アルシャハルでのヴァール警報に出撃命令が下るも、エースの姿が見えない。
「美雲はどうしたの?」
「既に現地に居るわ」
「相変わらずの単独クイーンね」
なまえが呆れたように肩を竦ませるもそれがただのポーズであることを付き合いの長いカナメはよく分かっていた。高い生体フォールド波を持つ2人はツインボーカルを組み、ライバルとして、背を預けあう同志として、深い信頼関係を築いていることも。
「正しく現地集合ね、美雲」
「遅いわよなまえ」
ハイタッチを交わしながらワルキューレの歌を響かせていく。
ヴァールシンドロームに対処するために結成された戦術音楽ユニット「ワルキューレ」。エースの美雲となまえ、リーダーのカナメ、レイナ、マキナの5人のユニットである。
なまえはその儚げな容姿から男性人気をマキナと二分しているが、ただの大人しい少女が銃弾が飛び交い、死と隣り合わせの戦場で歌い続けられる訳がない。見た目以上にタフで強い信念を持ってる子よ、とはリーダーの言葉である。
すっと息を吸い込んで喉を震わせていく。
なまえの前髪の深い海を思わせる青いメッシュが輝く。
いつか、この声が、愛する者に届きますように。