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(天井がお花畑みたい/徳川•幸村)
「お腹が空いているだろう?今日のお昼はフレンチのシェフを呼んでおいたよ、ゆめみちゃんはフランスが好きだと言っていたような気がしてね、恵比寿の・・・」
ゆめみは車に乗っていた。
窓からの景色は移り変わっているのに、ほとんど振動を感じない。
ゆめみは進行方向に対して横に座っており、目の前には東京都内の素晴らしい景色が真正面に見える。
目の前には大理石のような素材の机があり、タワーのように積まれた高級マカロンとワイングラスに入ったぶどうジュースが置かれていた。
そう、ここはあの有名なリムジンと呼ばれる高級車の中だ。
徳川が途中で言葉を切ったので、ゆめみは斜め前に座る青年、徳川カズヤの顔を見つめた。
リムジンにスマートに座る姿がカッコよくて、非現実的で、ぼーっとしてしまう。
どうやら店の名前が思い出せず言葉を切った徳川に、ウィーンと音が鳴って、運転席の窓が開いた。
そしてドライバーさんが「ジョエル・ロブションです」と補足する。
徳川は突然のように「そうだったな」と言ったが、ゆめみは心臓がバクバクした。
ゆめみでも知ってる最高級フレンチだ。
確かそこは十数年間ミシュランガイド東京で三ツ星を保ち続ける、20世紀最高の料理人と呼ばれるフレンチの巨匠が築き上げた美食の城、だったような。
そんな城からシェフを呼びつけて大丈夫なのだろうか。
ゆめみは可愛く並べられたマカロンに手を出そうか迷っていたが、ついに伸ばしかけた手を戻した。
こぼさないで食べる自信が無かったためだ。
徳川は不自然な手の動きをしたゆめみを見て、「お菓子は和菓子が良かったか?」と残念そうに言った。
どうやら徳川は、ゆめみがフランス語を勉強しているという話をしてからフランス好きと認定したようで、いろんなものをフランスに寄せてくれている。
フランスは大好きなので、もちろん嬉しい。
「マカロン大好きです、頂きます」
徳川の優しさに感動しながら、ゆめみはそっと手を伸ばした。
ローズカラーのフランボワーズのマカロン。
甘酸っぱくて美味しい。
思わず頬を緩ませるゆめみに、徳川は嬉しそうに微笑んだ。
そんな徳川の笑顔がくすぐったくて、本当に優しい人だなと改めて思う。
ゆめみが東京に来てから、今日でちょうど1週間。
今回の勉強会はゆめだ家に伝わる『天彩葉(あまのいろは)の目』習得が目的だった。
ゆめみも弓弦もそれを早期に達成したため、予定よりも早く解放された。
『天彩葉の目』とは、動く筋肉のステータスが色で判別できるというものである。
一応秘技扱いで、この能力を使えない者には、身内であってもそのことを明かしてはいけないという決まりがあるらしい。
この力が手に入った時は全能感を感じたゆめみであったが、現実はそう甘くは無かった。
まだものすごく集中しないと見えないし、見えたところで、それが一体なんの症状なのかの医学的な知識が無いとあまり意味のないものであった。
結局勉強し続け無ければならないのだ。
そんな訳で、『天彩葉の目』が使えるようになった日以降も、日中は徳川と過ごし、夕方から夜はひたすら座学という生活を2日続けた。
この1週間を通じて、ゆめみが一番疑問に思ったこと、それはゆめだ家に伝わる謎の能力・・・などでは無く、徳川カズヤのことだった。
徳川の勤勉さや誠実さに、ゆめみは人間として尊敬せずにはいられず、どんどん惹かれていた。だからこそ純粋に不思議に思う。
『なんでカズヤくんはこんなに優しくしてくれるんだろう?』
会った時からそんな風に思っていた気もするが、ここ数日はそんな疑問のオンパレードだった。
ゆめみのために、数日間上半身裸で練習してくれたりとか、色んなものをご馳走してくれたり。
些細な行動にも優しさがあり、本当に不思議だ。
最初は自分が父親の友人の娘だから親切にしてくれていると思っていたが、それだけでは説明がつかない気がする。
今日も朝に解放されることを昨晩の電話の際に伝えると、「良かったらうちに来ないか?」と提案してくれた。
ゆめみは、徳川からの誘いを喜んで承諾した。
今朝、祖父の家に黒塗りのリムジンが迎えに来てとても驚いた。
ゆめみは自分を見つめている徳川とそっと目を合わせる。
彼はまっすぐにゆめみを見つめている時が多い。海外育ちだからか、その実直な性格からかはわからないが、最初は少し気恥ずかしい気もしたが、今では見守られているという感じがして嬉しかった。
「1週間頑張ったな、今日はゆっくり過ごすといい」
徳川の優しい言葉に、ゆめみは「ありがとうございます」と心を込めてお礼を言った。
