「紫那おつかれー!」
「がんばった!紫那がんばったよ!」
「・・・身体中が、オワッタ」
「戦い見てたぜ!おまえ意外とタフなんだな!燃えたぜ!!」
「おう!めっちゃ良かったぜ!特にあの拳銃で狙い撃ちしてる時の表情だよな〜!!たまんね〜よお!あれ、こんどオレにもしてくれよ〜!!」
「峰田おまえ一人だけ観点違うぞ」
「峰田チャン最低、ケロ」

戦闘訓練は散々だった。そもそも思惑とか欲とかがよく読めないオールマイトのような相手は効果が薄いのもあり、あっさりと敗北した。パワーが桁違いすぎる。

「オールマイト相手によく追い込んでたと思うけどな!攻撃交わして懐に入った時はシビれたぜ!」
「全集中しても早すぎて動きが読めなかった・・・」
「果敢に挑んでいてかっこよかったわ、紫那チャン。その腕の傷が勲章、ってトコかしら」
「そうだね••先が思いやられるけどー・・・」

腕一面に広がる青痣をさすりながら、痛みがぶり返すようだった。今日は早く帰って休もう。食事も大して取れそうにないと、疲れ切った身体が伝えている。

「この後、今日の戦闘の反省会やろうと思ってんだけど、知多くるか?」
「参加したいのは山々だけど今日は用事があって。先に帰る」
「そーか!仕方ねえな!また明日もがんばろうぜ!」
「お誘いありがとう。じゃあまた明日、」

切島くんのキラッと光る白い歯が私に向けられた。とても明るい人だなと思いながら手を振って教室を後にした。結構な人数が反省会のために残っていて、さすがはヒーロー志望クラスだなと、意識の高さをまざまざと見た感じだ。



「・・手ぇ、振ってくれる感じのヤツなんだな」
「チョー意外だわ!冷めてる系の子かと思ってたのに!」
「なんか・・トキめいた」
「「わかる」」


***


「うう、痛い•••」

帰路につきながら、未だ痛む右腕をさする。オールマイトやっぱり手加減知らずだ、と悪態をついてしまうのは仕方無いことだと思う。

「、あ」
「••っ、ンだよてめえか」

見たことあるツンツン頭に思わず声が出てしまった。今日の訓練で、私欲向きだしだった人、もとい入試で個性を発動させた爆豪であった。

「••おつかれ」
「おまえ、思考を吸収するとかいう個性なんだな」
「そうだけど、」
「入試ん時、俺の思考抜き取ったんかてめぇは」
「そうなるね、うん」
「ハッ。ヴィランみてぇな個性だな。ヒーローとか笑えるわ」
「否定できないからしないけど、でも今日のあなたも大概だったわよ」
「ンだと?!!」
「••泣き面で威嚇されても、あんま威力ない」
「ッ、ホザくな殺す!!!!」

途端に手のひらをバチバチといわせた爆豪に距離を取りつつ、改めてその顔を見直すと、やっぱり少し目が腫れていて、心なしか入試時の溢れ出る自信の塊のようなものに翳りがみえた。

「・・意外と繊細なのね、ごめんなさい」
「テメェクソうぜえな謝んな!繊細じゃねぇわ!!」
「?あの技の出し方、使い方、繊細じゃなきゃできないものばかりだった。口だけじゃないんだって、少し感心した、褒めてるつもり」
「??!ンだよ急に!!ツラと言葉もっと連携させろやブス!」
「それは心外・・善処する」
「だからそれがウッゼーんだわ」

キレるのに疲れたのか、爆豪は手を振り翳すのをやめて普通に前を向いて歩き出した。相当力を消耗するような戦いをしていたのに、人に喧嘩売る元気があるのだから相当タフだな、と素直に感心した。言えばまた嫌味かとキレられそうだったのでやめておくが。

「…テメェにも俺は負けねえ」
「そう、」
「だから気色わりぃツラでこっち見んなボケ!反吐が出るわ!」
「それなりに容姿は認められてきたつもりだけど。爆豪の好みじゃないだけでは?」
「アーーーーうぜェ!!やっぱ死ねテメェ!!てかずっとついてくんな!」
「私の家こっちなの。不可抗力」
「迷惑なことこの上ねぇわ」
「お互いにね」

どうやら家が近いようだ。

戦闘訓練、その後



あじさい