December

野々原茜へのお題は『愛してる、って言ったら満足?』です。
「茜ちゃん、キスしてもいいかな」
「……なまえちゃん。こんな関係やめようよー!」
「やだ、わがままかもしんないけど、やめたくない」
「もお! どうしてそんなにシリアスムードなの?? いつもみたいに明るくいこーよ! ねっ?」
「私は真剣なの! 私は、茜ちゃんが好きなの。どうしてわかってくれないの」
「……茜ちゃんが、愛してるって言ったら満足してくれるの?」
「へっ?」
「だ〜か〜ら〜!茜ちゃんがなまえちゃんに愛してるって言ったら、もうこんなことしない?」
「そ、そんな……」
「茜ちゃんはなまえちゃんがすきだけど、それはloveじゃなくてlikeのほうだかんねっ! だから、もうやめよ?」

貴方は中谷育で『救うのは僕じゃない』をお題にして140文字SSを書いてください。
育ちゃんは、私の近所に住んでる子だった。小さい時はよく泣いている子で、あの時は私が頭をなでて、額にキスをして慰めていたけれど、今は違う。少しだけ身長も伸びて、心も大人っぽくなって、アイドルにもなった。少し前までは、私の隣で声を殺しながら涙を流していたのに、もう私の隣にはいない。あの頃、私が救っていた育ちゃんの涙は、誰かのものになっていた。

萩原雪歩へのお題は『幸せすぎて泣きたくなるの』です。
明日は、一年で一度だけのクリスマスイブ。それと、雪歩の誕生日。いつもみたく劇場のみんなでお祝いしようと考えたけど、それでは物足りないかもしれないと思い、今年は私一人だけで日付が変わったらすぐに雪歩を呼び出すことを決めた。迷惑かもしれないけど、お家に突撃してご両親にお世話になってしまうのも気が引ける。ある程度雪歩のうちに近い公園で待っていると、雪が降ってきた。何もせずとも恋人たちは浮かれ気分で街を歩くというのに、今年はホワイトクリスマスになってしまうのかと思ったが、雪歩が喜んでくれるなら良しとしよう。そんなこんなで後数分で日付が変わりそうになると、携帯電話を持つ手が震えてきた。寒いのもあるんだろうけれど、緊張してきて指先の感覚が無くなりそうだ。息を吹きかけながら雪歩に電話をかける。今日は遅くまで起きていてと頼んでおいたが、果たして電話に出てくれるのか……
「もしもし、雪歩、なまえです」
『もしもし?なまえちゃんどうしたの』
「えっと、雪歩の家の近くに公園あるでしょ、できれば今から来てほしいなぁって。ご、ごめんね! 迷惑だよね!!」
『今から、だ、大丈夫だよ! ちょっと時間がかかるかもしれないけど、待っててもらってもいいかなぁ?」
「うん! こんな遅い時間に呼び出すなんて悪いことしてるんだから、待つことぐらい全然平気だよ!」
『そ、そっかぁ、じゃあ急いで準備しちゃうね!」
「了解!」
……よ、よかった。とりあえず誘うことには成功したぞ。これから、雪歩にプレゼントを渡すのだが、無難にネックレスを選んでみた。デザインはシンプルなもので、ありきたりすぎるかもしれない。まあ、ここまで来てしまったので変更することは出来ないんだが……。と、思うのもつかの間、誰かが走る足音が聞こえてくる。きっと雪歩だろう。結構早かったから、あんまり心の準備はできていないが、一発勝負だ。失敗したって雪歩は優しいから、慰めてくれるはずだ!
「なまえちゃん……、遅くなって、はぁ、ごめんねっ」
「そんなに焦らなくてもよかったのに……」
「でも、なまえちゃんに、会えるって思ったらうれしくって」
「あ、ありがとう……、そ、の。お誕生日、おめでとう」
「へ?あっ、きょ、今日って、私の……」
「あっーと、これ、プレゼント、だから」
「開けても、いいかな?」
「うん」
私、ぶっきらぼうすぎるでしょ……いくら緊張してるって言っても、もっと優しくできただろう……
「わぁ、これ、可愛いねっ!」
「ほ、ほんと?」
「うん! すっごく、かわいいよ! ありがとう、なまえちゃん!」
「喜んでもらえて、うれしい……」
「なまえちゃんに、お祝いしてもらえるなんて、私は幸せものだなぁ」
「って、な、何泣いてんの!」
「だっ、だって、私……」
「そんな泣くほどのことじゃないでしょ……」
「ううん、すごく嬉しくて、幸せで、泣けちゃうぐらいだよ」
「……あっそ、ばか」

貴方は高山紗代子で『来世は他人がいい』をお題にして140文字SSを書いてください。
私の妹のなまえは、それはもう可愛くてかわいくて、目に入れても痛くないほどだ。仕草や言動、声や用紙、全部が可愛くて、もしかしたら天国から外界に逃げ込んできた天使なんじゃないかとも考えたことがある。こんな事を考えてしまうなんて、百合子の影響かしら。なんて思いながら、あの子と私の写真を手に取る。いつも一緒にいて、いつも笑い合っていた。今だってそれは変わらない。変わらない、だからこそ、変わってしまった私の想いは告げられない。昔のままの、純粋な好きという気持ちで入れたら、どんなによかったか。どんなに、幸せだったか。