徳川家に到着すると、ゆめみは徳川家の玄関横のサロンに通された。
バタン、とドアが閉じて、1人になった瞬間。
「ふわぁー」
金持ちの 徳川家 すごすぎるよお
ゆめみの口からは気の抜けた声が漏れた。
そして心の中で、蓮二には絶対教えられない幼稚な川柳を作ってしまった。
今しか出来ない!と思って、座ったソファに背中をつけた。
そしてそのまま頭まで脱力してその柔らかな生地に受け止められる。ふかふかだ。気持ちが良い。
シャンデリアがドアップに見えて、その輝きにゆめみは目を細めた。
この部屋はヨーロッパ調の作りで、真っ白い壁に繊細な装飾がついている。
シャンデリアは金色で、ダイヤモンドのような輝きの宝石がぶら下がっており、大きな窓からの自然光だけでキラキラと輝いている。
ゆめみの座るソファーの目の前には今は使われてはいないが暖炉があり、豪華ではあるが親しい友人がおしゃべりするのに最適なそんな温かみのある部屋であった。
ゆめみの好みドンピシャである。可愛すぎる。
徳川家本邸は、ここが大使館かと思うくらい豪華なものだった。
執事らしき人と、メイドらしき人までお迎えに来てくれ、異次元の金持ちぶりを目の当たりにしたゆめみは、少し混乱してきた。
さっきまで持っていた
『なんでカズヤくんはこんなに優しくしてくれるんだろう?』
という疑問に加えて、
『結婚相手私で良いのかな?』
という疑問まで湧いてきた。
どう考えても引くて数多だろう。
なんだか自分に決定権があることでさえ不思議だと思う。
最初はシャンデリアに気を取られて気が付かなかったが、ずっと天井を見つめるとシャンデリアの周りにも花柄の装飾が掘られていることに気付いた。
「かわいい・・・」
ゆめみは自分のボキャブラリーの無さに驚きつつも、その飾りを凝視した。
「天井がお花畑みたい」
ゆめみが重ねてぼそりと呟くと、クスッと吹き出す音が聞こえた。
パッと入り口を見ると、ちょうど徳川がティーセットを乗せたワゴンを運んできたところであった。
パッと起き上がり、見られていた羞恥心から顔を赤くすると、徳川は「楽にしていて構わない」と言ってくれた。
ゆめみは背筋を伸ばして、気取って「お言葉に甘えております」と言って微笑む。徳川はさらに顔を背けて笑った。
レディーに対して、全く持って失礼である。
しかしすぐにゆめみの興味は、そのワゴンへと移った。
銀色の繊細な装飾のついたワゴンの上には、可愛いティーセットと、ケーキスタンドが乗せられていた。
ケーキスタンドは3段で上から苺のムース、カヌレ、一番下がボンボンショコラが乗せられている。
またまたフランス押しだ。
紅茶に注目すれば、そちらも有名高いフランス紅茶のフレーバーティーで、ゆめみはここまで徹底するとはと感心してしまう。
フランスでは苦い紅茶よりも甘いフレーバーティーが好まれることが多い。
「今日はたまたま父も母も出ていてね、ゆめみちゃんに会えないのを残念がっていたよ」
徳川がゆめみにフレーバーティーを注ぎながらそう言った。
ふわっとしたラズベリーの香りが広がる。
春だなぁとゆめみは思った。
注がれるティーカップをキラキラした瞳で見つめるゆめみに、徳川は込み上がる笑みを噛み殺した。
きっと彼女は今このフレーバーティーに夢中で、自分の話はほとんど聞いていないのだろうなと思う。
天真爛漫で純粋なゆめみが、ここ数日可愛く見えて仕方がない。
この子が喜ぶことをなんでもしてあげたいと思ってしまう。
「どうぞ」
徳川がゆめみの目の前にティーカップを置く。
そして徳川は3人がけソファーに座るゆめみの隣に座った。
ゆめみは徳川自身のカップにもフレーバーティーが注がれたのを確認すると、自分のカップを持ち上げた。
鼻を近づけて、その香りを堪能する。
そして、一口飲んだ。
苺とラズベリーといちじくと、あとはシナモン、絶妙にブレンドされたフレーバーティーはとても美味しかった。
ゆめみの口から思わず「C’est bon」と感嘆のフランス語が漏れる。
その発音は小さな女の子の発音に似ていた。ゆめみの全ての行動が可愛く思えて小さく笑った。
徳川が笑ったので、ゆめみもふわふわとつられて笑う。
「カズヤくん、ありがとう」
ゆめみのキラキラした瞳が自分に向けられていて、徳川はその瞳から目を離せなかった。
「私、今とっても幸せ、プリンセス気分」
ゆめみは徳川に対して、敬語と常語を混ぜて話す。敬語でない時の方がより親しみを感じていいと徳川は思っていた。
「そうか、用意した甲斐があるというものだ」
2人は顔を見合わせて笑った。
とても穏やかで優しい時間だった。
ゆめみは今なら聞けそうな気がして、口を開いた。
「どうしてカズヤくんはそんなに優しいの?」
徳川は珍しく即答しなかった。
