妄想別館 弐号棟


私は一人っ子? その1


「ただいま」
「おかえりなさい」
「あー暑い暑い、麦茶かジュースある?」
あゆみはセーラー服を着替えようともせず、飛びつくようにして冷蔵庫を開ける。
「着替えと手を洗うぐらいしなさいよ」
母親に注意されているが、あゆみは中学校の3年生だ。
「あれ、みさきは?」
妹のみさきは小学校の6年生。
「なんなんだか、〇〇神社まで遊びに行ってくるって」
「なんだってあんな所に」
「なんでも、お友達ができたそうよ」
「お友達、ふーん」
あゆみは、ふと、先日の昼休みに友達が言っていたことを思い出した。
「ほら、あそこの〇〇神社。最近、昼間から幽霊が出るんだって」

夕食の時に、あゆみが、みさきに尋ねると、
「あたしと同じくらいの年のお友達がいるの」
「お友達って?」
「稀葉(きよう)ちゃんていうの」
「稀葉ちゃん?」
「明日も遊ぼうって、約束したよ」
「・・・」

次の日、あゆみは学校が終わると、神社に寄ってから帰ることにした。
母親は大丈夫だろうと言っているが、なんとなく妹が心配だ。
あそこは普段から薄暗くて、誰も来ないようなところだ。
女の子だけで遊んでいるのは危ないかもしれない。
それに幽霊の噂も少し気になるし。
神社の境内までくると、子どもたちの笑い声が聞こえてきた。
裏に回ってみると、
(あゆみ:あの子だな)
人形を抱いた女の子と、みさきが話をしている。
(みさき)「ア、お姉ちゃん」
あゆみは、女の子に「こんにちは」と挨拶をする。
女の子も「こんにちは、みさきちゃんのお姉さん?」
(あゆみ)「そうよ。あなたが稀葉ちゃんね」
(稀葉)「えへへ」
(あゆみ)「どこに住んでいるの」
(稀葉)「ちょっと言えないわぁ」
(あゆみ)「???」
(みさき)「お姉ちゃん、稀葉ちゃんが持っているお人形、すっごくよくできてるでしょ」
(あゆみ)「え?」
そのお人形は、昭和の頃に流行ったような洋服を着ている。
(あゆみ:ちょっとレトロだな)
お人形を手にとって、よく見たとたん、
(あゆみ)「うっ!これは・・・」
実に精工にできている。
恰好や体形はもちろん、顔や肌の質感まで含めて、どうみても人間を縮めたようにしか見えない。
あゆみは驚きながら、背中や足の裏の方向からも、人形を見回している。
(あゆみ)「すごく精巧なフィギィア・・・なのかな?」
(みさき)「でも、名前はまだないんだって」
「ふーん、そうなの」あゆみは人形を見るのに夢中で適当に相槌を打つ。
(あゆみ)「ねえ、稀葉ちゃん、ちょっと、このお人形さんのお洋服の下、見てもいいかな。
(稀葉)「いいよ」
あゆみは、お人形のスカートをめくり、パンツを引っ張って覗いてみた。
(みさき)「お姉ちゃん、みっともないよ。やめなよ」
パンツをめくったあゆみは、目が丸くなった。
(あゆみ)「これってさあ・・・」


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