March

ロコへのお題は『簡単な嘘くらい見抜いてよ』です。
今日は空に雲ひとつなくて、いい気持ちですね。今夜は月が綺麗でしょうか。なんて、わかりやすい嘘をついてみた。窓の外では台風の影響で木々は激しく揺れ、雨は地面を叩いている。それなのに、ロコはそうですね、いい天気ですって上の空。恋、してるのかな。私が名も知らない誰かに。だって、ロコのこと考えてる時の私みたいで、胸の奥がきゅって締め付けられる感覚がした。好き。ロコのことが。言葉にするのは簡単で、声にするのは難しい。どうすればいいの、この想いは。

貴方は七尾百合子で『逃がしはしない』をお題にして140文字SSを書いてください。
「待ちなさい! 貴女は一体誰なの!」
「私の名? そうね、なまえとでも名乗っておこうかしら」

妖艶という言葉がひどく似合う微笑み方をした彼女は、かつての私が憧れた伝説のアイドルヒーローだった。

「なまえ、あ、あなたは。伝説のアイドルヒーローの、なまえなの?」
「懐かしい呼び方ね。今はもう、関係のないことだわ。だって、私は闇に染まってしまったんだもの……」

必ず、取り戻してみせる。あの日、私を助けてくれたアイドルヒーローを。あの時、私が憧れたアイドルヒーローを!

「ありがとう、百合子」

激闘!アイドルヒーローズ〜囚われのヒーロー〜
07月65日 全国ロードショー

同時上映!3匹の子豚ハウス!

前売り券には「ミニデストル刀」と「3匹の子豚」のストラップがついてくる!

貴方は佐竹美奈子で『君とだから出来る』をお題にして140文字SSを書いてください。
「……ごめん。私が料理、へたっぴだから、怪我させちゃって」
そう、私の指にできた赤い線を見て唇が震えていたのは、正直嬉しかった。私がもっともっと小さい頃は、こんなのは比じゃないくらいに傷をつけていたし、はじめは、誰でも間違える。失敗して学ぶことは、成功して学ぶことよりも多い。そんなことを考えながら、エビの殻を取っていく。なまえちゃんは、エビチリ好きだったけかな、辛いものはそこまで苦手じゃなかったから大丈夫かな、なんて思いながら私は言葉を紡いだ。
「大丈夫。こんなの全然痛くないから、エビチリの他には、なにがいい?」
精一杯の笑顔で、精一杯の優しさで、包み込んでとかしていく。少し、うつむきながら、回鍋肉、と呟いたなまえちゃんは冷蔵庫に手を伸ばしていた。

貴方は高槻やよいで『これ以上甘やかして、どうするの』をお題にして140文字SSを書いてください。
やよいは、私に甘い。それはもう、砂糖菓子を溶かしたかのようなどろどろとした甘さだ。私の方が年が上だというのに、姉のように世話を焼いてくれる。それが不満なわけではない。ただ、ほんの少しでいいから私のことを年上として扱ってほしいと思っているだけだ。理由は、まあいろいろあるが、強いて言うなら、私が甘やかされるのに弱いといったところだろうか。もともと、両親が共働きで兄弟もいない私は愛情に飢えていたわけではないが、甘えるのが下手になっていた。そこに、やよいは砂糖水をとろとろと注ぎ込むように、甘すぎる愛情をくれた。温かい気持ちは、私の心に絡みつき、やよいのことがいつの間にか好きになっていた。こんなにも、私のことを甘やかして、やよいはどうするつもりなのだろう。

貴方は福田のり子で『キミ専用口説き文句』をお題にして140文字SSを書いてください。
なまえは、可愛い。ほんのりとドジっ子気質が混じっている、姉御肌な女だ。男前、とは言わないけれど、気前のいいその性格に似合わない突発的なうっかりは、頬が緩んでしまう。だから、私はいつも言っていた
「なまえが心配だから、アタシが隣にいてあげる」
と。皿を割って指を切ってしまったり、なにもないところで転んだり、春香と現場が一緒になった時は、ドジが多発し現場が大惨事になったこともある。そんな彼女のことが放っておけない私は、いつの間にか絆されてしまっていたようで。いつも言っていたあのセリフは、口説き文句になっていた。