恋する気持ち



「アイツ、赤信号にも三輪車にも植木鉢にも気づかないなんて…鈍すぎるにもホドがあるわ!」
「おっかしーなぁ体育は5のハズなんだが」
「…確かにこんなに鈍いなんて不自然だね。仮の姿だからなのかな…」
「おい瑠璃、あれは森のジョークだ」

「えっ」
「…るりマミ、もっと人を疑うことを覚えなさいよ」
「あいっち…じょ、冗談だよ冗談!あはははは…」


そして、こっちではコバセンがこむそうに祈られ、あっちでは植木くんが宗教の人に祈られていた。

30分後――――。

「そろそろ断れって!(意思弱すぎ!!!自分の意見ってもんが無いのアイツ…!!!)」
「足がしびれてきました、あいっち」

「るりマミ、お前もか――――!!!(いい加減断れ!!!)」


「あ、私ちょっと用事!明日ねあいっち!!!」
「ってるりマミ!?まあいいわ、こっから先は私に任せて〜!!!」
「頼んだー!」

「コバセン?」
「便所!」

――――
「用ってなんですか、ヤミさん」
「君は一般人だ。でも植木くんは天界人。いいかい、絶対手を出してはいけないよ」
「それくらい知っています。植木くんが『ゴミを木に変える力』を持つ能力者であること」
「それから、どうしても君に会いたいって人がいるんだ」
「…誰ですか?」


「さすが天界人…一瞬で外国へ飛んじゃったよ。パスポート無しで帰れるかな、私」
「あー、来てくれたんですね」
「どなたですか?」
「あれ、ヤミ神候補から聞いていなかったんですか?僕があなたにあいたいっていう人物、バロウ・エシャロットです。中1だから同い年だよ、マミちゃん」


「…へー。それで?どうしてそのエシャロットくんが私に会いたいなんて」

「君が能力を与えられた時にフード被ってた連中いたでしょ?その中の1人が僕なんだ」
「ああ、あいつらか」

「それで、君とお友達になりたいと思って」
「いまいち話が見えてこないけど・・・」

「君、水瓶座のB型なんでしょ?その人達、恋愛は友だち関係から発展するって聞いたことがあるから」
「つまり…君は私を好きってこと?」

「…僕は植木くんと同じ天界人だ。この力で愛するお母さんを傷つけてしまった。それ以来自分の力を憎み続けた。自分の運命を呪っている君と、話が合うと踏んだんだ。君は言ったよね。『ゲームやアニメなんて、所詮人間関係を築くための手段でしか無い。それ以外なんの用途も有りませんよ』って」

「…確かにそう言ったけど」
「僕も同じです。でも、僕は君とゲームをして、アニメを見て、一緒の時間を過ごしたい。ただの手段にだけはさせたくないんだ。その先にある温かいものを2人で見つけていきたい」

「…キレイ事ばっかり。私、面倒くさがりで自分に自身が持てないくせに、プライドが
高い最悪な人間なんだよ。君はとっても綺麗だよね。私よりきっといい生活を経験してる。
私はまだ誰かを本気で愛せるほど大人じゃない。私の目的は、本当の友達を見つけることだから」



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