元気がでるアメ その1
静流たちの学校裏にある公園。
その通りに、時々きれいなデコレーションの移動販売車が来て停まっている。
何を売っているかと言えば
飴であった。
10個入りで値段は三千円。
高い! それにもかかわらず販売車の前には長蛇の列ができて、
あっという間に売り切れとなってしまう。
『元気アメ』と
銘打ったこのアメ、
舐めるとたちまち元気が回復する・・・とか。
健康的にも良いらしい。美容の効果もあるようだ。
とても美味しいし、アメなので子どもが食べてもOKである。
『値段が高い』と言えば高いのだが、確かにそれなりの効用があるので、インチキでもなく損をすることにはならない。
もちろん『違法な薬物が使われている』などということは
微塵もない。
と、このことは公的な機関の検査でも保証済み、とな。
「なんだ、いいことづくめじゃぁないか」
でも、そんなわけがあるのだろうか・・・
詩音と羽純が職員室に入ってきた。
(詩音)「元気アメが手に入ったよ」
いつも「体調不良だぁ」とぼやいている静流のために「一個あげる」。
静流は「それはどうもありがとう」と、舐めてみると飛び上がるほどおいしい。
(静流)「うゎーおいしいね。これ」
思わず声が出る。心底からそう思った。
できれば一日ボーッと過ごしていたい静流でさえも、今日は頑張ろうという気になった。
頭がさえわたるし気分も壮快。
(静流)「すごい。この私がこんなにやる気を起こすなんて!」
ウオーッと手を回すと周りで笑いが起きる。
「てへへぇ」と、あわてて手を引っ込めるが、もっと恥ずかしかったのは、
(羽純)「何をやってんの。やめてよ!」
(詩音)「見ているこっちまで恥ずかしくなるでしょ」
(静流)「そ、そうだよね。えへへ」
2人が出て行った後、静流は考え込んでいる。
(このアメは少しおかしいよね)
一心不乱に思い込んでいる彼女の目つきは、さっきまでの天然とは違ってまるで別人だ。
考えるに、アメだけでこんな作用が起きるわけがない。
自分に起きた生理作用を考えると、何か特別な成分が含まれているんじゃないのか?
もしかしたら魔力や妖力がかけられているのでは・・・
(少し考えすぎかな?)
いやいや、実はその通りであったのだ。
悪人のたくらみは早くもスーパーガールに感づかれたわけである。
さてさぁて、話の場面がガラリと変わる!
「ニャーン」
(みさき)「あ、ネコだ!」
2年C組の相田
雫、江上みさき、それに須藤由紀は、帰宅途中で白いネコを見つけた。
(みさき)「おいで、おいで!」
人懐こいネコは、ゴロゴロとみさきの足元にすり寄ってくる。
3人はしゃがみこんでネコを
撫で始めた。
よっぽど慣れた猫なのだろう。逃げる気配はまるでない。
頭をこすりつけていたが、
撫でている雫の手を舐めだした。
(雫)「あっ、舐めるよほら。舐めるなめる」
ネコはペロペロペロリと舐めている。
(雫)「あっ!」
一瞬『ビリッ』と静電気にでも当てられた感じがしたが大したことはない。
逆にものすごく気持ちよい感じに変わっていった。
(雫)「今のなんだったんだろ。でもすっごくいい感じがするな」
舐められるたびにどんどん気持ち良くなっていく。
(由紀)「あ、いいな。ほらシロちゃんおいで、あたしの手も舐めてごらん」
ネコはすぐに由紀の手のひらを舐め始めた。
彼女もビリと感じたが、すぐに猛烈に気持ちよくなってきた。
(由紀)「なにこの猫、すっごく気持ちいいよ、ほらほらもっと舐めておいで」
ネコはニャーニャー鳴きながら、頭をこすりつけている。
(みさき)「あーいいな。あんたたちだけ。ほらおいでおいで」
ネコはみさきを見ていたが、ゴロニャーオンとひと鳴きすると、すり寄ってきてたちまち舐め始める。
このネコはやたらに舐める。舐めたがる。
こうして順番に彼女たちの手を舐めていたが・・・・やがて3人は気を失ってしまった。
ネコはなおも、ニャーニャー鳴いてまとわっていたが、ニャンと一鳴きすると去っていった。
彼女たちは通りかかりの人の連絡により救急車で運ばれて行った。
事態を聞いた静流(彼女たちの担任である)だが、3人とも大したことはないと聞いてホッとした。
(詩音)「それで、病状は何だったの」
(静流)「疲労だってさ」
(詩音)「疲労? 疲労って疲れすぎの?」
(静流)「そんなに体力を使うようなことやってたのかな?」
(羽純)「そんなことないと思うけどなぁ」
雫もみさきはクラブにもはいっていない。
由紀のみがバレー部に入っているが、よくさぼっているし多分違うだろう。
(羽純)「なにかの病気とか」
お医者さんの話では違うだろうということだった。
(詩音)「それじゃなによ?」
(静流)「さあ? でもしばらく休んでいれば直るだろうって」
こういう時こそ例のアメだろうが・・・すでに全部食べてしまって無い。
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