元気がでるアメ その6
3人が学校に来なくなって3日。
「どうしたんだろうね?」
連絡もつかないのだが、まだ誰もそこまで重大事になっているとは思っていない。
1人をのぞいては・・・
「これは何かあったに違いない」
夜になった。
「このあたりのはずなんだけれど・・・」
舞花は静流が調べに行くと言っていた大通りまで出てきた。
いつもデコレーションカーが来るところを、しゃがみこむようにして丁寧に調べてみると、
「確かに変な気が残っているな」
結界が張ってあった気配を見つけた。
彼女は変身すると同時に暗闇の溶け込んでしまった。
「この方がやりやすいし」
ブラックにはレッドやブルーのような戦闘用能力はない。
もともと何かを守ることに長けたスーパーガールである。
闇の中をフィールドとしていて、諜報や情報収集がどちらかというと得意とする。
車の痕跡を追って行くと、
「ははぁ、このあたりで気配が消えている」
普通はここで手掛かりはなくなってしまうのだが、彼女は手を地面に当てていると、
「それじゃみんなを探しに行かなくちゃ。結界逆探知の術、なんちゃってね」
異次元を自在に移動できる彼女能力は、強力に張られた結界でも出たり入ったりできる。
また、仕掛けられていた結界の跡から術者の動向をにたどれるのである。
スーッと消えると、どこかの見知らぬ場所に立っていた。
「ここが敵の本拠地か」
アメの製造工場であった。
歩哨の手下が休んでいるようだが、彼女は陰に隠れると建物の中に忍び込んだ。
このような場合、戦闘系スーパーガールならば強行突破(面倒くさいから)だが、彼女は騒ぎを起こしたくない。
あちこちの陰を伝ってすんなりと建物の奥まで来た。
「誰にも見つかってないだろうね」
とは言っているが、そんなヘマはしない。
「まずベネチアンマスクを探すのが先かな」
最近の悪人たちの間では・・・
スーパーガールを倒したら、まずベネチアンマスクを隔離するのが常識になっている。
「もし、ホワイトたちがやられていたら・・・」
おそらくそうするだろう。
しかし彼女にとって、隠し物を探すことは得意である。
厳重な保管庫、結界が張ってありそうなところ、通常より用心深くしている場所に決まっている。
影や闇の中を走り回っていると「あった。ここだな」簡単に見つけることができた。
べネチアンマスクを持って「変身」と、唱えた。
閃光が起り、目の前に静流がぐったりと倒れていた。
(Bl)「あれれ、変身しないんだ」
静流は完全なエネルギー切れのようだ。
羽純も詩音も
蘇ったがグッタリしている。
(余計な事を書けば、彼女たちは裸である)
ブラックは静流を抱き起しながら、
(Bl)「大丈夫ですか先生。しっかりしてください」
静流は口をパクパクしている。
(Bl)「いったいどうしたんですか。みんな心配してますよ」
詩音と羽純も、目の前のブラックを見ているが言葉をしゃべれない様子。
「そうそう食べ物を」
ブラックは影の中に手を突っ込むとタオルとパンを取り出した。
パンをかじっているうちに、やっと「ありがとう。助かったよ」
(Bl)「本当に大丈夫ですか?いったいどうしたんです」
(静流)「やられちゃったぁ・・・」
経緯を説明する。
(舞花)「えっ! それじゃ、アメっていうのは・・・」
ゾッとする話であった。
(舞花)「許せませんね。その連中は」
(静流)「今度はスーパーガールになって戦うから大丈夫。これからやっつけてくる」
一方、羽純と詩音はパンを頬張りながら、相変わらず怪訝そうな顔でブラックを見ている。
(詩音)「あなたは誰なの、あたしたちの仲間なのかな?」
ようやく一息ついた羽純が聞いてくる。
(羽純)「黒いスーパーガールなんて初めて見たよ」
(Bl)「見ての通り仲間よ。どうぞよろしく、と言うべきだろうけどさ・・・何をいまさらって感じ」
(羽純)「何のことよ?」
ブラックは答えずに、
(Bl)「それじゃ、あたしは外にいます」
(静流)「そのほうがいいいわ。この工場は凍らせるから、羽純、詩音、一息ついたら攻撃するよ」
