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「あれ?」
「…どこから現れとんだクソ迷子」
「どこからともなく」
「アホか」
期末テストが終わったと思って気が抜けていたら、うっかり迷子になってしまったところ、生垣を掻き分けた先に久しぶりに爆豪くんのトレーニング中に遭遇した。私にアホと言った後、すぐにトレーニングを続ける爆豪くん。そうか、ヒーロー科は期末テストに筆記だけじゃなくて演習もあるんだっけ。気合入ってるな。
そんな爆豪くんの邪魔にならないように、少し距離を置いた場所に座った。爆豪くんのトレーニング待つのも久しぶりだな。ふと思い出してカバンの中から先生から借りた大学一覧と書かれた本を取り出して開いた。
「進学するんか?」
「うわっ!びっくりした!!」
心臓に悪い!いつのまにか私の正面にヤンキー座りをした爆豪くんがいた。爆豪くんは私の手から大学一覧をぶん取って、パラパラとめくってふーんと興味なさそうにポイと捨てた。おいこら、それ借り物なんだから。
「大学に行く脳味噌あんのかよ」
「あるわ!ありまくるわ!!」
「はっ、方向音痴がよく言うぜ」
「方向音痴でも雄英入る頭あるからね!」
雄英は高倍率のヒーロー科に落ちて普通科にやってくる人も多く、普通科の偏差値も高い。とりあえず雄英入れば、超絶方向音痴でも就職するにしても進学するにしても困らないだろうと踏んで入学を決めた。未だに進路は決まってないんだけど。テスト終わった途端配られた進路希望調査の紙に焦っている。よくよく考えると、爆豪くん含むヒーロー科の人たちは中学生の時から進路を決めてたんだよなぁ。うーん、すごい。
「爆豪くんは、なんでヒーローになろうと思ったの?」
「あ?強ぇだろ」
「うん」
「だからだ」
「…それだけ?!」
「あ゛!?なんか文句あんのか!?」
「いや、あまりにストレートな理由でびっくりしてる!」
それだけでこんなにも懸命になれるってすごい才能。爆豪くんを見習って私ももっとストレートに考えてみようか。爆豪くんを見るとギロッと睨んでくる。
「っんだよ!」
「いや、参考になったからありがとうって言おうと思ったんだけど。…あれ、爆豪くんなんか照れてない?」
「照れてねぇわクソ迷子が!」
「ちょっ、照れ隠しが激しい!!」
別れ道