03.セオリー通り
ガタンゴトン、ガタンゴトン
「井崎、大丈夫か?」
「なんと、か」
「今日も電車混んでるな」
「う、ん」
「(背低いから人の波に埋もれてる)」
「(うぐ、サラリーマンのひじが顔に当たる)」
「井崎、そこの壁際ちょっと空いてるぞ」
「行けるならっ、ぜひ行きたい!」
「こう動ける?」
「こう?」
「よっと」
「おお、切島くん意外に身軽」
ガタン
「おわっ」
「わわっ」
「「!!!!!(近い!!)」」
「(これは…、壁ドンってやつか)」
「…わ、悪い」
「…き、切島くんは何も悪くない…むしろガードしてくれてありがとう」
「窮屈かもだけど、もうちょっとだけ我慢してくれ」
「お、おすっ」
「(…女子っていい匂いすんな)」
「(すっごい顔熱くなってきた)」
「何の匂いだろ」
「え、なに?」
「あ、やっ、なんでもねぇっ!!」
距離20センチの攻防