火の鳥に認められた青年
俺の生まれは、世界有数の大きさを誇る大陸だった。北には山、南には草原東に進めば峡谷、西へ一日歩くとようやく都市に着けるレベルの田舎だった。海なんて海軍に志願するまで見たことない。そんな俺が海軍に志願したのは、てっとり早い話、給料がよかったから。母が病気にかかり長期の入院になったため、どうしてもまとまった金が必要だった。当然、命の危険性もある徴兵に両親共々もう反対されたが、無理矢理村から飛び出した。勝手が違いすぎる海軍での生活に最初はとても苦労したが、今はどうにか慣れてきている。心に余裕が生まれると視界がぐんと広まって、今まで見えてこなかった所もよく見えるようになった。大海原の壮大さ、頬を撫でる潮風の香り、水平線に浮かぶ太陽。海賊が揃って海に出る気持ちがわかった気がする。まあ、口には出せないけど。
そんな俺は戦闘員……ではなく、作業員だった。書類を書いたり、道具の点検をしたりと言ってしまえば雑用だ。しかし、戦闘なんて出来るわけないし海軍志願の目的は金を稼ぐことだ。多少給料に差があるとはいえ、命をかけるほど切羽ずまってはいない。それでも世界政府運営の機関だからか給料はいいし、休みもしっかりとれるしと中々条件はいい。実家への仕送りも滞りなく安定的にできている。母からの手紙は、いつもお金を送ってくれてありがとという感謝と、怪我してない?変な海賊に目を付けられてない?という心配だ。それに関しては、俺はかなり運が良かった。巡回中、海賊船を見つけたらまず非戦闘員は奥へ引っ込む。邪魔にならないようにだ。それでもまれに海賊がそこまで入り込んでしまうこともあり、現に何人かそれで命を落としている。しかし、俺が死ぬ!と覚悟したとき、運よく上司が助けてくれるのだ。ジャストタイミングと言わんばかりに海賊の剣が俺を切る前に仲間の剣が貫かれている。お前、運がいいなと何度も口にされたことか。
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