ていねいで、あたたかくて、どこまでもかわいいひと。あなたはまっすぐで、甘えるのが上手で、そのやわらかな瞳は、わたしの心を一瞬でうばったの。

「、どうだろう」
「・・すっごいきれい」
「えー?ほんとにい?」
「、ちょっと泣きそう」
「えっウソでしょなんで」
「ほんと、似合ってる」

白に包まれたこの姿は、どんなひとでも輝けるように作られているらしい。ちょっと重たいヴェールに頭を引っぱられるような感覚は、とても慣れないけど、感極まるあなたを見たらもうそんなのはどうでも良くなった。

「こんな日って、来るんだねえ」
「うん、」
「わたし達、いまからしあわせになっちゃうんだなあ」
「・・しあわせにするよ。ずっと。かならず」
「・・よろしくね?」
「ん、うん」

鼻水をすすりながら、力強い目でわたしに誓いを立てる、そんなあなたが好き。すこし恥ずかしくなって手元のブーケに視線を落とすと、タキシードを着こなしたあなたは1歩私に近づいて、名前、と呼ぶ。

「ありがとう」
「?」
「生まれてきてくれて。おれと出会ってくれて」
「ふふ、こちらこそ。ありがとう」
「、っ」
「わたしを好きになってくれて。わたしの時間を共に過ごしてくれて」

笑うのか、泣くのか、あやふやな顔を見て、たまらず吹き出してしまうわたし。なんて、しあわせな構図なのだろうか。なんの価値もない人生だった。誰かと肩を並べられる生き方などしてこなかったのだ。ずっと、誰かが唱えるしあわせをただ眺めていた。でも、あなたという存在がありえなかったわたしの"しあわせ"を運んできてくれたの。

「こんなにしあわせな日があって、いいのかな?」
「なにいってんの。これからはもっとあるんだよ」
「んーそういうものなのかねえ、」
「そうだよ」
「・・どうしよう」
「え?」
「どきどきしてきた、」

ゲームみたいな毎日に踊らされながら、必死に生活する。人間とはなんて粋な存在なのだろう。愚かな罪人でありながら、求めるしあわせにしがみつくのだ。許しと受容のはざまで、たくさん泣いてたくさん笑うの。

「え、ぎゃくに今までしてなかったの?」
「いや、なんか先のこと考えちゃった」
「ん?」
「いないと生きていけなくなっちゃうよ」

かみさまとは誓ってやんないが、今日はあなたにだけ誓う。わたしの事を一度も裏切らなかった、かみさまよりも素晴らしいあなたにだけに、わたしは誓う。あなたがずっと笑えますように。あなたと、たくさんのあたらしい発見をして、その鮮やかな世界をともに味わえますように。

「寂しくさせないよ」
「うん」
「名前はずっと、俺と生きるよ」

夢よりも儚くて、生命より確かなこの今がある限り、もう迷わずに生きていける。それはあなたという灯りが、わたしの過去もこれからもぜんぶ照らして抱きしめてくれるから。おもい荷物は、もう何もないよとあなたは言う。わたしはあなたのどんなに僅かな荷物でも一緒に背負いたいと思う。平等でない明日が来ても、それをふたりで迎えようときっとあなたは言ってくれる。

「、愛してるよ」
「ふふ、わたしも」

すべてを受け容れよう。明日見る街の景色は、きっと一変する。世界が、わたしたちを祝福する。

@@輝きつづける一生





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