16.桃太郎
<まもなく電車が到着いたします。黄色い線までお下がりください。>
「井崎!はよっ!」
「!お、おはよう!」
「…あのさ、」
「た、体育祭!!」
「お、おう!」
「チケットありがとう!」
「いや、大したもんじゃねぇよ」
「怪我大丈夫?」
「ああ、こんなもん寝てりゃ治る」
プルルルルルル
「あ、電車きたね」
「おう、乗るか」
「うん」
ガタンゴトン、ガタンゴトン
「あ、の」
「ん?」
「私、今まですごい勘違いしてて」
「あー、まぁ、薄々そうなんじゃないかとは思ってた」
「う、ごめん」
「いや、俺も言ってなかったつーか、制服で分かってるもんだと思ってて」
「ううっ、疎くてごめん!」
「いや、そんな謝んなくても」
「すごいカッコよかった」
「っ、つっても、結局負けちまったけどな!」
「ほんとに、」
「?」
「切島くん、体育祭、カッコよかった、デス」
「…アー、アリガトウゴサイマス」
「イエイエ」
「…あの井崎、」
「?」
「あれ?!兄ちゃん雄英の切島じゃねぇか!?」
「え?あ、ハイ」
「えー!ホントだ!切島だ!」
「体育祭見たぜ!」
「惜しかったねー」
「ナイスガッツだったなー!」
「え、雄英の切島いんの?」
「個性ただ被って子でしょ?」
「またがんばれよー!」
「切島いるのー?」
「俺も見たいー!」
「え、あ、ちょっ、押すなって!」
「切島くん?!」
「え、ちょ、」
「あ、雄英の切島だー!」
「本物だー!」
「まじ、押すなって、うおーーー?!」
「い、行ってしまった…」
人波にドンブラコ
(切島くんなんて言おうとしてたんだろう)