新たな味方

残る目先の問題は、囚人の男をどうするか。

「あんた、名前は?」
「……リーガルだ」
「リーガルか。あんたには悪いけど、もう少しこのまま捕虜でいてもらうぜ」

リーガルの扱いにゼロスが提案を出す。

「ロイドくんよー。このおっさんにも戦わせたらどうよ」

即座にジーニアスが苦い顔をする。

「裏切るかもしれないのに?」
「プレセアちゃんに用事があるんだろ、おっさんは。だったらチビちゃんから話が聞ける状態になるまで、俺たちに危害は加えないんじゃないか?」
「そうね、悪くないアイデアだわ」
「姉さん!」
「胡散臭い気もするけどまあいいさ。あたしも最初は敵だったんだし」
「強かったし、戦わせない手はないと思う」

抵抗はあるが、一応は賛成の方向で固まる。

「……ということらしい。どうだ? 一時的にでも俺たちの味方として戦えるか?」

リーガルは迷うことなく頷いた。

「よかろう。我が名とこの手の戒めにかけて、決して裏切らぬと誓う」
「少しでもおかしい素振りをしたら、黒焦げにするからな」
「じゃあ、よろしくお願いします。リーガルさん」

コレットが丁寧に頭を下げた。

話をつけた所で、おろちが声をかけてきた。

「追っ手は森を離れたようだ。急ぐといい」
「よし、今のうちにアルテスタの所へ……」
「……私……村へ帰りたい」

プレセアを送るつもりが随分連れ回してしまっていた。

「そっか……オゼットが先かな」
「そうね。プレセアのご両親も心配しているでしょう。まずはオゼットから行くべきね」

向かうのはオゼット。アルテスタの家からも近いし丁度いいだろう。

[ 95/226 ]
prev | next
戻る