たつは家に来た。というか、仕事が同じだったのでそのままわたしの家についた。自然な流れだった。それがわたしにとっては嬉しくて、ついつい一緒にした買い物でたつの好きなものばかりを揃えてしまう。

「なに作ってくれんの?」
「うーんとね、ひみつー」
「教えろよー」
「たつの好きなのだよ」
「俺が好きなのは、彼女」
「…うるさい」
「照れてるー、」

いっつもいっつもたつはずるい。何食わぬ顔で平然とわたしに好きだと言って、いつだってわたしをどきどきさせる。振りまわされてばっかり。わたしがたつより優位に立ったことは今まで一度も無い。

「この前は、ごめんな」
「え?」
「飯作ってくれてたのに仕事で行けなくて」
「…あ、ああ」
「突然仕事になってよー」
「だよね?その日休みって前たつ言ってたもん」
「ん、急に呼ばれた」
「そう、なんだ」
「うん。ごめんな?」

ごめんな、と言うたつは眉を下げて本当に申し訳なさそうにこっちを見ている。まるで犬みたいだ。そんな顔をされたら許すしかないじゃん。じゃあ信じるよ。だってたつの言葉はいつだってわたしの中で滞在していて、たつが言うことはわたしの全て、だから。

「仕事だったら早めに言ってくれると嬉しい、かな」
「おう、分かった」
「うん」
「てか、仕事休みとか覚えてくれてんのね」
「えうざい?」
「いや、なんか嬉しいなって」
「はえ」
「楽しみにしてくれてたんだろ?」

にやりと笑った後に、2人の目が合う。このなんともいえない雰囲気がわたしは好きで、キスしたいなと邪なことを思う。そしたらたつはそれを見透かしたように甘い甘いキスをしてくれて、その後に可愛いと言って頭を撫でてくれるのだ。

「続き、する?」
「…だ、め。ご飯作ってから」
「…はーい」
「すぐ作るね」
「おう」

たつの全部をわたしは信じるしかない。だから鼻を掠めた女物の香水の匂いには、もう気付かないふりをした。


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