少し間をおいた後、「優しくするのに理由が必要とは知らなかった」と的外れな回答をする。
ゆめみが聞きたいのはそういうことでは無い、もちろん優しくするのに理由がいるとは思っていないが、それにしてもゆめみに対する態度が過剰だと感じているのだ。
でももしかして、これは普通のことで、自分が自意識過剰なだけかもしれない?とまで考え込んだ。
百面相をするゆめみに、自分の回答が間違っていたのだなと徳川は知る。
「ゆめみちゃんが聞きたいのは、つまり、俺がどうしてゆめみちゃんのことを可愛く見えるのか、ということかい?」
徳川は全く照れることなくそう言い切った。
対して、急に可愛いと言われたゆめみはパニックだ。
「え?えっと、その、可愛いって思ってくれてるんですか?」
ゆめみの頬が薔薇色に染まったのを見て、徳川もさすがに気恥ずかしくなって視線を逸らした。
「それは、そうだが・・・少し考えをまとめたい」
2人は気恥ずかしさを紛らわすために、フレーバーティーを飲み込んだ。
とその時、サロンの玄関側のドアが開いた。
ゆめみと徳川は同時に開かれたドアを見る。
1人の美女が入って来た。
ゆめみは眩しくて後光が刺しているようにさえ思えた。
真っ白く細すぎる長身の体に、パーマがかかったセンター分けの髪を揺らし、スタスタと歩いてくる。それでいて一切足音を立てていない。
気品溢れる佇まいだ。
ゆめみは思わず立ち上がった。
その美女は、ゆめみの前まで来ると、その芸術作品のような顔を緩ませて顔全体で笑った。
可愛い、と思うと同時に、ふわっと抱きしめられた。
「カワイイ」
思っていることを言われて驚く。美女はゆめみを抱きしめた後、少し離して顔を覗き込んだ。
「面影があるわ、そのまま大きくなったのね」
「もしかして、徳川マリカさんですか?」
ゆめみはその人を知っていた。
彼女は今年度のミスワンワールドの日本代表で、世界大会でなんらかの賞を受賞していた。
それが日本人で初めて受賞したため、ニュースで取り上げられたのを見て知っていたのだ。
しかしそんな有名人がなぜここに?
「もしかして、カズヤくんのお姉さんですか?」
ゆめみは徳川と美女を見比べながらそういった。整った顔や身長など、共通点が多い気がした。
「ああ、姉のマリカだ、明日の帰国だと聞いていたが」
にこにこしたまま返事をしない姉に代わって、徳川が答えた。そう言えば母親が徳川のお姉さんは留学中だと言っていたことを思い出す。
ゆめみがドイツに住んでいた3歳の頃に徳川の姉のマリカとゆめみの3人で遊んでいたらしいが、ゆめみにその記憶はない。
それが徳川マリカだったなんて。
徳川家の血筋ってすごいなぁなんてゆめみは感心した。
「行きましょう、ゆめみちゃんとやりたいことがいっぱいあるのよ」
ものすごい上品そうに見えるのに、茶目っけたっぷりの笑顔でマリカはそういった。
美しすぎるマリカに、ゆめみは思わず「はい」と、返事をしていた。
マリカはゆめみの手を引いて、サロンから出ようとする。
「姉さん、話の途中・・・」
いきなりの展開に徳川は呼びかけてみるが、マリカはウインクをしただけであった。
サロンのドアがバタンと閉じる。
どこの家でも姉もいうのは最強なのだ。
徳川は少し呆然とドアを眺めていたが、少しするとソファーにもう一度座り直した。
花が散ってしまった後のような、なんとも言えない寂しさを感じる。
「寂しい、か」
そんな感情が自分にまだ残っていたのか。
徳川はそう思った。
親と離れた長い海外生活で、そんな感情は克服したと思っていたのに。
「どうして、こんな気持ちになるんだろうな」
徳川は自問自答した。
その答えが、きっと「どうして優しいの?」と聞いたゆめみの求めるものと同じだとも思った。
この1週間は、徳川にとっても不思議な体験だった。
いつも1人きりだったトレーニングが、ゆめみが見ているというだけで全く別の時間に変わった。
いろんな彼女の一面を知ったとも思った。
一生懸命に取り組む姿には、力になりたいと思う。
小さいことでも嬉しそうに笑うから、
そしてその笑顔が可愛いから、もっと彼女を喜ばせたいと思う。
ずっと見ていたいと思う。
この感情は、つまり。
徳川はハッと気がついた。
「これが、妹というものなのか」
彼もまた天然であった。
ゆめみはマリカに連れられて、またリムジンに乗って移動した。
いったいどこまで行くのだろうと疑問に思ったゆめみだったが、目的地はほんの数分で着いた。おそらく歩いても10分くらいだろう。
六本木の一等地にある三ツ星ホテルである。
「ここはどちらの天界でしょうか・・・」
ゆめみはあまりの気持ちよさにそう呟いた。
今はホテルのスパで全身トリートメントを受けている最中である。
