「戦闘訓練、・・」

配られた箱を開けてみて、思わず1度閉じてしまった。そういえば入学前にコスチュームの要望用紙があったか。過去のことを振り返ろうにも、いまはただ私の考えの浅はかさを省みるしかない。

「紫那ちゃん、拳銃使うんや!かっこよ・・・!」
「そんなことないよ!あ、たまは入ってないから安心してねみんな」
「へえ。使ったことあんの?」
「警察の人に教えてもらった、上手いって言えるわけじゃないけど」
「体術教えてもらったって言ってたひとと同じ?」
「そうだね••実は保護者が警察なの。ヒーローになりたいって言ったら応援してくれて、色々ためになること教えてもらってる」
「へえ!そうなんやー!」
「だからコスチュームもポリスっぽいの??」
「・・・そうなる、かな?でも、」

ミニスカポリスって要望した覚えはないんだけどね。といいつつ、スカートを履くと予想以上の短さに内股あたりがすうっと冷えた。こんなんじゃただのコスプレだと落胆しつつ、クラスメイトの似合ってるよなんていう気休め程度の褒め言葉を受け取る。要望を細かく書かなかった私が悪い。これは、自業自得である。

「知多・・・?!!なんだそのミニスカポリスはァァァァ??!オイラを逮捕するのかアアアア?!!!」

やっぱり自分を呪うしかないようだ。


***


「ほんとうに、オ、オールマイトとですか•••?わたし、」
「精神に干渉する個性は難しいからね!私と手合わせしたほうがいいだろうと!相澤くんの意見でね!あと一人余っちゃうしちょうど良くないか?!ってね!」
「••なるほど、」
「そう固くなるな!知多少女!」

2人組チームと、対戦相手が決まり、戦闘訓練が始まった。人数が合わないなとは思っていたが、まさか私がオールマイトと対戦するとは思ってもみなかった。理由としては一理あるが、プロヒーローと手合わせするのは流石に恐怖以外の何者でもない。

「大丈夫。しょっぱなの戦闘訓練で百パーの力でキミを倒そうとするほど私も鬼じゃないよ!」
「その言葉、本当か確かめたいので個性で読んでもよろしいですか?」
「信用がない!!!ショック!」
「頑張って!紫那!応援してるから!」
「珍しい個性と超パワー個性の対決、純粋に興味がありますわ」
「まあ当たって砕けろだよな!頑張ろうぜ!」
「•••入学早々こんな機会もない、よね。うん、頑張ってみる。頑張ってみると言い聞かせることで乗り越える」
「おっ!男らしいぜ!!紫那!」

熱戦を終えたみんなの顔からして、私とオールマイトの戦いはエキシビジョン的な何かだと思っているようだ。盛り上がりを見せるクラスメイトを背に、オールマイトと共にモニター室を出る。隣に立つと改めて、オールマイトが大きすぎることと画風が別次元なことを再認識してしまう。

「オールマイト、」
「なんだい知多少女」
「相澤先生、別の目的がありますよね」
「バレるの早いな!まああるよ!簡単に言っちゃえばキミの個性把握だな!」
「やっぱりそうなんですね。たしかに文面じゃ分かりづらいから、見ちゃったほうがってやつですね」
「察しが良くて助かるよ。紫那少女は警察庁長官から直々に預かったと言っても過言ではないからね。不躾なことはしないから、安心してくれ」
「•••よろしくお願いします」
「こちらこそ!」

プロヒーローと警察の関係は密接だ。いまはヴィランの受け取り役だなんて揶揄されている警察だが、国家の中での働きはやはり大きなものがある。ヒーローと警察の連携なしでは今の社会を取り締まることはできない。

「それじゃあヴィランと思ってかかってきなさい!知多少女!」
「全力で••いきます!」

ヒーローを目指したい。そう言ったときにそれを受け入れてくれた警察の皆さんがいなければ、わたしはここにいない。ガラスの反射で見えたはしたないポリス姿に、かまけてられないなと身を引き締めた。


だれだってヒーローになりたい



あじさい