26

「いたた。分身でもそれなりに痛いんだけど」

 “影分身”から得た情報を考えながら、痛む胸をさする。
 ロビンのいた倉庫に向かうに当たり、そのまま身一つで赴くには何となく危険なように感じた。だから万一に備え、影分身を“変化の術”で姿を変えて向かわせた。約束は守るものだしね。
 案の定ロビンのもとには実力者がいたし、もし本体なら死にはしなくとも、一戦交えてかなり面倒なことにはなっていただろう。
 “影分身の術”とは、実体のある・・・・・分身を出現させる術。ただの分身とは違ってチャクラをかなり持っていかれるが、影分身自体が意志を持って活動できる上、影分身に起きたことは、術が解除された後で本体も経験したことにできる。それなりに修行を積んでいるのであれば非常に便利な術だ。
 ちなみにその“経験”の内にはダメージも含まれるため、影分身を消されるほどの攻撃がされたということは、それ相応に痛いのである。死なないけど、痛い。

 ただ、それを我慢するだけの収穫はあったように思う。
 ロビンと共に倉庫にいた人物の一人、それはガレーラカンパニーの船大工、カクさんだった。つまり昨日メリーを見てくれた彼は船大工が本業ではないようだ。……ただ、メリーへの診断は正しい船大工としての判断だったのだろう、とも思う。船大工達はこの町の人にとって尊敬される存在だ。そんな存在の船大工の職長が、適当な仕事をしていてバレない訳がない。…まあ、メリーの件は一応確認はするべきだろうけど。
 それから最後に攻撃を仕掛けてきた男もまた、船大工の一人だったはずだ。わたしとは直接的な関わりはなかったから名前までは知らないけど、昨日の場にもいた人物だ。…正直、あんまり顔は覚えていなかったけれど、強そうな気配だと思ったことを記憶している。まあ昨日の段階では、船大工の中には腕が立つ人がいるんだなあと思っていて、まさか政府らしき関係の人だなんて思いもしなかったけど。
 とにかく、彼らがアイスバーグさんの部下なのは仮の姿で、ロビンに何かしらの“約束”を取り交わすとこで彼女を従わせ、今晩アイスバーグさんに何かをしようとしている、ということはわかった。それから彼らは、わたし達麦わらの一味を消す事は、ロビンとの“約束”に違うようだ。

 うん、やはりなかなかの収穫だ。もちろんまだわからないことの方が多いけれど、今朝の状況に比べればかなりましと言える。
 このことはみんなに情報として共有したいし、今晩事が起こる前に一度どうにかしよう。
 ただ、その前に少し確認しておきたいことがあって、わざわざ歩いてここ、ブルーステーションまでやってきた。

「駅員さん」
「うん?どうしたのかなお嬢さん?」

 少し屈んで、目線を合わせながら笑いかけてくれた人の良さそうな男性に、子どもらしい表情で話しかけた。ちなみにさっき見つかった時の男性の姿からギャップがあるように、10歳前後の女の子の姿にしておいた。

「“エニエス・ロビー”まで行きたいです!今日の夜のに乗れなかったらしばらく行けない?列車がダメならお船とかでもいいの」
「うーん、そうだね。“アクア・ラグナ”が来るし、“海列車”じゃなきゃ行けないなァ。今回のはかなり大きいし、しばらく船も難しいと思うよ。あ、それとお嬢さん、今日の23時に確かに最終便があるんだけど、それには乗れないと思うよ」
「えっ!そうなんですか?」
「うん。政府の偉い人が貸切にしてるんだ。だから滅多なことがなければ乗れないと思うよ」
「そうなんだ…。わかりました!じゃあまた今度にするね。教えてくれてありがとう駅員さん!」
「どういたしまして」