タイ式のスパで、間接照明がゆらゆら揺れる中、アジアンなゆったりとした音楽と、スパイシーなオイルの香りに身も心もリラックスした。1週間の疲れがすべて溶かされて消えていくような気がした。
ゆめみは正確に言えば紙パンツ1枚という格好であるが、セラピストがうまいことタオルで隠しながらトリートメントをしてくれるので、恥ずかしくは無かった。
ペアルームで、ゆめみとマリカは隣同士のベッドで、それぞれのセラピストに施行を受けている。
「あのカズヤとの結婚についてだけど、悪いことは言わないからやめた方がいいと思うわー」
そう言うマリカに対し、ゆめみは「カズヤさんと結婚できる方は幸せだと思いますよ」とふわふわ返した。
ここまでのおしゃべりで、徳川とゆめみの婚約は父親同士の暴走の部分があり、実際にはまだお付き合い前のお試し状態だと説明していた。
徳川の婚約者が東京に来ているという情報を聞きつけたマリカは、ゆめみに会うために1日早く帰国したのだった。
「そうかしら?典型的なエリートぼっちゃんって感じで冷たすぎるから、結婚相手に寂しい思いをさせてしまうと思うのだけど」
「カズヤくんはとても優しいですよ!」
「・・・確かに地球に優しい男ではあるかもしれないわね、エコの意識高めだし、でも女の子に対してはノーでしょ」
「いえいえ、とても優しいです!」
「・・・ご老人に対しても優しいわよね」
なぜか話が噛み合わない。
ゆめみはついに「私にとっても優しいです」と言っていた。
言ってから、無性に恥ずかしくなる。
マリカはキョトンとした。
そして、「へーえ」とにっこり笑う。
「もしかしたらカズヤも変わったのかしらね」
マリカの言葉に、ゆめみは初めて会った時に『人生の転機があった』と話していたことを思い出す。それが何か関係しているのだろうか。
「それかゆめみちゃんが特別なのかも」
「そんなことはないと思います」
「ふふ、これからもカズヤと仲良くしてあげてね」
「はい」
マリカは少し思い出すような切ない顔をして「昔から弱音を吐かない子だったわ、寂しくない子なんていないはずなのにね」と言った。
マリカは懺悔をするように、徳川の幼少期の話を聞かせてくれた。
ドイツに引っ越したばかりの時は引っ込み思案で、うまく周りと馴染めず苦労をしたが、テニスを始めてからは別人のように強くなり弱音を吐かなくなったという話だ。
「あの子が大丈夫というから、たった10歳で留学させてしまったの、今考えるとまだ甘えたい年頃だったでしょうに、寮生活で寂しい思いをさせてしまったわ」
徳川の父親の外交官という仕事は海外と日本を交互に行き来するのが普通だ。
ずっと海外のテニスクラブで活躍していた徳川は、家族と一緒に暮らせない時期が長かったのだろうなと思った。
海外での活躍は華やかな彼の経歴であるが、その裏にはたくさんの寂しさや我慢があったのだろう。
ゆめみの両親も多忙で、小さい頃は我慢ばかりしていたことを思い出した。
トリートメントが終わり、ピンクのふわふわのバスローブに包まれて、ゆめみとマリカはスパからブライズルームへと移動した。
ブライズルームとは、結婚式当日に花嫁がお色直しをしたりする時に使う部屋であるが、今日はマリカが貸し切っているようだ。
真っ白い部屋には、背もたれのついた椅子が2つ置かれており、ゆめみとマリカが座っていた。目の前には大きな鏡が設置されている。
ゆめみとマリカが指のお手入れとネイルをしてもらっていると、ノックの音が聞こえた後、1人の執事が入って来た。
徳川家の執事である。
「マリカお嬢さま、そろそろ邸宅にお戻りになりませんか?坊ちゃんがいつ戻るのかと気にかけております」
ゆめみがハッと時計を見ると、すでに時刻は11時半であった。そういえばフレンチのシェフが恵比寿からやって来ているのではと不安になる。
しかしマリカははっきりと「今日は戻らないと伝えて」と言った。
「しかし、お嬢さま」
「紅葉(こうよう)、女の子が身支度中よ、出ていってくれるかしら」
マリカはまたピシャリとそういったが、紅葉と呼ばれた執事は引き下がらなかった。
「坊ちゃんは昨日からゆめみ様がお見えになるのを楽しみになさって、いろいろと準備されていたんですよ、それをすべて取り上げるなんて・・・あんまりです」
執事は最後にはハンカチを取り出して自身の涙を拭いた。それが演技なのか本心なのかは分からなかったが、必死な訴えにマリカは最後には折れた。
「わかったわ、でもまだ身支度中よ、終わったらアフターヌーンティーにするからそこで合流しましょう」
深々とお辞儀をして出ていった執事。
「ゆめみちゃん聞いてた?どうやらうちのカズヤはあなたにお熱のようだけど」
