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「じろじろ見んなや」
「見ーてーまーせーんー」
「視線がうるせぇんだよ」
トレーニングに集中してこっちは見てないと踏んでいたのに、私が見ていたことに気づかれたのが悔しくて嘘をつくもギロッと睨まれた。思わずふいっと視線を逸らしたものの、こんなんじゃさっきまで見てましたって言ってるようなもんだと逸らしてから気づいた。
無かったことにしようと膝の上に置いていた明日の予習のために開いていた教科書に目をやる。文字が多くて眠いな。放課後とは言え、夏に向かって陽気はだいぶん暖かい。もう今日は予習を諦めて爆豪くんが終わるまで寝よう。
幸い地面には草が生えてるため、寝転んでも気持ちよさそうだ。私はブレザーの上着を脱いでスカートの上に掛けて寝転び、顔の上にはさっきまで開いていた教科書を乗せて目を瞑った。
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遠くで爆豪くんの声がする。思ったより寝ちゃってたのか頭がぼーっとして、まだ起きたくないなぁ。
と思っているといきなり視界に光が入り込んできた。眩しくてもう一度ぎゅっと目を瞑った。どうやら顔の上に置いていた教科書を剥ぎ取られたようだ。
反射的に教科書を追うように手を伸ばすと、一緒に起き上がってしまった頭をガシッと掴まれた。その衝撃で思わず目を開けると目の前ドアップで爆豪くんがいた。
「寝てんじゃねぇよ」
「うあっ顔ちかーっ!!」
「うっせェ!!」
「びっくりしたー!爆豪くん顔はイケメンなんだから不用意に顔近づけないでよ心臓に悪い!!」
「顔はってなんだてめぇ!!」
「ドキドキし過ぎて心臓痛いよー」
「てめぇが勝手に起き上がってきたんだろが!!」
「イケメン怖いよー」
掴んでいた私の頭をパッと離すと重力に逆らえず背中から地面に倒れた。爆豪くんのせいで負傷箇所心臓と背中だ。この前も爆豪くんに不意に名前を呼ばれてドキドキしてしまったのでこれ以上はなんとしても避けたい!イケメンは不用意に人をドキドキさせるから怖い怖い。
「学内でホームレスでもする気か」
「いいじゃん、暇だったんだし」
「それでも寝てんじゃねぇよ!」
「えー、寝顔が可愛くて襲いたかったって?ごめんね私が可愛いあまりに」
「ブッ殺ス」
不用意