 最後にまたにっこりと笑ってから、ちょっと駆け足気味で人混みに紛れた。
 なるほど、やっぱり今夜、彼らはアイスバーグさんのところで何かを起こしたあとエニエス・ロビーに向かうのだろう。しかもその海列車を逃せば後を追う方法もないときた。彼らにとってはかなり都合が良さそうな計画だ。
 ……今夜はアイスバーグさんのところへ行こうと思っていたんだけど、どうしようか。
 おそらく、向こうではそれなりに戦わなくてはいけない可能性が高い。そこに向かうのに影分身では難しいから、わたしが向かうしかない。しかしこちらに残しても、バレて分身を消されたらその先はない。
 どうしたものか、といささか子どもには似つかわしくないシワを眉間に寄せ始めたところで、向こうからこちらに来る気配に気づいて眉間の力を解放した。
 こちらに向かっているようなので、道の端に寄って彼を待つ。ゆっくりとした歩みでタバコを燻らせる彼を見つめながら待てば、視線に気付いてこちらを向いたのでにっこりと笑う。

「サンジお兄ちゃん」

 ゆっくりと瞬きをして、少し考える様子を見せたサンジは、数秒だけ間を開けて、

「……ヨウ、かい?」

 正しく名前を呼んでくれたので、さらに深く笑いかけた。

「うん、そうだよ。よくわかったね」

 周囲の人から見て違和感を与えないように、仕草や表情は子供のまま言葉選びだけ普段と同じにしたからか、サンジは少し苦笑気味で頬をかく。

「君の話しかけ方は特別だからな」
「そうかな?っていうかサンジ、そんなびしょびしょになって、どうしたの?」
「あァ、そうだ。さっきロビンちゃんに会って、」
「そう。じゃあその話をする前にまずはタオルを買ってくるからここで待っててね」
「へ?」

 驚いてか、思わず言葉に詰まっているサンジをその場に残して、近くのお店に走る。なぜかわからないような表情だったけど、逆にあんなにびっちょりなまま歩いていることの方が驚きだ。
 急ぎ足で入ったお店はちょうど雑貨屋で、良さそうなタオルを一枚購入してサンジの元に戻った。

「はい、これでよく拭いて。洋服も探す?そのままじゃ風邪ひいちゃうんじゃ……」
「いや大丈夫。おれ風邪ってひいたことねェんだ」
「えっ?」

 まさか、と思ったが、思い返してみれば自分自身も覚えている限り風邪はひいていないため、複雑な気持ちでわかったとうなずくしかなかった。

 二人とも顔はバレていないものの、話の内容が内容なので、路地裏に姿を隠して話をすることにした。ちなみに子どもの姿では違和感がすごいとサンジが言うので元の姿に戻している。
 周囲の気配と声のトーンに注意しながらロビンと会った時のことを聞けば、彼女は一味に戻る意思がないこと、アイスバーグさんの屋敷に侵入したのは彼女で、これからもっと事態が悪化する、と告げて姿を消したらしい。水路越しに姿を見せた彼女を追おうとして飛び込んで、先程のように濡れてしまったのだそうだ。ただ、結局追いかけるには間に合わず、このことをルフィ達に伝えるようにチョッパーに伝え、別れてここまで来る途中、わたしに会った、ということらしい。

「なるほど」
「おそらく、ロビンちゃんは……何かを隠してるんじゃねェかって、おれは思う。その隠してる何かが何なのかなんてわからねェけど、“青雉”の言葉に被るんだ」
「うん」
「彼女が抱える“闇”が何なのかは知らねェが、それに海軍や政府が関係してるんじゃねェかって……それでエニエス・ロビー行きの列車が出る駅あを目指して歩いてたら君に会ったんだ」
「そっか」
「…あ、それと、ロビンちゃんはヨウのことを気にしてる様子だった。『何でも屋さんは今どうしているの?』って」