と至極楽しそうに、からかうように言った。
ゆめみはまたなんでそんなに優しくしてくれるんだろうと思ったが、「アフターヌーンティー楽しみです」と微笑むことにした。
自分のために、いろいろ考えてくれたことも嬉しい。
「ふふ、じゃあとびっきりオシャレをしていきましょう、カズヤをもっと夢中にさせてね」
ウインクしたマリカが美しすぎて、こんなにスタイルが良くて美人のお姉さんがいるなら、自分は小動物か何かにしか見えないだろうなと思った。
それから、美容師さんに髪を切ってもらい、眉を整えてもらった。
メイクアップアーティストにはメイクをしてもらい、スタイリストさんには服とアクセサリーを選んでもらった。
ゆめみはこれはどういうサービスなのか理解出来なかったが、代わる代わるその道のプロがブライズルームを訪れて、マリカとゆめみにどんどんサービスを提供してくれるのだ。
そんなわけで、全ての訪問が終わった時、ゆめみは別人のようになっていた。
ゆめみは呆然と立って、鏡の中の自分を見つめていた。
なんとなく伸ばしていた胸まであった重たい髪は、鎖骨くらいまでに短くなり、軽くなったことで、ふわりと内巻きになっている。
肌は透明感を取り戻し、眉は今風の柔らかい印象に変わった。
「中学3年生デビューしちゃうかも」
ゆめみの第一声はこれだった。
マリカは「素材が良いから当然ね」と満足気に言う。
「マリカさん、どうやったらそんなに綺麗でいられるんですか?」
ゆめみは不安になった。見た目は変わったけど、中身は変わっていないのだ。
マリカのように、内面から出る上品さが欲しいと思う。
「そうね、まずは全ての動作に余韻を持たせることかな、それと、姿勢をよくすること、自分を天井から吊り下げられているマリオネットだと思うといいわ」
マリカはゆめみの瞳を覗き込んで笑った。
「それから恋をすることよ、恋する相手に可愛く見られたいと思うこと」
最後の言葉だけは、参考になりそうにないと思った。
だって、私は恋をしない女の子だから。
それでもゆめみは精一杯心を込めて「ありがとうございました」とお礼を言った。
アフターヌーンティーの会場に向かったのは、ゆめみ1人だった。
エレベーターを2階で降りると、天井が広く開放的な空間が現れた。
金色のカーテンがオーロラのように空間を彩っている。
そのキラキラとした装飾を眺めて足を止めたゆめみに、斜め前から長身の男が現れる。
彼はカジュアルではあるがスーツを着ていた。
そのスラリとした体から、すぐに徳川だと分かったのに、ゆめみはすぐに声をかけることが出来なかった。
まるでスーツでこのゴージャスな空間に立つ彼が王子様のように見えたからだった。
イケメンとは、罪である。
同じように、徳川もゆめみを見つけて近づいたのは良いものの、その姿を真正面から捉えてかける言葉を失った。
雰囲気が変わっていた。
ぐっと大人になった、そんな感覚だ。
純粋に綺麗だと思った。
中途半端な距離で見つめ合う2人。
まるで時間が止まったかのような錯覚に陥っていた。
その間を、小さな子供が横切ったことで、2人はハッと気がついた。
徳川がさっと駆け寄り、手を差し伸べる。
「やっと会えたな、今日はもう会えないかと覚悟していたよ」
徳川の言葉に、ゆめみは「大げさですね」とクスクスと笑った。
ゆめみの笑顔がいつもより近くに見えて、徳川は不思議に思う。
よく見ると、高いピンヒールを履いていることに気づいた。
12センチのヒールのおかげで、30センチ以上あった身長差は、今限定で20センチである。
嬉しいと思うが、ゆめみが転ばないか不安になり、徳川は繋いだゆめみの手をそっと自分の腕に回した。
そしてゆっくり歩き出す。
完璧に席までエスコートしてくれた徳川に、ゆめみはやっぱりこの人は16歳で年上なんだなと改めて思った。
背伸びしている自分とは違い、このホテルのラウンジの雰囲気が彼に合っている。
ゆめみには徳川がとてもスマートでカッコいい大人に見えた。
席につくと、すぐに3段の芸術的なケーキスタンドに乗せられたお菓子が運ばれて来た。
ストロベリーフェア中であるため、全てピンクで可愛すぎる。
ストロベリービネガーソーダがウェルカムドリンクとして提供された。
徳川にはホットコーヒーが運ばれてくる。
ゆめみは最初に小さないちごのフルーツタルトに手を伸ばし、それをふた口で食べた。
幸せの味だ、間違いない。
ゆめみの雰囲気がほんわかするのを微笑ましく見ていた徳川は、ごほんと咳払いをして話出した。
「今朝議論していた議題について、俺なりに見解をまとめてみたのだが」
ものすごい硬い言葉が聞こえてきて、ゆめみは不思議そうに徳川を見た。
はて、今朝そんな難解な議題について論議していただろうか?
