イ・スンギル(YOI)

「スンギルオッパ、ご飯何食べたい?」
「お前の食べたいものでいいよ」

ロシアだからボルシチ、とかかな。でも、やっぱりここは慣れた韓国料理の方がいいかなぁ。エレベーターホールに向かうと日本の代表、勝生勇利が居た。うわあ、本物だ!

本番に弱いタイプみたいだけどリズムの乗り方はあのリビング・レジェンドよりも上手だと思うし(個人的感想)、彼のステップは私の目指すそのものだ。

「こんばんわ、勝己さん」
「あ、…こんばんわ………」
「……」

段々と小さくなっていく声は私の後ろに視線が向いている。…スンギルオッパ!挨拶してええええ!!!!先輩だよ…!!!

1人あわあわしている内にエレベーターがやって来て、中にはイタリアのミケーレとサーラ、チェコのエミルが既に乗っていて、修羅場と化していた。

「あ、名前〜」
「サーラ!」

サーラに手を振ると勇利とスンギルオッパにも挨拶するサーラ。スンギルオッパを食事に誘うもオッパは「君と仲良くするメリットって何かある?」と相変わらずのブリザード対応で、イタリアの双子が熱する後ろでエミルと2人震えるしかなかった。






結局、イタリアチェコトリオとは別のテーブルに着いた私とオッパは適当にチョイスした食事をシェアする。といっても、私が食べたいものを選んだんだけどね。試合を控えているから生ものは除外して。

「スンギルオッパ、」
「ん?」
「サーラのこと……気になる…?」
「なぜ?」
「サーラ綺麗だし…」

もそもそと肉を咀嚼するオッパはいつもと変わらず無表情。別に、と無関心を貫くオッパにほっと息を吐いた。サーラと私ではたいていの男の人はサーラを選ぶ。同性から見てもサーラはとても魅力的だもの。

「えへへ」
「気持ち悪いよ名前」
「なんだか明日の試合は上手くいきそう」
「そう、良かったね」