「あー…全然会わないなー」
私がこのマンションに引っ越してきて数か月。朝早くと夜遅くには物音はするものの一度も出くわさない隣人さん。都会ってそんなもんなのかな?たまーにすごくいい匂いがするから女性かなって想像してる。
「菓子折りもう良いかな?食べちゃお…」
そうして数か月前に買った挨拶用の菓子折りを開けて、ひとつ、またひとつつまむのであった。
隣のお巡りさん 00
「やばい、、遅刻しちゃう!」
職場までは徒歩と電車。前住んでたところは徒歩でなんとか通える距離だったから、今はちょっと遠い。早めに出ないと遅刻してしまう。
「はーギリギリ間に合った…」
どうしても務めたかった会社に就職し、数年がたった。
もう24歳、そこそこ中堅になってきた。後輩だっている、上司もいる。。挟まれ立ち位置に毎日げっそり。
「あの〜マツさん、これ…」
「っひゃぁ!あああの、これは…」
びっくりした!すみません、すみません、田舎から出てきた上に人見知りなんです…。
おかげでランチする同僚もいない。。。寂しいけど仲良くしようとしてもどうしても人見知りフィルターがかかってしまう…。
特に男性はそうだ。大きいし、声低いしでかいし、大きいし、ちょっと苦手。。
そうなるのも無理はない。
前住んでいたところでストーカー被害にあった。
怖くて怖くて、思い出しただけでも震えてしまう。
(考えちゃいけない、ここはもう違う家なんだし、あそこから遠い。大丈夫)
ブンブン頭を振り回しコーヒーを飲む。おいしい…あと少し残業して帰ろ。
時刻はもう21時。終バスを確認してデスクにむかった。
*******
「ただいま〜…」
今日も疲れた。明日は休みだしゆっくりしよう。
そういって風呂やいろいろ済ましてスウェットに着替える。ああ、スウェット。好き。スーツにヒールだと疲れる…。
少しひんやりする季節。湯冷めするかもしれないけど夜風にあたってみる。
もちろんビール片手に手元にあったお菓子。菓子折り用だったのでちょっといいやつ。
空気は少し冷たいけど湯上りにはちょうどいい。
このベランダから見える景色か何となく好き。別にいい景色ではないけど、ビルの雑踏の合間にちらちらと明かりがついたり消えたり。
「「ドタン!」」
ん?お隣さん帰ってきた?あ、いい匂いがする。自炊してるんだなぁ…
ごはんなんだろ?こちとらビールとお菓子ですけど。ちょっといい気分。
「「ガラガラ」」
ん?
「あーーーーーくそッ。」
んんんん??
お隣さんのベランダを見てみるとそこにはすらっとした男性が。
「「あ」」
これがお隣さんとの初対面の瞬間である。
End
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