「結婚してくれ」



実弥さんのポケットから、似つかわしい小箱。

これはジュエリーボックス。
女なら誰でもわかる。



この閑散とした立体駐車場に響くノイズが現実に戻してくれる。




ああ、これは。



 彼氏のお巡りさん 31  




結婚してくれ
結婚してくれ
結婚してくれ
結婚してくれ?
今、なんて言った?


そのワードが頭をぐるぐるとまわる。


しばし混乱する気持ちとは裏腹にこぼれそうになる涙をこらえる。


目の前には可愛い小箱を差し出した実弥さん。



耳まで真っ赤である。


「実弥さん、私」

「わりィ…いやだったか?我ながら焦ってるんじゃないかと思ってる。でもよ…」

ぱかっとあけた中に光るひとつの指輪。
控え目だけど存在感のあるダイヤが光る。


これは幻?


「タケとこれから先、一緒にいてェ。駄目か‥?」



ああ駄目だ。


涙がつーっと頬を伝う。
うつむく私をそっと抱きしめてくれる。


「わた、し、嫌われたんじゃないかって…」

「あ゛?なんでそうなる」



「だって。。抱いてくれないし…」

ガバッと抱き締めていた手を離して驚く。
ボリボリと頭を掻いて顔を真っ赤にしてる。




「ばっ!!おめェ…ケジメつけなきゃ駄目だろォ…簡単に手ェだせっかよ。」



「だって〜〜〜」


だって、悩んだよ。。私なりに。



「大切だから、大事にしたかっただけだ。そりゃ俺も男だからよォ…」



もごもごと濁す実弥さんがいじらしくてぎゅっと抱きしめた。
もう充分です。




「私でいいんですか?」


こんな、私で本当にいいのだろうか?




「タケがいい。タケじゃねェと駄目だ。結婚してくれねェか?」


2度めのプロポーズ。


返事はひとつだけ。
決まってる。


優しくて強くてかっこよくて、たまにこどもっぽくて。


常に私をドキドキさせる。
大事な人。



「はい!これからもよろしくお願いします!」



そっとはめられた指輪とともに、実弥さんの最上級の笑顔が降ってきた。


色々あった、そりゃぁ付き合うにいたるまで。

でもそのたびに支えてくれた、私も支えたいと思った。


「愛してる」


私たちはこれからも一緒に生きていく。



****





「煉獄がよォ・・・・」



帰りの車中ではこれからのことをたくさん話した。
親の挨拶とか、諸々。
目まぐるしい情報量とことの展開の早さにくらくらする。


今日はもう遅いから県境のビジネスに泊まるみたい。




「タケの…下着の話してきてよォ…」

「え!!」

まさかあの!?

「スケスケ…」

「ちちちち違います!!あれは煉獄さんが勝手に!」


慌てる私の反応をみてまた笑ってる。遊んでるな??











「今夜はタケを抱く。いいかァ…?」







赤信号で止まった。私の心臓も止まった。



そんなの…


「覚悟しとけェ…」




ずるくない?




End














小説トップ


top