──シンデレラ誘拐事件
S62の前で話題を出すと竜胆の空気がピリつく事件である。
事の顛末を簡単に説明しよう、
居眠り中だった一虎の姉ちゃん(高2の姿)が知らん間に誘拐された。
まず一虎の姉ちゃんの最近の生活について説明しよう。
一虎の姉ちゃんは「パイセンとJKをやる」ためにガッコに入学した。つまりパイセンが卒業して大学1年生になった今、もう高校に用はないのである。だから2年からは不登校になる。中学の時も同じ流れだった。
しかしそれを許さないメガネがいた。
彼の名は灰谷竜胆、限界青春野郎である。
奴は去年からずっと羽宮と同じクラスになることを楽しみに、大して興味のない高校を退学にならないよう生活してきた。
コース選択の時期、羽宮が理系に進むことを聞き出し、自分も理系に進み、「よし!これであとは教師を脅して同じクラスにすれば…」みたいなところまできていた。
なんせ灰谷と羽宮は同じハ行、よほど空気の読めないやつが挟まらない限り出席順が前後、つまり教室でイチャイチャ(※一方通行)する今世紀最大のチャンスである。
しかし残念なことに一虎の姉ちゃんは「最悪高認取るか〜」くらいの緩い気持ちで退学を視野に入れたクソJKをかましていた。
同じクラス前後の席になったのに新学期から全然真面目に来なくなった一虎の姉ちゃんと是が非でも青春したい竜胆は毎朝毎朝一虎の姉ちゃんを介護し自分の自転車に乗っけて2ケツでガッコに通うようになった。
一虎の姉ちゃんは半寝なので全然なんとも思ってないどころか記憶が定かでは無いのだが、竜胆は一虎の姉ちゃんの寝巻きのスエットの上にセーラー服を着せチャリに乗せ腰に手を回させるというセルフラッキースケベを続けていた。
無理やり布団から出された寒がりな一虎の姉ちゃんは、寒いから竜胆に抱きついてくるし、眠たいから竜胆の背中にフニフニのほっぺたを押し付けてもたれかかってくる。竜胆は自分の背中に当たるその寝顔を妄想して余計に"好き"が加速してしまい、誤魔化すようにチャリを漕ぐのだった。
つまり何が言いたいか、
一虎の姉ちゃんはどこでも寝れる人種である。
朝は竜胆と登校していたが、夕方はフツーに竜胆を撒いて一人で帰る、というか独自の徘徊ルートがあるので猫みたいにサッと姿をくらませる。
その日も徘徊ルートの公園でベンチの上に寝っ転がっていた。サンダルを脱いで寝っ転がってガチ寝したのだ。
ガチ寝して次に目が覚めたらどっかの倉庫で手足縛られて転がされていた。
なお生理前で眠たかったので寝ぼけてもっかい寝た。誘拐されたのに気づかず二度寝をこくな。
一方そのころ、徘徊ルートで一虎の姉ちゃん愛用のサンダルを拾った竜胆が顔面蒼白になって蘭に電話をかけた。
『なに?今兄ちゃん忙しーんだけど』
「兄ちゃんヤバい、羽宮が誰かに拉致られた…!!!」
『は?』
そこからはもう総出で探した。パイセンは思い当たる協力してくれそうな喧嘩強い人間全員に電話をかけた。サマーウォーズより電話をかけた。
「はぁい〜、どしたン?」
『もしもししゅうちゃん?ちょっとはぁちゃんが誘拐されちゃって💦』
『もしもしさっちゃん?』
「どうしたアマービレ、まだ大学だろう?」
『ちがうの、はぁちゃんが誘拐されちゃったから探すの手伝って欲しくて💦』
『たぃちゃん今すぐ大学来てちょうだい、バイクだして』
「いいけどよ、今日練習室借りたつってなかったか?」
『悠長にピアノなんか引いてる場合じゃ無くなっちゃって💦』
竜胆はベソかきながらでサンダルを握りしめて探し回った。
キティちゃん健康サンダルを握りしめて東京を1周した。
蘭も蘭で六本木の奴に声掛けてその辺を見回ったりした。しかし途中で飽きたので六本木の億ション(家)に帰ってポテチ食いながらクソ高ソファに寝っ転がりスエット捲って腹掻きながら撮り溜めたドラマを見だした。
イザナは「アイツだったらフツーに誘拐犯の金玉蹴ってシレっと帰ってくんだろ」と思い無視った。オマエが誘拐されたのなんか知ったこっちゃねェんだよ、の気持ちである。別に人探し系の慈善活動やってないんで。優しさは天女にでも求めてどうぞ。
……オイ、そこのオマエらここら辺でグレーのパーカーのガラ悪い女みなかったか?…ふん、あっそ。
日が暮れても見つからなかったため遂に一虎に連絡が行った。
虎「え!?姉ちゃん誘拐された!?…誘拐犯ブチ殺したらまた院入っちゃうぢゃん!!!オレせっかく最近出たのに………!!!」
春「オイ集会始まんぞ一虎静かにしろ」
虎「オレオマエの隊長だからな💢」
春「(べーーーー)」
虎「オマエマジで千冬とかに爪の垢貰ってこいよ!!!」
春「ァア"ンテメェこそ他の隊長見習ってしっかりしろや一虎ァ"💢💢💢!!」
虎「おかしい!!オレの部隊だけおかしいじゃん副隊長がおかしい!!!」
春「テメェよりおかしい奴がソーソーいて溜まるか!!!🖕🖕🖕💥」
虎「だっておかしいだろーが!!壱番隊の千冬も「場地さん場地さん!」って感じで弐番隊の八戒も「タカちゃんタカちゃん!」って感じで参番隊のぺーやんも「パーちんパーちん!」って感じで肆番隊のアングリーも「スマイリースマイリー!」なのになんで伍番隊のオマエだけ「一虎ァ"💢!!!」なんだよフザケンな"ぁ"あ"あ"あ"〜〜っっ!!
