「お疲れ様ー」
「おつかれさまでした!」

スタジオの廊下を歩いていると色んな人とすれ違って、挨拶をする度に話し掛けて貰えてありがたいなあと思う。なんでも出会いが大切だというけれど、それは本当にそうで、全部全部巡り巡って出会った数だけ、人生の幅は広がっていくから。

「おあ、彼女ちゃん!」
「わわ、!神谷さん」
「久しぶりーアフレコ終わり?」
「です」
「おつかれ」
「今が頑張り時ですから」
「うんそうだね。そういうガッツ嫌いじゃないよ」
「ええ嬉しい、」

この仕事は人気とか認めてもらうことが1番大事で、わたしはまだまだだから今一生懸命がんばらないといけない。ありがたいことに、先輩達はみんな優しくて、会社で働いている友達の上司の話とか聞くと恵まれてるなあといつも思う。神谷さんは一回り上だと思えないような笑顔で私に頑張れ、と言う。ありがとうございますって返す声は廊下によく響いて、あ張り切りすぎちゃったと少し反省した。

「悠一、ご飯行こう」
「へーい」
「カフェがいい」
「はいはい」
「なによ」
「ちょっと危ないから」
「…あ、りがと」
「ん」

「…あ、中村さん」
「あーあの2人。ったくイチャついちゃって」
「へ、へえ」

少し先に見えた中村さんの隣には、それはそれは美人な女の人がいて、なんだかお似合いだなあと思った。高いヒールを履いた女の人に合わせて中村さんは手を伸ばした。その手をすんなりと女の人は握って、そのままエレベーターの中に消えていった。女の人が着けていたマフラーは少し服の系統と違って、中村さんのかな?と疑問が沸く。

「付き合ってる?んですか」
「いや、どうなんだろ。とにかく仲良しだね」
「綺麗な人ですね」
「だよね?!中村くん女性スタッフと仲良いの珍しいのにさあ。隅に置けない」
「うんなんか…お似合い」
「君と達央もそんな感じだよ?」
「え、!そんなことないです!」
「照れちゃってえ」

あんな優しそうな顔をする中村さん、初めて見た。神谷さんの口から出た、たつの名前を上手く躱せるほどわたしは器用ではないので、否定しながらもあたふたしてしまう。わたし達もお似合いだったら嬉しいなあ。たつは本当にかっこいいので、未だに隣を歩くだけでどきどきするというのに。

「じゃあ、また一緒に仕事しようね」
「はい!ぜひ!」
「うん」

何故か衝動的にたつに会いたくなった。咄嗟に携帯を開くと、たつから一言"会いたい"とだけ来ていて、気持ちが繋がっていたことに無性に幸せな気持ちになった。待っててね、と一言だけ返しただけで、足取りはとても軽くなるのだ。


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