07:これが俺たち!!

「来ちゃったあ〜!」
「お久々に来たよ〜お!」
「・・・」

櫻「オノとシモノは、」
柿「連れションしてるらしいよ、なうで!」
「・・・、」
杉「(女王さんが黙ってるううう)」

さしずめ絶望でやられた感覚か。これからしなくてはいけない隣国との交友会の企画の打ち合わせ準備や、自国を背負って戦った者への報酬を含めた予算案など、今日は大きな仕事が多くて、昨日あたりから屋敷の皆がいらいらとしている。

宮「どうした。どうした!?」
入「女王様が何も言わないんだけどお〜!」
櫻「おまえら、帰れ」
宮「えっ?!なんでっ」
入「それはおかしいって!」
「サッカーで忙しい。隣国の選手達が頑張っているから応援したい。つまり、その」
鈴「帰れってことやんなあ?」
宮「いや待って!今日は月5の俺たちのパフォーマンスお披露目会でしょ?!」
中「そもそも月5はつらいんだわ。察して」
宮「察、する・・・???」
入「なにそれ」
中「いや毎週言ってっから」

テンションの高さがアダになる。多分そんな感じで、すぐに調子こくのが人の真骨頂なのかもしれない。なににも最終的に付いてくる結果でしか、俺たちは判断できないから。

宮「いや、でも言わせてもらいますけど!月5で毎回新ネタを持ってきてるうちらすごくない?!」
杉「へー?すげえ」
福「待て。流されるな新人。こいつらは調子乗らせたら最後、満足するまで城から出ていかねえからな」
杉「まじっすか」
中「さっさと出禁にすりゃあいいのに」
入「いいじゃん!踊らせてよー!」
宮「おーどりーたいー。うーたーいたいー」
谷「・・・女王、仕方ねえから好きにさせてやろうぜ」
「キショウはいつも同じことを言う」
谷「いーじゃねえの。てかそうしねえとこいつらいつまでも帰んないから」
「・・・」
谷「5分な、お前ら。5分で披露して、帰れ」
櫻「5分で立ち退かない場合、キショウによっておまえらを処刑する」
宮「えっ」
「リョウヘイも連れてきた方がいい。早く終わらせたい」
谷「大丈夫よ、女王。俺だけでらくしょーらくしょー」
入「(マモちゃん、・・・いけるかな)」
宮「(や、やってやるしかねえ。図々しさが俺らの売りだろ?!)」
鈴「はい、それではよろしくお願いしまーーすどうぞ」
宮「うっそ、はや」


はーい皆さん今日は俺らのSHOW☆TIMEにようこそぉー!歌って踊れる俺たちのイケてる姿!1秒たりとも見逃すなよ!?いくぞMIYU!ああ、MAMO!それでは聴いてくれ!!「マジYABAレボリューションズ☆☆」!!!


「彼ら、自分たちの状況を案じてこの選曲かしら?」
櫻「ええ・・・左様かと」
福「今1番この中でやばいのはあいつらだな」
柿「だね」
中「いろんな意味での、やばいがね」
福「命懸けだかんな、なんつったって」
谷「スズムラいま何分?」
鈴「あと15秒でサヨナラやな、」
谷「・・・うっし」
杉「に、逃げたがいいぞ!おまえら!ナイスパフォーマンスなのは認めるから!!!逃げて!!」

まだ新人のスギタからは彼らに対する優しさが感じられるが、それもあと何回かで消え去るのだろう。キレッキレのパフォーマンスが虚しさと清々しさを運んでくることが、彼らのすごさだと俺個人的には思っている。おつかれさまです。

鈴「・・・時間や」
谷「おっしおまえらー死ぬぞー」
入「えっえっ嘘じゃん!!まだ2分しか!」
谷「あ?俺たちの砂時計は5分をお知らせしたんだよ文句あんのか」
宮「ぎ、!詐欺だ!詐欺こりゃあおええ」
谷「いや、ね、俺はお前ら好きよ?でもなー今日は来た時間が悪かった」
宮「ちょ、まっ、まってキショウさあああん!!」
櫻「・・・行きましょう女王」
「、ええ」

キショウとあいつらの追いかけごっこが始まったので、もう俺らに出る幕はない。女王に手を差し出すと、細い指が軽く乗せられる。2分も時間を割いてやったことにむしろ感謝してほしいほどである。しかし、

櫻「、女王?」
「・・・楽しそうね、彼ら」
櫻「・・・ですね」

進みざまに、おもむろに後ろを振り返ってあいつらを見送る女王は結局のところ優しいのだ。そのことを知っているので、進む足を少し緩めて、女王の他愛もない慈悲を許す。今日も屋敷は騒々しく、愉快らしい。




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キショウは追いかけごっこを楽しむと一緒に歌い出しパフォーマンスに参加し始めるので、彼らはまたひと盛り上がりします。キショウに元々捕まえる気なんてさらさらないのです。そして、このあと女王たちが様々な会議を終えてもどると、キショウとミヤノとイリノの飲み会(打ち上げらしい)が始まっており、サクライがブチ切れます。ヤスモトはさら〜っとつまみを提供するので、彼もきっと共犯者。