宇宙人!?植木耕助


友達になれそうな人を探していた。
私は小さい頃から引っ越しばっかで、薄っぺらな友情関係しか築けなかったから今度こそこの街で本当の友達を見つけたいと思った。

でも…

見つけては裏切られ、時には自ら裏切り、そんな腐った生活しか出来ない自分を、いつからか呪い続けていた。
本当の友達なんてどこにいるの?そんなことしてなんになるの?
理想の友達像なんて自分が作り上げた幻想にしかすぎないじゃない。

そして、ある日目をつけられてしまったんだ。あの“マーガレット”という地獄人に。

「君が瑠璃マミ子さんだね?僕はマーガレット。君に紹介したい人がいるんだ。出ておいで、神候補『ヤミ』」

「はじめまして。ヤミといいます。君の事はマーガレットさんからかねがね聞いているよ。
君は、ゲームが好きかい?」

「嫌いです」きっぱり

「…でも日常生活の中ではしてるって聞いたけどなあ。アニメも見てるんだろう?」

「ゲームやアニメなんて、所詮人間関係を築くための手段でしか無い。それ以外なんの用途も有りませんよ」

「…気に入った」

「君にこの能力をあげよう、好きに使うといい。ただバトルエントリーしていないものをその能力で傷つけたら君の才は1つずつ減ってしまう。いいね?」

そうして私は、あれよあれよとバトルゲームに参加することになった。

私に転機が訪れたのは、数週間前。クラスのある女子生徒が、1人の男子生徒を監視していることに気付いたことから始まった。
ちなみに私の名前は瑠璃マミ子。みんなからは“るりマミ”と呼ばれている。

出席番号2番 植木耕助。成績優秀、体育5。しかもモテる。

そしてそれの監視をしているのは、同じクラスの森あい。私はあいっちと呼んでいる。

テストのヤマを外した時、丁度その教室にいたのがその2人だった。
偶然あいっちもヤマを外して慌てふためいていたようだったのだが。

「あー、やっと終わったぁ!ん?るりマミ?」
「あいっち。そっちもヤマ外した感じ?えへへ」
「見ての通り!あーこれじゃあもう間に合わないよ。でも絶対突き止めてやる!」

「これからどうするの?あいっち…っていないし!!!」

超スピードだな!こっちも追いかけますか。

「あいっち!!!待ってよ、私も一緒に…!」

「あ、るりマミ。しーっしーっ!」
「よう森。瑠璃。ストーカーは犯罪だぞ?はっはっは」

「うっさいよコバセン…(あ〜ウザイのが来た)」
「小林先生、ストーカーってどういう意味ですか?私とくに誰も追ってないんですが」
「あー、かたっくるしいのはよせ、コバセンでいいから!お前はもうちょっと楽になれ」
「う、…はーい」

「あ!じゃ、私先を急ぐから!!!」
「あ、あいっち置いてかないで!!!」
「あー待て待て!!なんか面白そうじゃねーか。オレも行くぞ!」
「は?」

「あいっちが追ってるのって植木くん?」
「そ!植木耕助!」

「どうみても人間だけどなぁ」
「あれは「仮の姿」なの!!!絶対宇宙人よ!!!」

「よし!そこまで言うなら奴の行動をしっかり観察してみるか!生徒の日常を知っておくのもいいかもしれん」

「流石31歳。教育熱心んだねぇ」


「あ、あの!」
「ん?」

「?」


「好きです!付き合って下さい」


植木くんはモテるからなあ。あ、あいっちが感心している。あれ、コバセンは?

「あんな奴フラれて正解!アイツは別名『おんな泣かせ』の植木って呼ばれて(ウソ)」
「勝手な行動は慎んで下さい!みつかったらどーすんのよ」

ぷくーってタンコブを作ったコバセン。…あいっちそれは痛そうだよ可愛そうだよ…。

「つきあってください!」
(また告られてるし!)

と心のなかで突っ込んだあいっち。あいっちはツッコミ役かなんかか!?ああ、そうかツッコミ役か。勝手に納得した私は、そのまま、あいっちやコバセンと更に植木くんの同行をすることに決めた。

「学校出てから告白されること21回。どーなってんのコレ」
「知らんかったのか、アイツ学校でもかなりモテるんだぞ?」
「「「マジ!!???」」」
「エッ。てかるりマミも知らなかったの!?」



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