 それ以上のことは何も言わなかったらしいが、やはりあれがわたしだったことには感づいていたようだ。

「何か心当たりがあるかい?」
「うん。一度、彼女達と接触したから」
「彼女“達”?」
「そう、ロビンと、あと二人いたよ」

 その言葉に目を大きく見開いたサンジは、咥えたタバコを取り落としそうになりながらわたしの全身に目を向けた。
 とは言え、わたしはいつもの外套を着ているので、何かあっても見えはしない。それが逆に心配を誘ってしまったのかもしれない。

「そ、れは…こうして話せているってことは大丈夫だったんだろうが、ケガとかしてないんだな!?ロビンちゃんが心配する程、ってことだろ?」
「大丈夫、大丈夫だよ。念のため変化させた影分身を向かわせたから。ちょっと油断してて見つかっちゃったんだけど、わたし本体ではないし、姿も変えてたから。…たぶん攻撃されて目の前で消えたから心配してくれたのかもしれないね。あ、それからサンジもありがとう、心配してくれて」

 ダメージは一応ある、ということは内緒だ。ただそのおかげか、彼の安心料を払うことはできたようで、小さく溜め息を吐いてから笑顔が浮かぶ。

「君を心配するなんて当然さ」
「ふふ。でもきちんと、約束は守ったでしょ?」
「あァ、そうだな。……なら、これからも逐一約束を取り付けないといけねェな」
「おや、それは大変」

 お互い笑ったところで言葉遊びを終えてから、取り急ぎこちらでわかった情報も彼に伝える。サンジの推測を後押しできる情報には頷いて、また知らなかった事には驚きを隠さず目を丸くしていた。

「じゃあ、市長は内に敵を抱え込んじまってる、ってことか…。気付いてねェんだろうな」
「だろうね。まあ、今更わたし達みたいや外野が何言ったところで」
「聞く耳はもたねェだろうな」

 サンジのその言葉に、同意を込めた苦笑いを送る。まあ普通に考えて、ちょっと顔を合わせただけの海賊と、自らの部下として勤めてきた職員の言葉では、どちらを信じるかなんて聞くまでもない。

「だから動くしかないんだけど、アイスバーグさんのとこに向かうのかこっちで待つのか迷ってたところだったんだ。だからサンジが来てくれて助かったよ。サンジがこっちを張ってくれるんでしょ?」
「あァ、そのつもりで来たからな。そっちは任せて大丈夫かい?」
「うん。まあ、まだわからない事が多いこの状況じゃ、どこまでできるかはわからないんだけど…」
「だが、その時のためにおれがいる」
「うん、そうだね。ありがとう」

 そう言えば、今まではずっと一人だった。情報を集めるのも依頼をこなすのも、基本的にはわたしだけ。
 でも今は、こうして頼りにして任せられる仲間がいる。それはなんて幸福なことなんだろう。

