新生の彼女たち その1
(主催者)「皆様、本日は御多忙中のところ、ようこそ当施設にお越しくださいまして・・・」
ここは某ビル地下深く秘密裏に設けられた大会場。
大勢の悪人たちが集まっており、異様な熱気が籠っている!
これから新製品の試作試験を披露するということである。
会場中央には鎮座するかのごとく、大型の光線銃が据え付けられている。
そして・・・銃口の先にある
的であるが・・・
デパートで見かける『ショーウインドウのようなガラス張りの展示ケース』が台座上に載っている。
中には高校生くらいの少女が閉じ込められていた。
怯え泣きながら「出して」「助けて」と叫んでいるが容赦ない。
「それでは始めて下さい」
男が合図すると、
『ピーィィィン』と音がして、薄黄色の光線が発射された。
「うわーぁぁ!」
少女はみるみる小さくなっていって・・・
ダブダブになった衣服や靴が落ちている。
その中に埋もれるようにして、陶器人形が転がっていた。
主催者の男が「エホン」と咳払いをして説明を始める。
「いかがでしょうか、この光線銃の威力は? 今までのように大がかりな設備は必要ありません。
このように簡単に陶器人形を作ることができるのです」
男は人形をとり出して、驚いて見ているお客に渡す。
「落すと割れてしまいますから、取り扱いにはご注意をお願いします」
客たちはこすったり、突いたりしてみるが、
「どう見ても陶器の人形だよな」
人形は驚いた顔をしているが、なかなかかわいいものである。
「素晴らしい出来栄えじゃないか」
男どもは、このような悪事を
生業にしている連中なのである。
新開発の陶器人形作成銃、これがあれば、もっと簡単に仕事がしやすくなる。
彼らは商談も兼ねてここにやって来ているというわけだ。
さっそく購入したいと言う者も現れた。
主催者の男は満足そうに、
「サンプル実験は以上です。それでは奥の部屋でご注文等をお受けします。どうぞみなさん移動なさってください」
悪人たちが立ち上がり、移動し始めたときに、
ドッコーーーーン!!!
突然、
轟音とともに壁が吹き飛んだ。
「この悪人どもめ!」
叫び声があがり、わけのわからないうちに数人が投げ飛ばされて転がっている。
「何事だ!?」と、慌てふためく悪人たち!
突然現れた2人組は赤色と青色のベネチアンマスクをつけていた。
(B)「絶対に許さないからね。覚悟しろ!」
ブルーの方は叫びながら、手を挙げて水玉をとり出すと、次々に悪人たちにぶつけていく。
レッドはすぐに主催者の男にとびついて「その娘を元に戻せぇ」と男を殴りつけている。
すぐに手下たちも飛び出してきて応戦する。会場はもうメチャメチャだ。
ブルーは次々と水玉をぶつけていたが、
(B)「水玉じゃ面倒だな。これでどうだ」
水の板を大きく張って、かかってくる男たちを押しつぶす。
「バッチャーン」
下敷きになった手下たちは水浸しになり気を失っている。一撃で全滅だ。
この有様を呆然と見ている主催者の首根っこを締め付けながら、レッドが怒鳴る。
(R)「他にもいるでしょ。人形にした人たちが! 全員を元に戻せって言ってるの!」
男はレッドの怒声に
慄きながら人形を少女に戻した。
(少女A)「ありがとうございました」
(少女B)「もしかして、あなたたちは最近あちこちで現れているスーパーガールさん?」
(B)「まあね、そういうこと」
(R)「さあ、この建物は完全に破壊するから外に出て」
ブルーとレッドは他にも捕まっていた女性たちを救出して外に出てきた。
伸びている悪人たちも外に放り出した。
(B)「これで全員か?」
(主催者)「そ、そうです」
(B)「あっそう。じゃああんたはもう用なしね」
ガツンと当身をして気を失わせた。
(B)「建物もいらないよね。それじゃ今度はあんたがやってよ。壊すのは得意でしょ」
(R)「何を言ってるやら。まあいいや。さがってて」
レッドは構える。
スーパーガールのおなじみのポーズ。
足を軽く開いて両手を組んで前に突き出し指先から・・・
少女たちは息をのんだ。
火炎放射器の何十倍もあるような太い火炎が建物に向かっていく。
建物は劫火に包まれ、すぐに爆発炎上した。
彼女の火炎能力には、火薬並の破壊力もあるようだ。
数回爆発の後、建物は残骸のようになって燃えている。
しばらく見ているとパトカーや消防車が次々にやってくる。
(B)「レッド、後は任せておけばいいよ」
(R)「そうだね。そろそろ行こうか」
驚きながらも、この成り行きを見ていた少女たちに向かって、
(R)「ほら警察も来たでしょ。もう大丈夫だよ」
(B)「それじゃあたしたちはこれで」
ブルーとレッドは行ってしまった。
大勢の男たちが転がって呻いている。
警官たちは、これらの者を逮捕連行していったが、
(警官)「これはいったい・・・何があったんですか?」
少女たちは一部始終を説明する。
(警官)「その赤と青のスーパーガールたちは、どこに?」
(少女A)「帰ったんじゃないですか」
(警官)「帰った?」
どこかに去ってしまったということであるが合点がいかない。
(警官)「おっかしいなぁ? スーパーガールは1人で白いはずなのだが・・・」
ブルーとレッドは暗い顔をしながら話をしている。
(R)「何人かは助けられなかったね」
既に売り飛ばされてしまった者、破損してしまった者は元には戻らない。
(B)「悪人ども許せないよね。それじゃ次に行くか?」
(R)「もちろんだよ。どこ場所は?」
(B)「とりあえず、変身解除していこう。目立つから」
生身に戻った彼女たちは、ベネチアンマスクを持ってない。
歴代のスーパーガールたちは、マスクをカバンなどに入れて持ち運んでいたが彼女たちは違う。
生身の時はベネチアンマスクの形体が変わるようになっている。
悪人たちに狙われないようにするための用心だろう。
赤色はペンダントをぶらさげているし、青色はブレスレットを腕につけている。
彼女たちは肌身離さずにそれを身につけている。
もう一つある。
彼女たちの超能力の水や火は、それ自体が妖怪を倒す魔力を持つようになっている。
これを妖怪が浴びれば封印することができるようになったのだ。
過去に倒されたスーパーガールたちの能力や教訓がベネチアンマスクに宿ったのだろう。
彼女たちは走り出した。
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