「ゆめみちゃんから問題提供してくれただろう、俺がどうしてゆめみちゃんを可愛いと思っているのかという議題だ」
いたって真面目なトーンでそんなことを言われたものだから、ゆめみはむせた。
待って、なぜかはわからないがものすごく恥ずかしい。
第一自分は『カズヤくんはどうしてそんなに優しいの?』という単純な疑問を投げかけただけだ。
そんな自分が可愛いことが前提よ!みたいなナルシストな議題を打ち上げた覚えは無い。
「カズヤくん、もうそれはいいです」
「いや、そういうわけにはいかない、そういう些細なすれ違いがいずれは円満な夫婦関係に支障をきたすことになる・・・可能性がある」
ここは個室ではなく、ものすごく開けたホテルのラウンジだ。
先ほどから斜め向かいのテーブルに座る50代マダムがこちらをチラチラと伺ってきている。
恥ずかしい。
しかし、変な質問をしてしまった自分にも非はあるのかもしれない、とゆめみは思い直した。
そのせいで午前中からお昼にかけて徳川を悩ませてしまったのなら、その責任を取る必要があるだろう。
「わかりました、どんな回答でも重く受け止めます、カズヤくんの見解をお願いします」
結局はゆめみも徳川に引きずられていた。
「まず、前提として、俺とゆめみちゃんは事前情報に大きな乖離があることに着目した」と切り出した徳川。
もはや完全に会議の雰囲気である。
ゆめみは生徒会総会をおもいだしてゴクリと唾を飲み込む。
「ゆめみちゃんは、ドイツでの記憶がないと言っていたね」
「そうですね・・・私3歳でしたからね」
徳川はスマートに手で合図をすると、ウエイターがアルバムを持ってきた。
「そこで、ゆめみちゃんにこれから俺達のドイツでの話を知ってもらおうと思う」
机の上に置かれたアルバムを丁寧に手に取ると、その表紙は『マリカ7歳、カズヤ4歳』と書かれていた。ページを開くと、それは彼らの成長アルバムのようだった。
「4歳のカズヤくん、可愛い!」
ゆめみは飛び込んで来た徳川の幼少期の写真にメロメロになった。
海をバックに、白いポロシャツを着ている。
「これどこの海ですか?」
「愛媛県だよ、生まれてから4歳の初めまでは母親の実家の近くに住んでいてね」
「カズヤくんも海の近くで育ったんだ、一緒ですね」
「そうだな、だが見てほしいのは、もっと後で・・・この辺だろうか」
徳川は向かい側からパラパラとページをめくっていたが、次第に焦ったいと思ったのか、ゆめみの斜め横の席に移った。
徳川が止めたページを見ると、背景が明らかに日本からドイツへと移っていた。
カラフルな街並み、色遣いが可愛いと思ったが、4歳の徳川は泣き顔だった。
「今でも覚えている、俺は行きたくなかった・・・分からないドイツ語は暴力的に感じられたし、ドイツ人は子供の目から見るとみんな不機嫌そうで怒っているように思えた」
ゆめみの徳川を気遣うような瞳に、徳川はなんの迷いもなく「いつも日本に帰ることばかり考えていたよ」と言った。
そう言いながら、過去のこととはいえ、弱さを素直に伝えられたことが不思議だと思った。
「そんな時、キミに出逢った」
徳川がめくったページには、2歳の女の子が映っていた。
両手にたくさんの色とりどりの卵を抱えてドヤ顔をしている。確かにそう言われてみれば自分な気もするが、記憶はない。
「イースターエッグですか?」
「そうだ、俺達は同じアパートメントに住んでいてね、この日はイースターで、アパートメントの住居者の子供達でイースターエッグハントをしていたんだ」
徳川は懐かしむような、優しい顔をしていた。
「ちょこちょこ歩いて一生懸命エッグを探すキミが可愛くて、俺と姉でいかにキミにイースターエッグを見つけてもらうか競っていた」
徳川はその後も、一枚ずつアルバムをめくって、昔話をしてくれた。
どうやらイースターのイベントの後、ゆめみの母親と徳川の母親が仲良くなり、よく遊ぶようになったらしい。
春の後は夏が来て、地中海にバカンスに一緒に行き、ハロウィン、クリスマス、年越し、バレンタイン、とほぼ1年間を一緒に過ごしたようだ。
写真の中の自分は本当にずっと楽しそうで、いつも笑っていた。いつも隣にいて優しく世話をしてくれる徳川が大好きだったのだろうなと思った。
ゆめみも徳川が家に来る前に一緒に写っている写真を見せてもらったが、その時とは質量も情報量も違うので、とても新鮮だった。
