▼2022/05/22:白い錠剤はご機嫌味
最近、仕事が楽しい。仕事中に『死にたい』『辞めたい』と思う事が無くなった。恐らくは教えて貰った仕事を覚えてきて、いちいち質問や確認を頻繁にしながらの業務ではなくなったからだろう。この前からラッピングの業務も一部やらせてもらえるようになって(販売小売業です)、ギフトバッグに商品を丁寧に入れてラッピングする、と言う作業を一日に何度か行なっている。作業自体は覚えてしまえば簡単だ。大理石柄のビニールバッグを品物に合わせたサイズを選んで中に入れ、上にプリーツを作って巾着袋のようにしてリボンで止める。言葉にするとこれだけなのだけど、手がそれを覚えるまでは意外と難しかった。会社の規定で何秒以内にすべての作業を終わらせ、見た目のクォリティも伴わせなければならない。任せて貰えるようになるにはテストにも合格しなければならない。これでも自分は器用な方だと思っていたのだが、テストにはなかなか合格できなかった。しかし、自分の傾向を知って対策を立てると手がスムーズに動くようになる。私の場合、時間を意識し過ぎて焦りが出ると手が動かなくなると分かって、敢えて時間の意識をしないようにしてクォリティを上げる事だけ考えると時間通りに仕上がるのだ。それでも焦りそうになれば心の中で『焦るな』と繰り返し唱える。すると手はきちんと思った通りに動いてくれる。時間を意識しない事を意識するとはややこしい話だが、それでテストにも合格できた。業務を任せて貰えるようになると、お客様と話す機会も増えた。私の主観なのだが、ラッピングを希望されるお客様にはいい人が多い。
以前Twitterで見かけたのだが、ある人のご友人がケーキ屋さんに勤めていて、こんな事を言っていたらしい。
『ケーキを買いに来る人は、大抵が喜ばしい事がきっかけだから、優しかったり楽しそうな人が多い。それが見ていてうれしい』
私もギフトラッピングを希望されるお客様に似たような感想を抱いた。ギフト、贈り物と言うのは大体がプラスの感情で贈られる。それを購入しに来られるという事は、お客様の大切な人に喜んで欲しいと思うのが一番だろう。だからだろうか、多少ラッピングに時間がかかっても笑顔で『ありがとう』と言って貰える。一度ギフトバッグの大きさを間違えて包んでしまい見栄えが悪くなってしまったので『やり直します。少々お待ち下さい』と言って少々お時間をいただいた。申し訳ないと思いつつ品物をお渡ししたら「丁寧にありがとう」と言われてこっちが『ありがとう』の気持ちでいっぱいになった。ギフトラッピングをご希望のお客様は大体がこんな感じだ。ありがとうは連鎖するらしい。何だか自己啓発書めいた言い分だが、『ありがとうは出し惜しみしない事』が幸せにつながっているらしい。何度使っても減る事もないし。
そして最近、お客様に声を掛けられることが増えた。見た目はたいして変わっていないと思うのだが、どうも私は『誰かに話し掛けられやすい店員』らしい。良い事である、とは思うのだが、何故そうなったのか今一つ分からない。以前からお客様には大きな声で挨拶しているのだが、最近は常に笑顔で居られるようになったのが要因だろうか。職場に着いて、開店時刻が訪れると同時に笑顔を心掛けている。コロナ禍故にマスク越しの笑顔を作らなければならないので、どうしたら笑顔でいる事が伝わるか考えた結果、心の中で『にぱっ!』と唱えながら口角を上げると良い笑顔になると気付いた。『にこっ!』ではダメなのだ。『にぱっ!』が一番いい。その所為かお客様にとっては話しかけやすい店員で居られているようだ。元々お客様の目をなるべく見て挨拶しているのもあって、上司には「お客様をちゃんと見てて良いね!」と評価されている。そこに笑顔が加わるとこうなるのか、と驚いた。
この前、商品を熱心に見てらっしゃるお客様がいらっしゃったので「何か気になる事がございましたら仰ってくださいね」と言うと「そう! 実はね、」と私を見て「母にプレゼントなんだけど」と仰り、そこからお母さまへのギフト選びが始まった。三十分ほどお話ししながら商品の解説やどの商品が売れているか=人気があるかを説明した結果、幾つかの商品がギフトに選ばれる。お客様は非常に楽しそうでこっちも楽しくなるし、最後に初めて名前を訊かれた。「〇〇(本名)と申します」と名乗ると「〇〇さんね! ありがとう!」と嬉しそうにお会計へ向かわれた。お帰りの際も笑顔で会釈して下さり、本当に嬉しく感じて『これが私のしたかった仕事だ』と強く思った。
その日は他にも何人かのお客様に接客したが、どの方も楽しそうに嬉しそうにお買い物されていて、接客業って本当に楽しいと思っている。
就職活動中はよく、精神疾患を持っているのに接客業希望とは珍しいねと言われた。このご時世では接客を原因に精神的に弱る人も少なくない。まあ、何事にも例外はある。私はたまたま接客向きの精神病患者なのだ。
勿論、明日の仕事で何かトラブルが起きて接客が嫌になる事があるかもしれない。でもずっとやりたかった仕事が漸く自然に出来るようになって来て、仕事が楽しいのは事実だ。
この状態をキープしたいので、以前此処にも書いた抗うつ薬は飲み続けたい。主治医は良い顔をしないかもしれないが……。この前ネットで『メンタルの状態が安定している人は常に死を考えたりはしないらしい』と読み、そうなんだよな…常に死が身近にあるように感じている時点で病んでるんだよな…と激しく同意した。鬱状態になるのが珍しい方であるとはいえ、メンタルが強くない人間にはそれなりの対処が必要である。私の場合それが抗うつ薬の服用なのだろう。薬を代謝する肝臓や腎臓は今のところすこぶる元気らしいので、これからも程々にお薬とのお付き合いをしていこうと思っている。