▼2026/10/31:墨ひとつ 垂らして滲む虹の影 クロマトグラフ 解析の思考
芸術の秋、と書こうと思って北海道はもう既に冬と言えそうな事に気が付いた。この前降雪もあったし、若干積もった。冬用コートにも袖を通している。今年は比較的夏が短くて洋服を長袖に切り替えるのも早かったように思う。空気は乾燥し、室内では暖房設備が活躍していて、そろそろチョコレート系のお菓子の新作がコンビニエンスストアに並ぶだろう。秋と言えば運動するにも良い季節で、筋トレをしても過剰な汗をかかず、その後のお風呂も気持ちよい季節だ。読書に関してはほぼ毎日行なっているので季節は最早関係ないし、執筆は今月の上旬以来手をつけていないけれど、作品について毎日空想は重ねている。食欲、読書、運動、で、芸術の秋。
学生の頃はペンを握らない日は存在しなかったし、絵筆の事もあればコピックマーカーな事も多かった。ペン先をインクに浸し原稿用紙へ線を刻み込むの主流な時代はいつの間にか終わっていて、今では小学生の子供達でもiPadとタッチペンで絵を描く方がメジャーな時代らしい。
私はそれでもアナログで描く事に悦びみたいなものを感じる性質である。絵具の滲みを偶然ではなく計算づくかのようにし画面を塗りつつ、アナログでないと出会えない色合わせの妙みたいなものが好きだ。
例えば蛍光色の絵具に濁った色の絵具を合わせた時のコントラストが鮮やかで美しい事。好きな画家を挙げるなら一番に名前が出るのがマグリットで、彼の『大家族』と言う絵は曇天に鳩の形の眩しい青空が広がる様が一等好きな一枚だ。その青空は蛍光色を使って描かれているわけではないが、目を醒ましてくれるような青色である。
普段イラストを描く際は補色に当たるものを態と混ぜ合わせて影を作ったり、隣り合わせて互いを引き立たせることが多い。真っ暗い闇色も好ましいけれど、混ぜ合わせても黒になり切れない影色も好きである。
アナログでイラストを描く際、最も悩ましいものの一つが『コスト』だと考えている。次点で『保管場所』だろうか。画材は高いとは言い切らないが、決して安くはない。
この前お子さん用の画材について質問するお母様をネットでお見かけした。iPadやパソコンではなく画用紙やスケッチブックにペンを使って描いてみたいとのリクエストに、『コピックと言うペンを子供が欲しがっているが、値段を考えると色数を揃えられない。安価な代替品は無いものだろうか?』と言う質問を書いていた彼女。コピックは確かに高価だし、色数を揃えないと思う通りの物を描くのは難しい。しかし現代ではコピックと殆ど同等レベルの色を塗るマーカーがいくつか存在するらしく、コピックに比べると結構安価だそうだ。百円均一でも似たようなものは見つかるらしい。
コピックの値段はバージョンにもよるが500円程。一本がその値段なので、20色、30色と揃えれば結構な金額になる。しかしそれを迷わず購入していたのが過去学生だった頃の私で、あの頃も変わらず画材は高く、私は自分の見た目にかけるお金と同じくらい画材へもお金を使っていた。いや、多分もっと使っていたと思う。これは私が画学生だった事にも関係しているし、コピックと言う画材に魅了されていた事にも関係している。
そして最近、或る新たな画材に興味が強くなっていっている。アクリル絵の具をインクの様に充填した筆ペンの様なマーカーだ。Enmyと言うメーカーのものが特に気になる。これは何十色ものペンがセット販売されている物らしいが、値段を見て少し驚いた。コピック20本分とEnmyの80本セットの値段が同じくらいか、後者の方が少し安価だ。この値段を見てつい「安いし、色味も使いやすそう」と思ってポチるところだった。引っ越し前に荷物を増やすわけにもいかないので一旦見送ったが、これはかなり欲しい。絵具であれば不透明水彩(アクリルガッシュ)の重ね塗りが好きな私にはとても良さそうな画材だ。色々とメーカーもあるらしいので幾つか見比べて、引っ越しが落ち着いた頃に購入してしまおうかと考えている。
色々なものが毎日どんどん新しくなっている。画材だけでなく技術も技法も、素材だって。変わりゆく事は悲しい事もあれば楽しい事もある。新しいもの好きの私は今、好奇心のままに情報を得られる時代と環境に身を置いている。
手に入れた時はまず何を描こうか、描きたい物に合わせて何色入りにするのか決めてみよう。真っ黒な影と真っ白な光は、その間のスペクトルに総ての色を含んでいる。であればまずはコントラストをはっきりとさせたイラストにしようか。書いてみたい小説の世界の登場人物達がいいかもしれない。キャラクターデザインのイラスト原案が文字の執筆者なら、読者のなかでイメージの乖離は少なそうなので。