「ゆめみちゃんは、ほんとによく笑う子で、アパートメントの住人からはハッピーベイビーという意味の『グリュックリッヒベイビー』と呼ばれていたよ」
「なんだかアホっぽい響きですが」
「いや・・・可愛すぎるくらい可愛くてね、俺のことを気に入ってくれて、毎日会うとこれ以上ないくらい嬉しそうに抱きついて来てくれたよ」
ゆめみはとっさにそれは徳川がイケメンだからじゃないだろうかと思った。
2歳にして、面食いだったのかと闇歴史を知ったような気持ちになる。
ゆめみは微妙な顔をしたが、徳川は全く気付かず話続けた。
「母がいつも『ゆめみちゃんを守るのはお兄ちゃんの使命よ』と言ってね、俺はドイツでの仕事が出来た気がした」
徳川はまるでその想い出を宝物のように話す。
彼からゆめみへの溢れるばかりの愛情と感謝を感じて、胸がぽかぽか温かくなる。
「その後の話は一度したと思うが、テニスクラブでもいつも応援してくれてね、ゆめみちゃんは覚えていないかもしれないけど、俺はずっと恩を感じていた」
徳川はそっとゆめみの手に自分のを重ねた。
「これで少しは俺の気持ちが分かってくれただろうか?ゆめみちゃんは俺の恩人なんだ」
ゆめみはもう一度、アルバムの中の自分に視線を落とした。
2歳だったゆめみは、ページが進み今は3歳になっていた。5歳になった徳川に抱きついて弾けるような笑顔をしている。
徳川の優しさのルーツを知って、ゆめみは安心した。こんな小さな頃を知っている徳川から見れば、自分はやっぱり恋人というより、家族に近い存在なんだろなとストンと理解した。
11月に会った時からの疑問が全て解消された。
辛いことがあって自分に会いたくなった理由も、『ゆめみちゃんは俺が守るから』と言ってくれた理由も、ひたすらに優しくしてくれる理由も、全部理解出来た。
「丁寧に教えてくれてありがとう、でも」
私は何もカズヤくんにしていなかった。
それが本音だった。
2歳や3歳にとって、笑うことや懐くことは当たり前のことだ。徳川からもらったものに対して、全然返せていなかった。
「今回のお礼は別にさせてほしいな」
ゆめみはそう提案した。
「特に礼を言われるようなことをした覚えはない」
思った通りの回答が来たが、ゆめみは諦めなかった。さらにもう片方の手を徳川の手の上にふわりと乗せた。
「妻のお願いをちゃんと聞かないと、後々夫婦関係に影響するかも、しれないよ?」
ゆめみの精一杯のおねだりである。
先ほどの徳川の言葉を真似した形であるが、ゆめみの口から出た『妻』の響きに徳川は良いと思っている自分に気がついた。
「・・・わかった、検討しよう」
「今一緒に考えましょう、カズヤくん何か私にして欲しいことないの?」
ゆめみちゃんにしてほしいこと・・・
徳川は、真剣に考えた。
が、徳川の右手がゆめみのすべすべの手に挟まれたままなのに気を取られて集中出来ない。
『何でぇ・・・弱さ・・・見せないの?』
ふと先日寺でオジイさんに言われた言葉を思い出す。
この子と一緒なら。
もしかしたら。
「俺と行ってほしいところがある」
徳川はそう言った後で後悔した。
その問題は自分の問題で、他者を巻き込むべきではなかったのに。
「いいよ、一緒に行きましょ」
花開くように、嬉しそうに笑うゆめみに、徳川は訂正することが出来なかった。
「本当に1人で大丈夫か?」
「本当に大丈夫、ここに駅があるのだから、1人で帰れるよ」
六本木駅に続く地下への入り口の前で、徳川は心配そうに「家まで送らせることもできるが」と食い下がった。
時刻はまだ4時前で、そんなに遅い時間では無かった。ゆめみは徳川家に今日もたくさんお世話になったので、これ以上世話になるのは申し訳無いと思い、電車で帰る選択をしたのだった。
ゆめみの持つ鞄は小さいの1つだけで、後は徳川に自宅に送ってもらえることになっていた。
「本当にいろいろありがとう、今日借りた服とかアクセサリーはパパ経由で返すからね」
徳川はフッと笑って「その必要はない」と言った。
「え、でも」
「よく似合っている」
徳川はそっとゆめみのサラサラした髪を撫でた。
「この服やアクセサリーにとっても、ゆめみの元にいた方がいいだろう」
ものすごいイケメンだ。
ゆめみははにかんだ笑顔で「本当にありがとう」と言った。
くるりと後ろを向いて、階段を降りかけた。
