──一虎院デビュー事件




もはやタイトルを見てもらったらなんの説明もいらないと思うが一応事の顛末を記載しておこう、




一虎(中1・夏の姿)が鑑別所から院√に分岐し、見事院デビューした事件である。




2003年8月13日──


東京の公道、無免で2ケツする2人の中坊がそれぞれバナナメッシュとセンターパートを夜風になびかせていた。



「なぁ一虎ぁ?どこ行くんだよ?」
「もうすぐマイキーの誕生日じゃん?オレらでプレゼントすんだよ!CB250Tバブ!!」




向かった先はS・Sモータース。売る気もねェ割にショーウィンドウに飾られた"破滅のバイク"(※鬼滅の刃と同じイントネーション)はそれはそれは輝いて見えたらしい。



「バブ…」
「コレ、オレらで買おう♡」
「え!?買えねーよこんなもん!!そんな金ねェよ!!」
「イイオシゴトがあんだよ、今日は下見。目標は目に見えた方がやる気湧くだろ?」
「は?仕事??…新聞配達とかか…??」
「バーカ、そんなシケた仕事してたら20日に間に合わねーだろーが」
「……そんな仕事あんのか〜」
「マイキーの喜ぶ顔、見てーだろ?明日放課後顔合わせ予定だから」








ここでchapter1の復習をしよう。羽宮一虎の座右の銘は姉ちゃんが紆余曲折やらかしたおかげで「バイクだけは盗むな」になった。



だからこのマブいバブを盗むことはできない。






じゃあどうするのか、


割のいいオシゴトで手っ取り早く稼いで買う。
以上だ。








翌日2人がやってきたのは某所にある公園。ベンチには同じ世代と思しき三白眼の少年が座っていた。




「いいかオマエら、よく聞け。オレの言う通りにやれば絶対に成功する、今日は───」





簡単に言うと、今日の活動内容はシャブの窃盗から横流しである。ロクでもない。






あと、勘のいい方はお気づきかもしれないが、一虎と場地を含めた少年たちの前に座って作戦を説明しているこの三白眼の少年は、アウディで闇堕ちした九井一少年(中2の姿)である。



外車で迎えに来るリッチな男になるために九井窃盗団(もっと言い方どないかならんかったんか)を立ち上げた彼は、それなりの儲けを出すようになっていた。九井窃盗団(正式名称不明)は再生可能な人材が欲しかったため、報酬はしっかり山分けしている、とてもクリーン(※やってることは真っ黒)な大手窃盗団である。




そう、バイクだけは何がなんでも盗むワケに行かない一虎は、この九井窃盗団(仮名)の噂を聞きつけ、何回か窃盗団に混ぜてもらい、その数回分の報酬でバブをGETしようと考えたのだ。





てっきり新聞配達とか牛乳配達とかそっちの方向性だと思っていた場地は、周りのヤツらの異様な空気で大体察し一虎に帰ることを提案したのだが、……やはり面倒見も付き合いも良いので流されてしまったのである。
一虎の仲間思いな面を1番買っているのは他でもない場地だし、………確かにあのバブに乗ってるマイキーはカッコイイと思う、そう…カッコイイと思ってしまったので引き止めれなかった。














ダラダラ書いても分かりにくいだけなので結論から申し上げよう、





運悪く一虎と場地だけポリ公に見つかり、呆気なくトカゲの尻尾切りをされ、今彼らは鑑別所にいる。










九井少年は場地の場違いさとおバカさを見抜きマークしていたのだ。



…………これは、大なり小なり悪いことをする時の鉄則なのだが、“堂々といつも通りにしていること”。コレが1番難しいし、1番重要であったりする。つまり、"悪いことを悪いとも思わないヤツ"か、"悪いことを悪いとは知ってるけどやり慣れてるヤツ"の方がバレにくいし失敗しにくい。


一虎は親からの愛情が欠損していて、その上でヤベェ姉ちゃんを見て育っているので完全にバグっている。任侠や義理に近いケジメの精神を雀の涙ほどは持っているムーチョやモッチーが「なんとかしねェと…!」と焦るくらいには倫理と価値観がバグっている。姉ちゃんとその周りが、横暴と愛を交互に過剰供給するせいで、歪んだ愛を地で行く"メンヘラアイドル一虎くん💫"が爆誕したのだ。だから蟻を潰すのも車を燃やすのもハーレーで轢き殺そうとするのも窃盗団入るのも「マァ仕方ねェや」くらいに思っている。なんなら、姉ちゃんと一緒にもっと陰湿なことを共有してきのだ……親にむかって…(機会があればご紹介しよう)。ただしバイクを盗むのだけはダメ。それはダメ。逆にそれ以外のことは大概オッケーだと思っていたし、当日も歴戦のプロみてェなこなれ、、、感でハコビを終えた。

