新たな味方
残る目先の問題は、囚人の男をどうするか。
「あんた、名前は?」
「……リーガルだ」
「リーガルか。あんたには悪いけど、もう少しこのまま捕虜でいてもらうぜ」
リーガルの扱いにゼロスが提案を出す。
「ロイドくんよー。このおっさんにも戦わせたらどうよ」
即座にジーニアスが苦い顔をする。
「裏切るかもしれないのに?」
「プレセアちゃんに用事があるんだろ、おっさんは。だったらチビちゃんから話が聞ける状態になるまで、俺たちに危害は加えないんじゃないか?」
「そうね、悪くないアイデアだわ」
「姉さん!」
「胡散臭い気もするけどまあいいさ。あたしも最初は敵だったんだし」
「強かったし、戦わせない手はないと思う」
抵抗はあるが、一応は賛成の方向で固まる。
「……ということらしい。どうだ? 一時的にでも俺たちの味方として戦えるか?」
リーガルは迷うことなく頷いた。
「よかろう。我が名とこの手の戒めにかけて、決して裏切らぬと誓う」
「少しでもおかしい素振りをしたら、黒焦げにするからな」
「じゃあ、よろしくお願いします。リーガルさん」
コレットが丁寧に頭を下げた。
話をつけた所で、おろちが声をかけてきた。
「追っ手は森を離れたようだ。急ぐといい」
「よし、今のうちにアルテスタの所へ……」
「……私……村へ帰りたい」
プレセアを送るつもりが随分連れ回してしまっていた。
「そっか……オゼットが先かな」
「そうね。プレセアのご両親も心配しているでしょう。まずはオゼットから行くべきね」
向かうのはオゼット。アルテスタの家からも近いし丁度いいだろう。