死と再生の象徴
戻ってきた3人を待っていたメンバーが迎えた。
「3人とも大丈夫だったか?」
「……しいな、泣いてる?」
しいなは溢れる涙をひたすら拭っている。
「ユニコーンが……角をくれたの」
「……そうか。ではユニコーンは死んだのだな」
「……はい」
クラトスの言葉、レイラの落ち着き払った様子にしいなが食ってかかる。
「アンタたち、知ってたのかい!?」
「ユニコーンは角を無くすと死んでしまう。死ぬことでまた新しいユニコーンが誕生する。だからユニコーンは死と再生の象徴なのね」
「新しいユニコーンが生まれるんですか」
「生まれているかもしれないわね」
「……生まれているといいな」
コレットは静かに目を閉じユニコーンのことを想う。涙は流せなくてもその気持ちは変わらない。
「俺たちも、せっかくユニコーンが命と引き替えに託してくれた角を大事に使わないとな」
「そうだよ。コレット! これで元の体に戻れるかもしれないよ!」
コレットはそれを否定する。
「……うん。でも……今はいい」
「どうして!」
「今はまだ世界を再生する途中だから。……だから、これはピエトロさんやクララさんに使ってあげて」
「そんな……」
「だいじょぶ。ちゃんと世界を再生したらこれを使わせてもらうから……ね」
「コレット……」
世界を再生すれば、コレットは戻ってこない。それはコレット自身がよく分かっていること。言外に、必要ないと、言っているのだ。
「先生、これを……」
ユニコーンの角をリフィルに渡す。
「……どうやらこの角のおかげで新しい治癒術を身につけたようだわ」
「じゃあこれでクララさんを……」
「いえ……今覚えたこの治癒術では彼女を救うことは難しいわ」
「そんな……っ!」
「ソフィアさんの言っていた、ボルトマンの残した治癒術ですか?」
「ええ。それを探しましょう。
待っていて、コレット。あなたの望み、叶えてみせるわ」
角を手にしたリフィルはいっそう、頼もしく見えた。