テレビの中は慌ただしく、そして所々に火が見えていた。北九州のヤクザを撃退。そんなニュースだったのを覚えている。

「・・・あれは」
「?」

オールマイト以外に反応を見せる親父を初めて見た。テレビをみたあとに、少し眉を下げたのが印象的だった。やがて、パソコンをおもむろに触りだし、情報を集めだす姿は、何かを気にしているようで、問い質すには十分であった。

「なにかあんのか」
「・・・別に大したことではない」
「オールマイト以外に興味もつたぁ珍しいじゃねーか」
「・・・たしか、おまえと同い年だ」
「は?」
「今映ってる子どもだ」
「、知ってんのか?」
「まあな」

テレビの中の子ども。女だった。伏し目で表情がよく読み取れない彼女は、警察に保護されてどこかへ向かっているところだった。あそこらへんのヤクザってやばいんじゃねえのか?

とにかく彼女が場違いに見えた。白くて細くて、どこかへ消え入りそうな、そんな儚さが見えるあの女と、その場の画は大変にちぐはぐに見える。

「場違いだな、」
「彼女はその事件の解決者だ」
「は?」
「、そういう個性なんだ彼女は」
「どういうことだ。あいつのこと知ってんのか?」
「・・・前に巡回中に、路地裏に捨てられていた彼女を俺が保護した。母親から捨てられたらしい。父親は生まれて直ぐに蒸発。引き取り手がいなくて困ったを覚えている。」
「・・・そんだけのことで良く覚えてんな」
「目だよ」
「?」
「あの目。あの時と全然変わっていない」

全てを受け入れたような目をしている。あんなに幼いはずなのに、とてもそのあどけなさはなく、ただ何か一点を見ているあの目が、なんとなく記憶から抜けない。親父は、そう言いながらまたテレビに目を向けていた。

「あれは・・ガキがする目じゃない」

捨てられた、ということは女には親がいないということか。テレビの中で女が遠くを見つめている。孤独、なのだろうか。あいにく、おれも親に恵まれた方ではないが、女のかおはあまりにも何かを失いすぎた顔だった。たとえば俺のように憎しみを糧にして前に進もうとする、そんなすがれる感情すらもない。彼女の姿は、何も無い。そんなふうに映った。


過去のこと



あじさい