(詩音)「わかったけど、このブラックって人は誰なのよ?」
(Bl)「すぐにわかるって、それじゃまた後で」
というと、スーッと消えてしまった。
(詩音)「消えた! どこにいったのさ?」
(Bl)「彼女は闇の中の方が得意なのよ。さあ行くよ」
この工場を「油断して異次元に隠さなかったのが失敗のもとね」とホワイトは言った。
(W)「もう容赦はしないわ」
両手を振り上げると建物は凍り出した。さらに周りを氷の壁で覆ってしまった。
これでは外には逃げられないだろう。
(W)「さあ行くよ。ブルー、レッド」
中に飛び込むと、手下たちが震えている。
(W)「氷漬けになりたくなかったら、おとなしくしなさいよ」
と、言っても聞くわけがない。
「この野郎」と、かかってきた。
(W)「ち、しかたがないな。こいつらは頼むね。あたしは先に行く」
「わかった」と、レッドは手下を蹴り飛ばした。
ホワイトが2、3人を殴り倒して、地下の工場まで行くと、
(Dd)「あ、スーパーガール、生きていたのか!」
仰天するキャンディスとディーディーである。
(W)「当然でしょ。悪人ども、あんたたちは許さないよ」
ホワイトは言うよりも早く、キャンディスに向かって冷凍ガスを噴霧した。
キャンディスは逃げようとする間もなく、凍り付いて消えてしまった。
同時に左手で氷の帯をディーディーの腕に巻き付けた。
ディーディーの両腕が氷で覆われている。
「動くと腕が落ちるよ」
氷はどんんどん広がって行って、彼は氷漬けになった。
異次元の術で逃げようとするが「あ、あれ、力が出ない」クネッとなってしまった。
さらに怒りを込めて「封印」と唱えると、
「あ、ああーーー」
断末魔であった。
こうしてアメの騒ぎはおさまった。
世間では『あのアメが売りに来なくなった』と言って、ちょっとした騒ぎのようである。
結局アメの正体は不明だ。
「なんだろうね」と、一般民は知りたがっていたが、
(静流)「知ってしまったらおかしくなる人も出てくるでしょう」
(羽純)「そうだよね」
このまま闇に葬り去ってしまった方が良い。
(詩音)「闇と言えば、この間のスーパーガールブラックって誰だったのよ?」
(舞花)「影だよ影!」
ギョッとして振り返るが・・・ここには3人しかいない。
(詩音)「誰、どこよ!」
静流が羽純の影を指さす。
(静流)「その影の中よ」
(詩音)「え、えーっ!影の中からしゃべってるの?!」
影の中から笑い声が聞こえた。
(舞花)「あたしだよ、あたし、舞花だよ」
影の中からブラックが飛び出してきた。
変身を解いた解いた彼女を見ると、詩音と羽純は仰天した。
驚く彼女たちを前に舞花は「ネコたちを異次元に帰してきたよ」と言っている。
白ネコも無事であったようだ。
(羽純)「だって、異空間に住んでいるネコなんでしょ? どうやって」
(舞花)「ブラックになると自在に異世界でも異次元でも行き来できるんだよ」
これで事件はすべて解決した。
手下たちは逮捕されてアメの製造工場は完全に破壊された。
でも・・・アメにされてしまった犠牲者は戻ってこなかった。
(Fryer)「しかし変なんだよね」
(Thuban)「何がですか?」
3人はあきらかにアメになってしまって、手も足も出なかったはずなのに・・・
(Fr)「どうやって復元したんだよ」
(Th)「・・・」
(Fr)「誰かが助けたとしか思えないんだよ」
(Th)「そうですね・・・」
顎に手を当てて考えていたが、
(Th)「3人のスーパーガールの他に、誰か協力者がいるのではありませんかね」
(Fr)「そうかもしれないね」
そういうことなら、フライヤーは注意しないといけない。
彼女が学校の中にスパイとして暗躍しているからだが、
(Fr)「より一層、慎重にしないとね」
足元をすくわれかねない。
(Th)「いずれにしても、邪魔なものは完全に排除しないと。その者もまとめて片付けてしまいましょうか」
元気がでるアメ 完
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