「わぁーっ!」
「おわっ!!」
「あれっ!?切島くん!?」
「苗字?なにやってんだ」
「え、えっとー」



言いづらい…。寮内で女子対抗かくれんぼ驚かしっこ大会をしていただなんて。てっきり鬼のじろーちゃんだと思って物陰から飛び出したのに切島くんだとは。うーんとはっきりしない私に切島くんは隠れんぼ?と聞いてくる。まぁそんな感じかな、と答えると女子仲良いな!と元気よく言うから慌てて切島くんの口を押さえた。しぃっと言うと切島くんはびっくりした顔でコクコクとうなづいた。



「今、じろーちゃんが鬼だから大きい音は禁物なの」
「むぐっ」
「あっ、ごめんっ」



切島くんの口から慌てて手を離すと、切島くんは私から開放されて一息ついた。うう、大胆なことしてしまった。恥ずかしがる私をよそに切島くんは辺りをキョロキョロと見回した後、私がさっき飛び出した物陰にグイグイと入ってくる。え、え、なに?困惑して切島くんを見ると、神妙な顔をして隠れるんだろと言って私を奥に詰めるように急かす。え、え、切島くんも隠れるの?未だに困惑しながらも切島くんに押されて一緒に物陰に隠れる。1人で隠れていた時はそんなこと思わなかったのに、2人になると途端に狭く感じる。肩と肩がぶつかるくらい近くて横を見れば切島くんの横顔がドアップだ。切島くんは真剣に廊下の様子を伺っている。やる気満々だな。まだちょっと見ていたかったけど諦めて一緒に廊下を覗く。



「耳郎はどこからスタートしてんだ?」
「女子部屋の5階からだから、じろーちゃんの足ならそろそろここを通るはず」
「だな!」



作戦会議だ、と切島くんに言われて頷いて物陰に再度隠れる。といきなり物陰の壁にドンと押し付けられた。え、なに。切島くんが覆いかぶさってきて、訳が分からない。



「切島、何してんの?」
「え?別に?」
「ふーん」



切島くん越しにじろーちゃんの声が聞こえる。切島くんはなんとか誤魔化そうと、壁の方へ、つまり私の方へジリジリとにじり寄ってきて胸板が顔に押し付けられる。分かってる。じろーちゃんから隠そうとしてくれるんだってこと。でもこれはっ、私には刺激が強すぎる!!心臓がバクンバクンと鳴ってもう頭の中が真っ白だ。



「まぁいいや、他の女子の誰か見つけたら教えて」
「おうっ!」
「あと、苗字が死にそうになってるから早めに放してやんなよ」
「えっ?おわっ!大丈夫か苗字!!」







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