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喧嘩した。
揃いにそろって五人が1番兄である俺に酷い言い様である。
色々 ボロミソカスに言われたが、要するに
1番上である俺が無職であるが為にあとの兄弟5人とも無職だという、理不尽な言葉だった。
就職するまでぜってー家に帰らねーからな!
と勢いよく啖呵を切って家を飛び出したはいいが、就職する気などサラサラ無かった為に格好はいつものパーカー姿。
行く宛もなく、フラフラと歩いていると誰かに肩を掴まれた。
弟達が心配して探しに来てくれたんだ。
そう思って笑顔で後ろを振り向くと、同じ位置に顔の高さはなく見上げる事になってしまった。
「なぁ、松野だよな?」
その人の声に上ずった声が っえ? とだけ零れた。
誰だこの男…
「俺だよ、小中一緒だった 吉田だよ。
覚えてるか?」
ニコニコと首を傾げながら お前は何松だよ、おそ松か? と顔をジロジロと見られる。
そういえば、柄の悪い連中に吉田って名前、いた気がする…
「あ、あ!なーんだ吉田か!変わり過ぎてわかんなかったわ」
そうだよ、俺はおそ松だよ と言うと吉田は 本当か? と訝しげに俺を見る。
確かに小中学校ではよく入れ代わってたりなんて良くあったから疑われるかもしれないが…
「なぁ、おそ松。久しぶりに会ったんだからちょっと飲もうぜ。」
夜にはまだ早いけどオレが奢る! と言う吉田に大人しく付いていくことにした。
俺達六つ子が良く行く安い居酒屋じゃなくて、フレンドリーなオバサンがいる居酒屋に連れて行かれた。
「なぁ、松野 お前何してんの?」
彼の言葉にぎくりとした。
そうだ。就職活動…
「あー、俺は…というか俺達は、まぁ、その。何もしてねぇんだ。」
「何も?」
無職 と手を開いて吉田に向けてふざけたように言う。
吉田は眉間にしわを寄せたまま動かなくなってしまった。
そりゃあ同級生に会って何してるか聞いたら本当に何もしてないんだから、出る言葉もない。
「吉田は?」
ちょっと怖い顔してこっちを見るそいつに逆に聞いてみる。
「あ〜、オレさ、実家継ごうと思って修行出て、先月帰ってきたところ。」
鶏肉をつまみながら話す吉田に 実家? と思わず言葉がこぼれる。
「ほら。オレんち、ケーキ屋じゃねーか。」
思い出した。
悪い連中の吉田じゃなかった。
そういえばよくつるんで遊んでいたじゃないか。
俺は小学生かって勢いで吉田に縋った。
「俺を助けてくれ!」
「っえ?!」
(おそ松!?何か悪い事したのか?!)
(いや!!違う!!違うけど!)
(オレは何からおそ松を守ればいい?!)
(とりあえず!落ち着いてくれ!)
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