「…ははっ、何か、昨日からサンジとは意見がよく合うね」
「あァ、そう言やそうだな」

 だから、そんな大切な仲間との時間を、彼女の意思と関係ないところで断たれるのだとすれば、それは受け入れられるものじゃない。

「ねえ、サンジ。今回のことが全部終わったら、みんなで、コーヒー飲みたいな」
「もちろん。レディ達にはとびっきりのデザートを用意いたします」

 みんな、に含まれる名前を理解して答えてくれたサンジに、笑顔でありがとうを返した。


 サンジと別れ、姿をまた変える。向かうのはガレーラカンパニーなので、それなりに見える姿にしておいた。
 おそらく、チョッパーから連絡を受けたルフィ達も今晩はここに来るはずだから、その時に一度合流しようと思っている。
 できればアイスバーグさんにも一言くらい…なんて思わなくもないが、中に“敵”がいるとわかっている以上、無駄な接触は避けるべきだ。だから突入は今夜、“何か”が起きてから、と決めている。彼には申し訳ないが、優先順位は仲間、それは揺らがぬ事実だ。
 バレないよう、気配に注意しながら建物の周りを探る。中には“麦わらの一味がまた攻めてくること”を警戒している船大工達が無数におり、お邪魔するのは難しそうだ…が、わたしは入れそうなので、ここでも念のため影分身を建物内に送り込み、無理のない程度で探りを入れておく。
 何かまずった時かアイスバーグさんの部屋がどこなのかわかり次第、影が戻ることになっていて、無事後者の理由で影が戻ったことに安堵しながらも、案外内側に入られた時のセキュリティの甘さには残念な気持ちを隠しきれない。なまじ腕が立つ者が多い故の油断だろうか。とても大切にされている市長の住まいがあるのなら、もう少し気を配るべきなのでは、とも思ったが、もしかするとアイスバーグさん本人の希望なのかもしれない。まあ、その辺りは余談なので良しとしよう。
 わかった情報を整理しながら外から観察していれば、あっという間に時間は過ぎ、辺りは闇の時間となっていた。風は強くなる一方で、“アクア・ラグナ”の強大さには畏怖の念を抱く。
 ゴーゴーと鳴り響く風の最中、親しみ深い気配に口元を緩めた。朝も会っているというのに、何だかとても久しぶりな気がしてしまう。動きを止めた気配の方向に向かえば、普段よりは抑えた声が聞こえて来る。このままでは誰かわからず混乱するだろうから、変化は解いておこう。

「夜は長ェが気を抜くな…。今夜チャンスを逃したら…何のわけもわからねェままお別れだ。もう二度とロビンを追うアテはねェと思え…!」
「絶対捕まえてやるさ!」
「ロビンを?」
「そうだ……?ぬわっ!」
「うわー!」
「きゃー!」
「っ!ヨウかよ!」
「もうっ!びっくりしたじゃない!」

 木の上から様子を伺うみんなの背後に降り立って声を掛けた。驚かすだろうとは思っていたけど、仕方ないところもあるので勘弁して欲しい。

「ごめんごめん。わたしもいろいろあって、大っぴらには来られなかったんだよ」
「あ!そうだヨウ、ケガとか平気なのか!?あ、えっとな、おれロビンに会ったんだけど、その時に…」
「ああ、大丈夫だよチョッパー。その辺りの経緯はサンジから聞いたから」
「サンジに会ったのか?」
「うん、偶然だったんだけどね。ロビンに会った事とかその時ちょっとわたしの事を気にしてくれてたっていうのは聞いたよ。…その件も含めて、わたしの方でわかったことがいくつかあるんだけど、聞く?」

 わたしの問いに三人が頷いた。ルフィは神妙な顔をしているけど、たぶん意識は建物に向かっていて心ここにあらず、という感じで聞いてはいなさそうだ。
 まあルフィにとって大事なのは、経緯ではなく結論だろうし、別に聞いていなくてもいいだろう。

「チョッパー達がロビンに会う前、わたしもロビンと会ったんだ。まあ正確には、“変化”をした“影分身”のわたしが見つかった、っていう感じだから、わたしとロビンが会った、だとちょっと語弊があるんだけど」
「まァ細かいところは良いわよ。それで?」
「うん。ロビンを見つけたところに影を送ったら、そこにはロビンと、あと二人いたんだ。そこで今晩、アイスバーグさんに対して何かを起こすっていうことと、その二人はおそらく政府の関係者であること、その二人にロビンが従っているのには、何か“約束”事があってそれを守らせるため、らしいことはわかった」
「“約束”?」
「残念ながら、その“約束”の内容はわからなかった。けど、ロビンにとって大事なことなんだと思うよ。直接聞いたんじゃないけど、何度も念押ししているみたいだったから」

 ロビンが約束させる大切なことと言えば、まず出てくるのはロビンが叶えたいと言っていた“歴史の本文ポーネグリフ”についてだろう。だけどそれを探ることは、政府によって禁じられているはず。…その政府に加担すれば教えてもらえる、というのは安直すぎる気がしてならないし、そんな案に、ロビンは乗るのかな?
 それ以外で、ロビンが自分の自由を投げ打ってまで守りたいもの……わたしが思いつくのは希望的観測だと言えなくもないし、確信がない今は口にはまだ出来ない。

