01.
「そーいやタケ、もう少しで誕生日じゃん。なんか欲しいのとかないの?」
「うーん…何も欲しいものって思いつかないんだよね…」
「またまたそんなこと言っちゃって〜。何でもいいんだぜ?俺にできることであれば」
私の彼氏は警視庁警備部機動隊爆発物処理班所属の萩原研二。
久しぶりに早く退勤できたと私の部屋でダラダラしていた時のことだった。
「ほら、何が欲しい?」とソファの背もたれにもたれかかり、隣に座る私を引き寄せて頭を撫でてくる彼は、私がドキドキしていていることを絶対知ってるはず。
「わ、わたしは…」
「ん?」
「その日…一日中、研二と一緒にいたいなぁ…なんて…」
…
…
沈黙。
「なんかごめん。困らせること言っちゃって…」
そりゃそうだ。研二は警察官。
もし何か起こった時、家族や彼女に背を向けて直ちにそちらに向かわないといけない。
それが警察官というもの。
「全然っ!!これでもブランド物のめっちゃ高いバッグとか言い出したらどうしようとか思って内心バクバクしてたんだぜ〜」
「流石にそれはないかなぁ。でも、言っていいなら言おうか?」
「そんな無理しなくていいって!なら俺、タケの休みに合わせて休暇を取るから温泉行ってしっぽり誕生日祝いしようぜ」
「バッグよりもそっちの方がいい!最高!!たのしみ!」
ギュッと研二の首に抱きつくと抱き返してくれる。それをいいことにタバコと研二の香水の匂いをいっぱい吸い込む。
そんな時だった。研二のスマホが着信を告げた。
「悪い。ベランダ行ってくる」
研二の体温が離れ、スマホとタバコを持ってベランダに出た。
「タバコも持って行ったということは仕事ではないな。松田くんかな?」なんて思いながら私は自分のスマホで車で行ける温泉旅館を探し始めた。
研二と付き合い始めて2年。
毎日会えるわけでも電話できるわけでもない。寂しいと思う時もある。
しかも研二はモテる。コミュ力が高いから大抵の女性は彼のことを好きになる。
でも私は研二を好きだし研二のことを信じてるから不安とかはない。
タバコを吸ってる姿すらかっこいいと思うのは惚れた弱みかもしれない。
01. delighted
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