私には大好きな漫画がある。
29歳にもなって漫画ばかり読んでいて、平日は5日事務の仕事をして土日の休日はインドア代表のような生活をしている。
最近はもうすぐアニメが放送されるともっぱら人気の鬼滅の刃という漫画にのめり込んでいる。
そんな私の大好きな推しは煉獄杏寿郎という正義感の塊のような男。
20歳の若さで殉職という推しの最後を見送ってから心ここに在らずの状態で最新刊15巻の発売を待っている。
「なんで煉獄さんが死んじゃうの〜〜」
これはもう口癖になってしまった。
何度も何度も煉獄杏寿郎の登場シーンの柱合会議から猗窩座との戦闘シーンまで本が擦り切れるほど読んでは泣き、読んでは泣きを繰り返している。
昨日も遅くまで鬼滅の漫画に浸ってしまい、いつもより寝るのが遅くなってしまったのでまだ眠気が残っていて瞼が重い。だが今日は月曜日。遅刻しないように着々と準備をして仕事に行かなければならない。
「行ってきまーす」
一人暮らしのため誰も居ないが、小さな声で家を出てから鍵をかける。
今日は雨だ。もう3月も終わりということで暖かくはなってきたが、強めの春風と雨でかなり寒く感じる。
「昨日の私くらい空も泣いてる」
ポツリと思ったことを口に出し、恥ずかしくなってしまった。
バス停に着き傘を閉じてスマホで画面を確認すると、あと4分ほどでバスが来る時間だ。
その時、
キキィィイーーッ
「え、」
スマホから顔を上げて最後に見たのは、凄い勢いでこちらに向かってきている大型トラックだった。
ーーー……