妄想別館 弐号棟


その後の世界 その1


「会長、た、大変ですぜ」
「ん、なんだよ? どうしたんだ?」
ここは某証券会社の会長室。
豪勢なつくりの椅子に座っているのは鈴木○郎さん・・・と言う人。
彼、表向きは実業家。大金持ちの有名人である。
ここの証券会社を含め、その他いくつもの企業の取締役や会長の肩書を持つ。
穏やかな人柄で誰にでも親切。特に女性には・・・
だがしかし・・・それは表向きの顔であり名前も偽名であった。
ミスターピーイー(P・E)。
悪人仲間たちからは、そう呼ばれている。
ミスターPervert(変態)の略であることは、既述の通り。
女性に対する奇癖趣味の持ち主である。
女性器を切り取ってコレクションにしたり、美人をラブドールに変換して楽しんだりと。
まさに女の敵であり、超がつくほどの極悪人である。
しかし、彼の本当の人物を知っている者は、表の社会ではいない。

彼は部下の報告を聞いたとたん、飲んでいたコーヒーを吹きだした。
(Pe)「ブッ! 何だと! 新しいスーパーガールが現われたって?」
彼らが3人のスーパーガールを倒してから早くも8年の月日が流れた。
その後、彼の裏の事業は順調に業績を伸ばしてきた。
曰く・・・ 美しい、かわいい、魅力のあるすてきな女性を捕まえてきては、人形にしたり、ガシャポンの景品にして販売したりと。
いやいや、これもまた彼の嗜好しこうや趣味の延長であることに間違いないだろう。
攫ってきた女性なので、元手はほとんどかからない。
おまけに男の性欲は尽きないので、売り上げが下がるということはない。
悪行三昧あくぎょうざんまいにボロもうけ。
超凶悪犯罪人だが証拠なんかは残さない。
警察ではまったくお手上げだ。

(Pe)「なんてこったい!」
唯一の強敵だった3人はもういない。
さんざん邪魔をされてきた彼女たちをほうむり去り、ようやく事業が軌道に乗ってきた。いざこれからというところなのに・・・
(Pe)「おい、情報をもっと集めるんだ。それから人数を増やして、重要拠点の警備をもっと厳重にしろ。
万が一足がついた時に末端の組織だけで損害が済むように、担当にも連絡をしておけ」
次々と指示を出していく。
(Pe)「それで、今度のスーパーガールって言うのは、どんな奴だ?」
(部下)「それがですね・・・少し変なんです」
(Pe)「変とは?」
G地区の支部に現れたのは、赤と青のベネチアンマスクだった。
(Pe)「フーン、赤と青ね。それじゃ、火と水の技を使うのかな。さっそくそいつらを・・・」
(部下)「いえ、ちょっと待って下さい」
(Pe)「あ、なんだ?」
(部下)「R地区に、もう1人現れたそうです」
(Pe)「現われたって、別のスーパーガールがか?」
(部下)「はい、白いベネチアンマスクだったそうです」
(Pe)「白の・・・?」

部下の話では、赤と青は、悪人たちに対して容赦なかったそうだ。
拠点の支部は完膚なまでに破壊されてしまった。
(Pe)「もっと詳しく教えろ!」
彼女たちに立ち向かっていった部下たちは半殺しの目にあったそうだ。
(Pe)「半殺し?!・・・」
(部下)「それから襲われた製造工場ですが・・・」
建物は爆発炎上。全焼となって跡形もないそうだ。
あそこは大掛かりな精密人形製造装置のある大工場だったはずだ。
最新式の設備の消失、技術者・技巧職人の逮捕。まさに大損害である。
(部下)「でも2人の行動は少し変だったようです」
(Pe)「何がだよ。どこが」
青い方は、強力な水噴射で部下を次々と吹き飛ばした。
で、動けなくなった部下たちが多数いたわけであるが・・・
(部下)「その部下たちにはですね・・・」
(Pe)「なんだよ!さっさと言え!」
(部下)「そのままにして去って行ってしまったそうです」
(Pe)「そのままってなんだよ? 当然逮捕したんじゃないのか?」
いや、すぐ後に警察が来て部下は連行していったが、その時にはすでに2人はいなかった。
逮捕にはまったく興味がなかったようだ。
つまり彼女たちの主な目的は悪人をやっつけることだったのであろう。
(部下)「まるで処刑人のような感じだったと言っています」
女たちの遺恨か。彼らに対する怨念のようなものも感じたと。
(Pe)「凶暴な奴らだな、今度のは」
ところが、R地区に現れた白いのは警察と協力して、つまり、
(部下)「通常の犯罪捜査のようだったそうです」
白い方は正当なやり方(というのかどうか?)、つまり今までのスーパーガールらしい捜査のやり方だったようである。
(Pe)「白と赤青につながりはあるのか?」
(部下)「不明です。接触はなかったようですが・・・」
どうにも解しかねる。
ピーイーは首をかしげて考え込んでしまった。




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