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旅立ちの日。部活を引退しているとは言え、みんな度々顔を出してくれていたし、学校からいなくなってしまうわけじゃないからまだ耐えられた。けれど今日は無理だ。

「やだやだやだ〜!!みんないなくなっちゃやだ〜〜っ……」

子供が駄々をこねるみたいに体育館の床に伏せってはちゃめちゃに泣いていると、彩子さんのため息が聞こえる。

「後の掃除やるのどうせあんたなんだから床で泣くのやめたら?」

ごもっともである。というかマネージャーとして進んで体育館の床を汚す行為はいかがなものかと思ったが、そんな正常な思考持ち合わせていたらこんなに爆泣きしていない。彩子さんの冷たい言葉に「あ、アヤちゃん…」と遠慮がちなリョーちんの声が聞こえた。

「泣くならアタシの胸にしときなさい」
「アヤちゃん…っ!」

私に向けた台詞なのに勝手にときめいているリョーちんは何なんだ。とは思いつつも、彩子さんの惚れるしかない、かつ誘惑的な発言にべそべそしながら顔を上げる。

「うわー、ひでー顔」

顔を上げた私に、リョーちんがしゃがみながら笑う。そして、胸元の花を取ったかと思うと、私の頭にぷすっと挿した。

「いい加減機嫌直せよ。また遊びに来っから」
「…ぜぇ〜ったいウソ…」
「信用ないわねえリョータ」
「なんで……??」

私が泣きながらぶすくれるというもう感情が迷子の表情をしていると、リョーちんの大きな手が私の頭をわしわしと揺らした。

「おーら泣くな泣くな」

この感触ももう最後かと思うと、台詞とは真逆にまた涙が溢れる。「むりぃ〜〜っっ」という私の情けない鳴き声が体育館にこだました。ちなみに最後は彩子さん命令で、流川の手により床から引き剥がされた。


花なんていらないのに


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