ッッッスゥ〜〜〜ーっ、
……チェンジッッッっっ!!!」
春「テメェがしっかりしねェからダローーーがこのボンクラがァ"!!!」
\三途肝っ玉母ちゃんか?/
\ヤンママじゃねェの?/
\ダメだ一虎が情ねェヒモ旦那に見えてきた/
\V系バンドマンと夜職の子持ちギャルじゃね?/
\やめとけ後でタコ殴りにされて爪剥がれっゾ/
虎「ドラケンも含めて副隊長って隊長の支えなってくれんじゃねェのかよ"!!!フザケんなオレももっと従順でカワイイ副隊長がよかった"!!!千冬!!千冬伍番隊来いよ"!」
冬\イヤっす/←場地さんの腕をギュッ♡
場\オウ/←渾身のドヤ顔
春「オマエ何か嫌なことあったらスグにマイキーと場地と松野に頼ろうとすんのやめろや💢💢💢!!!」
虎「ザケンな黙れブスっっっ!!!!」
春「おめェもブスだろーーーがァアア"!!」
虎「可愛い姉ちゃんと同じ顔のオレがブスなわけねぇだろ殺すぞゲロブス!!!!」
\え、ウソだろアイツらお互いのことブスだと思ってんのか…??/
\むしろ顔しか取り柄無かろうてからに…/
「「ウギガギギギギギィィ"…っィ"〜💢💢」」
↑髪の毛の引っ張り合い
一虎が1番姉ちゃんのことを心配していなかった。だってオレの姉ちゃん無茶苦茶強いから。
むしろ姉が遂に殺人鬼デビューしねぇか不安で集会が終わり次第すぐにケッチに股がった。なお一虎の髪の毛毟り取ろうとしてずっと握ってやがる春千夜も2ケツした。仲がいいのか悪いのか。
日付が変わる頃、川崎で呪華武の集会をやっていたモッチーが隊員から妙な噂を聞きつけた。なにやら、とある人身売買組織が"家出してそうな不良少女"を拉致って来ては海外に売りさばいているそうだ。
タイムリーじゃねぇか!!!望月莞爾は思わず部下にデケェ声で怒鳴ってしまった。ちゃんと謝った。
噂の倉庫に行けば羽宮が手と足を縛られて寝っ転がっていた。
「おい羽宮!!!」
「ぁん?望月???なんで???」
「なんでじゃねェバカテメェ!!!みんな心配して探してんだぞ!!!」
「ん、眠た……何があった感じなン???」
「テメェが誘拐されてんだよ!!!!」
「あ、これ誘拐か!!!」
「どっからどう見てもそーだろーが!!!」
「え、ァちょっとまって……???
……はァ!?なに???やっっっっば!!」
「何よりヤベーのオマエのア・タ・マ!!」
望月莞爾。彼は言わずと知れた川崎呪華武のヘッドである。そう、ヤベェ不良をまとめる統率力、これが彼の強さだ。
単純な暴力ももちろんのこと、言うことを聞かせる能力が無いとヘッドは務まらない。残念ながら望月莞爾は真一郎や万次郎、イザナ、蘭みたいなカリスマ性という、ある意味一種の呪いのような特殊能力は持っていない。
ではどうしてヘッドが務まるのか、
それは懐の広さであったり、気前の良さであったりする。気分屋でもない、安定している。あと非道なやり方や第三者の邪魔が入るのは大嫌いである。たとえ命令したのがイザナであっても、気に入らねぇもんは気に入らねぇと言う自分を持った不良少年が彼だ。
正々堂々、真正面からぶつかるのが彼流なのだ。
だから、寝こけてる女を拉致って金作ろうとしてるカスが気に入らねェのだ。
「下がっとけって」
「はァ?アタシがやられたんだからアタシがやり返さなくてどーすんだよ」
「へいへい、…無茶はすんなよ?」
「誰に言ってやがるテメェもパチくぞ」
「はっ、そんだけ元気あったら大丈夫だな」
「助けてくれてあんがと、恩に着るワ」
「…………」
「………あんだょ」
「オマエお礼言えたんだな????」
「言えるわボケが💢」
「怒んなって、貸し1な?」
「……嬉しそーににっこりしちゃってよォ」
一虎の姉ちゃんを拉致った人身売買組織は一晩で呪華武と一虎の姉ちゃんに壊滅させられた。
姉「いや、マジ望月めちゃくちゃ男前に見えたわ、今見たら全然そんなことないけど。夜で周りよく見えてなかったからかナ。暗いところで見たらイケメンだよオマエ。」
獅「そんなことないとか言ってやんなよ…」
モ「テメェオレのこと褒めたいのかdisりたいのかどっちだゴラぁ!!!」
姉「オマエまぢモテねー理由絶対ェ眉毛だっっって」
モ「こだわってんだよ!!!!!」
竜「グゥゥ……っっ!!」←一番走り回ったのにいい所を全部取られた
蘭「オレがいいとこ取りなんじゃなくて竜胆がいい所取られすぎの間違いじゃねぇの?」
獅「可哀想だろっ!!」
以上、人騒がせシンデレラ(キティちゃんサンダル装備、眠り姫適正アリ)が誘拐され、自称王子様ではなく武闘派ジャンキーに助けられるまでがシンデレラ誘拐事件である。
姉「おいおい泣くなって〜」
竜「泣いてねーシッ!!」
姉「オマエがサンダル見つけてくれたんだろ?だから助かったんだよ、あんがとな(一虎をあやす時の姉貴の顔)」
竜「う"ん"……」
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