一方、場地はやることが激しいだけで、根拠ない悪い事は悪い事だと思う倫理観と正義感は持っている。だから行動がぎこちなくて巡回のポリ公にハコビがバレた。



場地は現行犯で捕まり、場地を助けようとした一虎は公務執行妨害で捕まった。




案の定やらかしやがった場地と一虎を予定通りしっぽ切りし、むしろ逆に利用して利益を上げ九井窃盗団(クソダサネーミング)はいつもの様に姿をくらませた。














捕まっちまった場地は鑑別所の中でガチ反省した。マイキーから『真一郎からバブもらった!』って写真の着いたお手紙を貰いもっと後悔した。「イヤそのバブオレらの買おうとしてたヤツじゃねェかよ…!!!あの店真一郎君のかよ…っ!!!!」 のお気持ちである。



一方、一虎は鑑別所を通過儀礼かなんかだと思っていたし、どんな場所かを熟知しており一切しおらしくならなかった。「ウワー、確かに狭ェし臭ェしクソ暇〜…」みたいな感じである。ちなみに、「狭ェし臭ェしクソ暇」とかいうフザケた感想を教えたのは蘭である。羽宮家ヒトんチのソファに寝っ転がりながらやる気なく三つ編みを垂らし、「ネンショーはさらにダセェが加わンぞー」とかほざいていたのも付け加えておこう。
姉ちゃんは、「一虎はイイコだから入ンねェだろうけど、もし、万が一少年院入った時の極意を教えといてやる。」「うん。なに、」「(キュルン🥺)の顔だ。」「(キュルン🥺)の顔?」「そう、この世の大概はアタシ達のこの顔でどうにかなる。クソ親の元に生まれたのと引替えの福利厚生だから存分に使え」「フクリコーセー、」「そう、この世の大概はアタシ達のこの顔とこのチチでどうにかなる」とかほざいてやがったとお伝えしておく。
マァとにかく、知り合いに折り紙付きばかり居るせいで、少年院を知らないヤツの方が少ないのだ。もはやディズニーランドみたいな存在である。
だから全く焦らないしむしろちょっと興味が湧いていた。憧れのネェやんニィやんとオソロッチになる絶好のチャンス()である。
一虎もマイキーから場地と同じ手紙を貰ったのだが、「あのバブ、マイキーのモンになったのか!!似合うと思ったんだよ〜、出てから見ンの楽しみだなーー!!」くらいに思っている。場地とはエラい違いである。さすがS62の極悪きわまった英才教育を受けているだけある。
上記の態度のおかげで一虎はしっかり少年院√に分岐したことをここに記載しておこう。あーあ、姉ちゃんさえ居なけれりゃスリザリン並にネンショーを拒んでそれなりの態度を取ったであろうに。また今回も、結局姉ちゃんのせいである。








場地はちゃんと弁護士をたてて何とか少年院√を回避し、鑑別所から出て東卍メンバーに出迎えられた時は涙を流して抱き合った。



ド「その、一虎は……」
場「エ、……ネンショー行ったのか…?」
三「……あぁ」
場「………………」
マ「アイツはウチの大事なメンバーだ、出たら皆で迎えに行く」
パ「手ェかかるぜ〜」



なぁんかシリアスになってはいるが、一虎自体は全然シリアスになって居ないのでそんな深刻にならないで欲しい。「ゲェ、千切りキャベツ盛りすぎじゃね?竜胆君の言ってた通りじゃん…食いたくねー」とか思いつつ本日の晩メシのトンカツを黙食で元気にかきこんでいるので本当に深刻にならないで欲しい。


少年院の中の一虎が1番嬉しかったことは、家出どころか実質引越しちまった姉ちゃんがほぼ毎日ガッコーサボって面会に来てくれることだった。
引っ越したって聞いた時は「嫌われた…?ウソ、ウソでしょ……??」とヘラっていた一虎だったが、恐る恐る面会に来た姉ちゃんに「…一虎が嫌じゃなかったら、毎日来るけど…、」と言われたので全力で「ヤじゃない!!!」と返事しといた。それからは本当に1ミリたりとも誇張なく毎日、マジで毎日来る。




