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(助けて国光くん/手塚•不二)
白いゲレンデ、青い空。太陽の光が雪に反射してキラキラしている。
「ゆめみちゃん、怖くなったらいつでも言ってね」
手塚の父国晴がゴーグルを外しながら優しくそう言った。ゆめみは「ありがとうございます」と微笑んだ。国晴は、今度はゆめみの後ろにいた手塚に声をかける。
「国光、ゆめみちゃんをきちんとフォローするんだよ」
「はい」
ゆめみが振り返ると、手塚は目線を合わせてくれる。その表情はいつも通り固いが、優しい瞳だと思った。ゆめみがじっとその整った顔を見ていると手塚は「どうした?」と首を傾げた。「何でもないよ」と慌てて言ったゆめみは、今日も国光くんカッコいいと密かに思うのだった。
12月下旬、立海大付属は冬休みに入っていた。世間は祝日。
ゆめみは手塚と手塚の父国晴と茨城にあるスキー場にスキーに来ていた。今回も登山の時同様彩菜からゆめみの母親に話が来て、ゆめみも参加することになったのだが、登山の時とは違うことが1点。1週間以上前からわかっていたのだ。
ゆめみは冬休みに入るまでのこの1週間、ずっとソワソワして、ドキドキして、ついには新しいスキーウェアを買ってもらうくらいに楽しみにしていた。
ゆめみは自分でも浮かれていることをわかっていて、「私って意外とスキー好きみたい」と言っていたが、側で聞いていたゆめこは、それは手塚と一緒だからでは?と思った。しかし口には出さ無かった。
そんな訳で楽しみにしていた相乗効果もあり、ゆめみはこの時間を心の底から満喫していた。
「もうこんな時間か、下まで降りたらお昼にしようか」
「はい」
リフトを降りたところで、国晴がそう言った。ゆめみがチラリと時計を見ると、12時半を少し過ぎたところだった。
国晴はストックを少し上げて合図を出すと、滑らかに滑り出す。ゆめみも後に付いて滑り出そうとした時だった。
「ゆめみ」
名前を呼ばれた。
え?どこから?と思ってきょろきょろと辺りを見渡すが、誰もいなかった。
ただ1人、手塚を除いては。
ゆめみが「まさかね?」と思いつつ、振り向くと、手塚はもう一度「ゆめみ」と言った。
『ゆめみ』と男の子に名前を呼ばれるのは初めてじゃないのに、ゆめみの心臓がドキッと音を立てた。
あれ?いつから?いつから名前で呼ばれてるんだっけ?と思い返して、関東大会の日の朝、彩菜ママが国光くんに名前で呼ぶようにと言ったことを思い出した。ほぼ会ってすぐからだ。
今まで呼ばれる機会が無かっただけで、心の中ではずっと名前で呼ばれてたのだろうか。そう思うとなんだか嬉しかった。
「聴こえているか?」
「うん、何?」
ゆめみが返事をすると、手塚は「そのままでいろ」と言って、ゆめみの隣にピタリと付いた。そして、「腕はこうだ」とストックの持ち方を指導される。
両肩を押さえられ、手塚の顔が近づいてドキドキした。しかしその整った顔はいつも通りのクールな表情で、ゆめみは努めて普通の顔をしていようと頑張った。
「こうかな?」
ゆめみが教えられた通りの持ち方をすると、手塚は少し離れたところからそのポーズを見て、納得出来ないように首を傾げた。
そして、またゆめみに近づいて来ると、今度は腰に手を当ててくる。「膝はもっと曲げろ」と腰の位置を下げようとしてくれているのはわかるのだが、ゆめみだって年頃の女の子だ。
腰を急に触られたら恥ずかしい。
しかし、ここで赤面してしまうことの方がもっと恥ずかしい気がして、赤くならないようにゆめみは必死に頬に空気を入れて変顔をした。
手塚は2秒間ゆめみの顔を凝視した後、顔をそむけた。顔は良く見えなかったが、もしかしてたら、笑ったのかもしれない。
「国光くん、もしかして面白かった?」
「いや、問題無い」
素早く顔を上げた手塚の表情はいつも通りだったが、先ほどの厳しさは無くなっていた。何の問題が無いのだろう?とゆめみは思った。
少なくとも、出会ったばかりの手塚ならば、こんなに親身にアドバイスをしてくれることはなかっただろう。本当にわずかではあるが、距離が縮まっている気がして、ゆめみは嬉しくなるのだった。
「ありがとう、国光くん」
「かまわない」
満面の笑みでそう言ったゆめみがいつもより眩しく見えた。手塚は雪の反射のせいだと思うことにした。
「父さんが待っている、行こう」
「うんっ」
ゆめみが滑り出して、手塚がついていく。
後ろから見られている気がして、ソワソワするが、心地よかった。ゆめみが先ほどのアドバイスを忠実に守って真剣に滑り降りていると、後ろから「その調子だ」と声が聞こえてきて、頬が緩む。
ゆめみの名誉のために言っておくが、ゆめみは小さい頃から年に数回スキーに連れて行ってもらっているため、決してスキーが下手な方ではない。ただ手塚が上手なだけである。
滑り降りた後、ゆめみ達はレストランで昼食をとることにした。
「美味しい!」
本格窯焼きのピザが有名のレストラン。ゆめみが大喜びで美味しそうに食べている姿をみて、国晴はにこにこと笑う。