だけど気になって、後ろを向くと、予想通り徳川がまだゆめみを見守っていた。
なんて優しい人なんだろう。
何だか、胸がいっぱいになった。
この辛い1週間を乗り越えられたのは、彼のおかげだ。
ゆめみは溢れる感謝に我慢出来なくなって、数段降りた階段を引き返した。
驚く徳川に、ぎゅっと抱きついた。
さっきたくさん徳川に抱きついている写真を見たからか、恥ずかしいとは思わなかった。
徳川も優しく受け止める。
「・・・ゆめみちゃん?」
ゆめみはぎゅっと徳川に抱きついたまま言った。
心を込めての感謝の言葉。
「ありがとう」
2人は少しの間ハグした後、ゆめみが少し離れると、徳川は視線を合わせてくれた。
「またすぐに会えるさ、それまでいい子にしているんだよ」
嫌だったら子供扱いも、今はくすぐったいだけだった。
今日1日で、ゆめみの徳川への見方が全く変わってしまった。
子供の時の仲の良かった話を聞いたこと。
小さい頃に寂しい思いをしたことや同じ海の近くで育ったことの共通点を知ったこと。
たくさんの彼を知って、ゆめみの中で完全に徳川は『お兄ちゃん』になっていた。
2人は名残惜しそうに離れて、ゆめみは再び地下鉄の改札に続く道を降りた。
徳川と別れた後、ゆめみは数時間ぶりにいつめんのグループチャットを開いた。
新しくゆめこがハワイの綺麗な夕日とディナーの写真を投稿していた。
「わぁ、美味しそー」
写真の中のオマール海老のビスクが美味しそうすぎて、ゆめみは思わずそう呟いた。ハワイは夜のようだ。
ゆめこは明日の帰国予定だ。早く会いたいな、と思いながら、ゆめみもそのグループチャットに投稿する。
『今から電車で帰りまーす、1週間ぶりの湘南』
ゆめこからすぐに『家に帰るまでが修行だぞ☆明日電話するねー』と返信が返ってきた。
他のみんなはまだ部活中だろう。
とその時着信があった。慌てて誰からの電話からかも確認せずに通話ボタンをタップする。
「久しぶり」
耳元で聞こえた声に、ゆめみはなんだか泣きたくなった。
ものすごく久しぶりな気がした。
その甘くて穏やかな声が、一気にホームシックを引き寄せる。
「久しぶりね、精市」と挨拶をした後、彼がとても心配になった。
3月中旬に退院した幸村は、今は自宅療養中だ。
「体調はどう?無理していない?」
電話口で幸村がフフと笑う声がした。
「相変わらずだね、ゆめみは・・・」
幸村はこの1週間が耐え難いほど辛かったことを伝えようか迷っていた。中学に入ってゆめみと出会ってから、よく考えたらこんなに会わなかったのは初めてだということに気付いた。
1年生は同じクラス、2年生は委員会やお昼休みに、特に病気になってからは2日に1回のペースで会っていた。
「元気では無かったよ」
幸村が思わずそう伝えると、電話の先のゆめみは明らかに狼狽えた。
体は元気だったけど、ゆめみに会えないから寂しくて心は元気じゃなかったよ。
それが本音だったが、これ以上優しいゆめみを心配させるのは良くないなとも思った。
「アトリエのゼラニウムがね」
幸村がそう言って逃げると、ゆめみのほっとしたようなため息が聞こえた。
「・・・精市は?」
「俺は元気だよ」
「びっくりした」
ゆめみはそう言った後、「サーモンピンクと赤どっちの方?」と聞いてきた。
「キミの可愛がっていたピンクの方だよ」
「心配ね、どうしたのかしら」
「ゆめみが来ないから寂しくなっちゃったんじゃないかな」
ゆめみは幸村の回答に少し考えた。
普通に聞いたらそんなことありえない気もするが、最近は植物にも気持ちがあるような気がしていた。それに植物博士の幸村の言うことだ、もしかしたら本当にそうなのかもしれないと思った。
「私、これからアトリエに行ってもいいかな?」
完全に信じたゆめみに、幸村は可愛いなと思った。ゼラニウムが少し元気が無いのは事実だったし、今日会えるのは幸村にとっても嬉しい話だ。
「もちろん大歓迎だよ」
これから幸村に会える。
ゆめみは嬉しくなった。
柳とも約束をしていたが、部活帰りに幸村の家に集合すればいいだろう。きっと真田も一緒に来て、久しぶりに4人で遊べるかもしれないとワクワクしながら、ゆめみは電話を切った。
早く湘南に帰りたい。
(221107/小牧→181
キミの声を聞いたら急に寂しくなった。
Location ANAインターコンチネンタル、タンサンクチュアリー赤坂、アトリウムラウンジ