「その“約束”ってやつの中身がわからねェと、問題は解決しねェだろうな」
「うん、わたしもそう思う。アイスバーグさんの部屋がどこかは事前に確認してあるから、ロビンが来たらすぐ向かうつもり。あ、それからロビンと一緒にいた二人なんだけど、」

 言いかけて、突然鳴り響く爆音に、つい言葉を止めて音が聞こえる方向に意識を向けた。

「うわ――!爆発したぞ――!!」
「…わかりやすいと言えばわかりやすいけど、たぶん“何か”始まったんだろうね」

 ただ、見つからないための対策で離れたところにいるため、ここからでは距離がありすぎて、肉眼ではほとんど情報は取れない。まあ見えたところで、おそらく右往左往する船大工が見えるくらいだろうけれど。

「ヨウ」
「ん?」
「ロビンは近くにいるか?」
「いや、感知できる範囲にはいない」

 ルフィは性格上、待つのは得意ではない。こんな状況で、これ以上待てはしないだろう。

「一応言っておくけど、アイスバーグさんの部屋はあっちの方角だよ」
「わかった!」

 そう言うや否や、というか食い気味に飛び出して言ったルフィを見送る。
 さあ、わたしもそろそろ行かなければ。
 本当なら、ロビンの秘密を暴くのは本意ではない。言いたくないなら言わなくても良い。…けれど、今回ばかりはそうも言っていられない。彼女が本当に在りたい場所を知るために、行かなくては。

「……うわあ――…もうだいぶ騒がしいぞ!」
「あれ?ルフィは?」
「「えっ!?」」
「あ、さっき、爆発のすぐ後かな。飛び出して行ったよ」
「わかってたなら止めよろ!」
「無理だって。言って止まるならルフィじゃないからね」
「「「……」」」

 否定はできないらしく、みんな少し遠くを見つめている。

「さ、わたしもアイスバーグさんの部屋に行こうと思うんだけど、みんなはどうする?一緒に行こうか?」
「…いや、お前は先に行け」
「…そうね。私達も行くけど、こっちはゾロが居れば戦力は足りるだろうし、それにルフィが突っ込んだなら案があるわ!状況を確認するためにも、ヨウには先に行ってもらってた方が良いわね」

 確かにゾロがいれば、突入の戦力は問題ないだろう。あの二人に、それから他に仲間があるとして、おそらく主犯はアイスバーグさんのところに向かうはず。なら、いるのは船大工達だけだろうから。

「うん、わかった。先に行くよ」
「でも、気をつけろよ、ヨウ」
「わかってる」

 少し不安気に眉を寄せるチョッパーに、安心させるように微笑む。

「また約束しておく?」
「…大丈夫だ。おれはヨウを信じてからな!」
「ふふ。ありがとね、チョッパー」

 不安は隠しきれなくとも、本当に信じてくれているらしい複雑な表情で、わたしの手をギュッと握ってくれた小さな彼を一度抱きしめた。

「ヨウ、頼んだわよ!」
「うん。ナミも気をつけてね?」
「わかってるわ!何かあったらコイツらを盾にするから大丈夫!」

 グッと親指を立てた彼女に笑顔を返す。ちなみに二人からは微妙な表情が注がれている。

「ゾロ、よろしくね」
「…さっさと行け」
「うん」

 しっしっと追払う仕草の頼もしいゾロに是の返事を返しながら、言うべきことを伝える前だったことを思い出した。

「あ、ロビンと一緒にいた政府関係者らしい二人組だけど、船大工の人達だったから気をつけてね?わからないけど、他にも仲間がいるかもしれないし」
「「「は?」」」
「ちなみにその二人は、鼻の長い人とシルクハットに顎髭の人だよ。じゃあ、また後で」

 後方から驚愕の声が響いているけれど、もうわたしも飛び出してしまっているから……ごめん?

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