なんだかんだで数ヶ月ほど鑑別所に入っていた場地は、元々ギリ(※アウトのほう)だった学力が授業の遅れで満場一致場外ホームランアウトになっちまったし、ご近所に捕まっちまった噂が流れて居づらくなったので引越す運びとなり、やはり転校して留年した。





一虎はソコソコ頭の良い方なので、満喫した後は最短で少年院ディズニーランドから出てきて確認テストを受けてフツーに元の学校元の学年に復帰した。ちなみに、姉ちゃんの時もだが特に引越しも転校もしていない。ヒソヒソされても全く気にしないバグった価値観をお持ちなので。





「「「一虎!!!!」」」





髪の毛ダセェのヤダな〜、さっさと染めに行かねェと、とか思って院から出てきた一虎に抱きついたのは、毎日のように面会に来る姉ちゃんと、名前間違ってクソ汚ェ字で消し後残ってる手紙送ってくる場地と、大好きな大好きな我らがマイキーだ。



姉「は?姉弟の久々の抱擁なんだよ邪魔すんな💢場地と、……なんか知らねぇチビは帰ってクソして寝ろ」
マ「誰だよオバサン、年下に譲れよ」
場「一虎の姉ちゃんだマイキー」
マ「あ、へぇー、確かに同じ顔」
姉「誰がババアだチビこの野郎ぉ"〜………」
場「マイキー、マイキ今すぐ謝れ殺されンぞ」
マ「場地………?」
パ「場地らしくもねェ!!」
三「エ、……あ、そういや一虎の姉ちゃんって…」
ド「!!…極悪の世代の1人じゃねぇか…!」
マ「?? イザナの知り合い?」
姉「テメ黒川の弟か…!!!」








かくして一虎の院デビューはつつがなく()完了した。













「へぇ!東卍そんなにデカくなったのかぁ」



一虎が東卍に復帰するころにはすでに双悪が加入しており、肆番隊までできていた。




マ「ん。だからオマエには伍番隊の隊長をやって欲しい。」
虎「は!?いや、オレは場地と壱番隊で特攻じゃねぇの???」
ド「あ?テメェマイキーの決定にタテつくつもりか?」
虎「いや違ぇよ、でも!」
マ「…東卍は多くなった、必然的に風紀も前より乱れやすい。」
虎「、、、ふーん…?」
マ「だから、オマエには裏切者を捕まえてほしい。伍番隊にだけは内輪揉めも許す。東卍内部の治安を、オマエに任せたい。」
虎「そんな大役、オレ、」
三「オマエが1番忠誠心高ぇだろw」
ド「マイキーマイキーうるせぇもんな」
パ「アラームかよってくれぇだ」
ド「パーおまえアラームが何かわかってんのか?」
場「ガタガタ言ってんじゃねぇ!!これから頼んだぞ!
    新伍番隊隊長、羽宮一虎!!」
虎「っ、おう!!!」





その2週間後に、一虎と同じ程度には厄介で一虎と同じ程度には顔面が神がかった一虎と同じ程度にはマイキー過激派を拗らせたギャルが伍番隊に加入し、東卍の火種どころか伍番隊の内輪自体が汚ぇ花火をバチらせつつ、ゆくゆくはマイキーと東卍を掲げてメチャクチャ怖ェ顔で紛れ込んだユダのスクラァ〜〜ップを山積みにする鬼のような量の仕事をこなすことになる。

未来の伍番隊は、隊長と副隊長の余りの可愛さ(※見た目だけ)から「顔面偏差値部隊」だとか、あまりのマイキー過激派モンペムーブから「狂信者部隊」だとか、本来の役割と直ぐにケンカする様子を掛け合わせた二重の意味で「内ゲバ部隊」だとか、しょっちゅう流血沙汰起こすから「虎血夜とらちよ(正しい表記)」だとか、他にも「メンヘラヤンデレ春マゲドン」だとか、「あそこだけマイメロギャル」だとかなんとか、、とにかくおどろおどろしい二つ名がてんこ盛りになる伝説を巻き起こして行くのだが、その様子はまた別項目にまとめることにする。


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