「佐々木」
「あ、轟くん」
「ノート運んでんのか?」
「うん、相澤先生に捕まっちゃってさ」
「持つぞ」
「そんな重くないから大丈夫、って人の話を聞きなさい」



私の手から半ば強引にノートの山を奪い取って教室に向かって歩き出す。ノートは出席番号順に並んでいたため、私の手には緑谷くんの名前が書かれたノートを先頭に数冊しか残らなかった。追いかけて隣を歩きながら、大丈夫だって、いいから、なんて不毛な会話を数度続けて、轟くんのしれっとした態度にノート奪還は諦めた。



「なんか悪いなぁ」
「気にすんな」



少し早めに歩く轟くんに合わせて教室へ向かう。昼休みのため廊下には生徒たちが多く、周りからの視線がこそこそと集まっているのが分かる。轟くんイケメンだからな。クラス女子総意のイケメン。他クラスからも人気あるんだろうな。そんなことを思いながら、前を見据えて歩いている轟くんにそういえばと言う。



「轟くん、どっか行くところじゃなかった?手伝わせて大丈夫?」
「いや、ちょうど佐々木探してた」
「私?どうかした?」
「今日放課後ちょっといいか?」
「いいけど、どうかした?」
「告白しようと思って」
「え?恋愛相談?私でいけるかな」
「いやちげぇ」
「ほう」
「佐々木に告るんだ」
「…は?」
「放課後約束な」
「え!ちょっ、は!?」


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