヂューサは反射した自分の怪光線をもろに浴びて、
(Me)「か、体があ・・・」
石像になってしまった。

(Y)「やった・・・」
イエローはガクリとひざをついた。
(Y)「か、勝ったのね、あたしは・・・」
しかし、これはメデューサのジョークであった。
いきなりうしろから『ガバッ』と、首を絞められた。
(Y)「え、え、まさか!あー、し、しまった!」
しかも、ひざ立ち姿勢の地面に触れている部分も石になり始めている。
(Me)「驚いたよ。そんな術が使えるなんてね」 
(Y)「いったいどうして!どうしてなの?」
メデューサは荒い息になっている。
自身を石像から復元させたことで、妖力を大量に消費してしまった。
(Me)「危ない危ない。宮殿の妖力を強化してたから、復元できたんだよ。我ながら迂闊うかつだったよ」
(Y)「うう、そんなバカな!」
(Me)「残念だったな。まあ、こんなことは、そう何回もできるわけじゃないんだがな」
イエローは必死で振りほどこうとするが、ものすごい馬鹿力で締め付けられてしまった。
まるでマンリキで押さえつけられているように、まったく動くことができない。
(Y)「離せぇ!離せったらぁ!」
(Me)「フフン、往生際の悪いこと。暴れても無駄だよ」
(Y)「あたしはまだ負けてないよ!負けるわけにはいかない!」
(Me)「おやおや、強がりだねぇ。体の半分はもう石なのにさ」
腰から下はすでに石になってしまった。自力で動くことはもうできない。
(Me)「それじゃ、首を折って殺してあげようか、せっかくだものね」
イエローの首がギシギシと音を立てている。

(Y)「首を折るって? へん! 怪光線でとどめを刺すのが怖いのね。
ひと思いに、あたしを石にしたらいいじゃないの。さあやりなよ。やってみなさいよ!」
(Me)「なんだってぇ。まだ強がっているね」
メデューサは押さえつけるのをやめて、イエローの前にまわってきた。
(Me)「フン、その体じゃ、もう鏡のバリアも張れないだろうに」
腹から下も含めて、右の手首、左腕は肘から先も石になっている。
(Me)「よしわかった。石化して、お前も首だけの妖怪にしてあげる」
フフと笑いながら、しゃがみこんで、彼女の顔を見つめる。
(Me)「それじゃあ、とどめだよ」
怪光線を発射した。メデューサは全力を込めて。
でも、イエローはこの時を待っていた。
ニセ蝋人形と戦った時に、イエローがやられかけた術。
イエローは全力をふり絞って全身を鏡に変えた。
頭が、首が、胸が・・・一瞬で鏡に変化した。
石になった部分までが鏡になっている。
(Me)「え、えぇっ?」
さらにイエローはフルパワーで体中を輝かせて怪光線を増幅させた。
メデューサの怪光線は宮殿内に反射拡散して、異様な光景を映し出している。
(Me)「ああ、まさか、まさかぁ!」
メデューサがしまったと思った時には遅かった。
彼女の放った怪光線はイエローの体で反射して、今度は四方八方からメデューサにはね返ってくる!
(Me)「ああああ!うわぁーーー!」
と悲鳴を上げて、メデューサは石になってしまった。
イエローはばったり倒れた。

メデューサが死んで術は解けたのだろう。
宮殿内のあちらこちらに女性たちが倒れている。
起き上っている者もチラホラいる。
(Y:うまくいったよ。今度こそ勝った!でも・・・疲れた・・・ なんか、起き上がるのが面倒くさいな)
でも、彼女には、まだやらなければならないことがある。
(Y:そうだ、碧、夏美・・・)
彼女たちは、無惨にも首になって転がっていた。
(Y:まず彼女たちを元に戻さなくては。それには・・・)
ベネチアンマスクはどこだ。
イエローはヨロヨロと立ち上がった。
「あった!」
自分の居場所を知らせるがごとく、キラキラと輝いて落ちている。
妖術が解けて、ベネチアンマスクも元通りに戻ったのだ。
拾い上げて変身の呪文を唱えると、ブルーとグリーンが倒れている。
「生き返った。よかった」
イエローは2人に近寄ろうとした。
その時に・・・




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