これはある鬼の
全ての記憶の一部である。
死に際の鬼に幼い人間は言った。
「今助けるから…!」
鬼に命の尊さを教えた人間は言った。
「生きなさい」
その言葉に鬼は初めて涙を流した。
鬼と内通している人間は言った。
「俺はお前の事××××と思ってる。
だから君がいつかいなくなる日は
俺の××だ。」
その言葉に鬼は言った。
「×××××」
自分も鬼と呼ばれた男は言った
「鬼がなんだ」
「俺も昔は鬼だった。
だから俺とお前は同じだ」
愛し愛された。種族を越えた。
この感情の果てに存在するのは
人と鬼か 人と人か
この他の記憶は存在していたが
なくなっていた。
鬼が消したのだろうか。
それとも時間と共に忘れていったのだろうか。
終