「こういう時、本当にゆめみちゃんがいてくれて良かったと思うよ、やっぱり場が華やぐよね」
「女の子の子供が1人増えたみたいだよ」と付け加えた国晴に、ゆめみも「私こそご一緒させてもらえて嬉しいです」と言った。
ゆめみは国晴の穏やかな雰囲気がとても好きだった。それに。
ふと斜め前に座る手塚に目を合わせるゆめみ。手塚がピザを食べているのをみて、なんだか幸せだなと思った。午後からも楽しみだなと思っていると、ゆめみの隣に新しいお盆が置かれた。
「こんなところで会えるなんて、運命感じちゃうね、ゆめみちゃん」
嫌な予感がして顔を上げると、不二がにっこりと微笑んでいた。ゆめみがポカンとしていると、不二は国晴と手塚に爽やかに挨拶をした。そして「せっかくですし、こちらに座っても良いですか?」と聞いて隣に座ってきた。
ゆめみは露骨に嫌な顔をする。
「そんな反応傷付くなぁ、素直じゃないんだから」
素直じゃない?どの口がそんなことを言うのだろうか。不二に会う度にロクな目に遭っていないゆめみは、よっぽど言い返そうかとも思ったが、国晴を巻き込みたく無かったので、黙っていた。ちなみに文通は続いていた。
「周助、あれ?手塚くん?」
「どうしてここに?」
同じようにお盆にピザを乗せた姉由美子と弟裕太が驚いたようにやってきた。どうやら不二は姉弟3人でスキーに来ていたようだ。
試合で家族同士顔を合わせたことがあったため、由美子と裕太、国晴は顔見りだった。
初対面の由美子と裕太、ゆめみがそれぞれ自己紹介をした。ゆめみが名前を名乗ると、由美子と裕太は気の毒そうな顔に変わり、不二くんと違ってまともそうな人達だな、とゆめみは思った。
2人が加わったことによって、穏やかな雰囲気に変わった。特に手塚の隣に座った由美子が良いタイミングで話題を振ってくれる。大人の気遣いというものだろうか、ゆめみの目にはそれがとても素敵に映った。
由美子は昨年大学を卒業したばかりで、今は働いているらしい。ここまでも由美子の運転で来たと聞いて、ゆめみはさらに瞳を輝かせる。
「良いなぁ、こんなに素敵なお姉さんがいて」
「うふふ、弟2人はどう思ってるかわからないけれどね」
由美子の返答に、不二と裕太が「いつも感謝してるよ?姉さん」「そうだぜ、姉貴」と返して、その返事が全く心のこもってないものだったため、由美子ははぁとため息を吐いた。
「私もゆめみちゃんみたいな可愛い妹が良かったわ」
ゆめみはくすくすと笑って、ふと隣を見た。その瞬間、ぎょっとする。不二のクリームベースの白いピザが真っ赤になっていたのだ。不二は続いて何度もタバスコをふりかけている。ゆめみは思わず不二のタバスコを持つ手に手をかけた。
「かけすぎだよ、不二くん」
不二はきょとんとして、ゆめみを見た。そして心配そうなゆめみを見て、クスっと笑う。
「なんかそのセリフ、久しぶりに聞いたなぁ」
どうやら不二の辛いもの好きはいつものことらしい。2人の姉弟と手塚が当たり前のこととして受け止めているのを見て、ゆめみは理解した。
「そうだったんだ、止めてしまってごめんね、気付いていないのかと思って」
ゆめみは押さえていた手をそっと離した。今度は不二が驚く番だった。自分の味覚が他の人と違うことは分かっていたが、大抵初めの一回は止められて、その後に続く言葉は「やめなよ」とか「体に悪いよ」といった否定的な言葉だったのだ。
止める側は「不二のために言っている」という意識があるのか、どこか上目線で注意してくる。止めたことに対して謝られたことは初めてだった。
「止めないんだね」
不二の言葉にゆめみは首を傾げた。「だって好きでかけてるんでしょ?」と当たり前のように返すゆめみ。
「不二くんが美味しいって思えることが一番大切じゃないかな」
と笑った。そして「辛いものって体にも良さそうだしね」と付け加えた。
そんな風に言われたのは初めてで、なぜか救われた気持ちになる。喉の奥、目頭の奥がグッと痛んだ。出逢った時も、同じような意外感を覚えたのを思い出す。不二はこの溢れ出す感情をどうしていいのか分からずに、両手で顔を押さえた。
「不二くん?」
ゆめみは不思議そうに不二の顔を覗き込む。手を退けた不二の顔は笑顔だった。
「ねぇゆめみちゃん、午後からはボクと滑ろうよ」
ゆめみはすぐに控えめに首を振って「ごめんね」と言った。しかし不二は諦められない。
「スキーはテニスの次に得意なんだ、教えてあげるよ、上達したいでしょ?」
「国光くんに教えてもらったから大丈夫」
ゆめみは頑なにNOと言う。その後も何度か同じような問いが繰り返されたが、ゆめみは絶対に首を縦には振らなかった。当然のことだが、ゆめみは不二に心を許したわけではなかったのだ。その攻防に、国晴と裕太は苦笑いをする。
「周助、その辺にしときなさい、ゆめみちゃん嫌がっているでしょう」
由美子の一言で、その話は流れた。「ごめんなさいね、ゆめみちゃん」と言った由美子に、ゆめみは申し訳なさそうに笑って「いえ、不二くんとはまた違う機会に」と返した。
その言葉は完璧な社交辞令で、不二は更に面白くないと不機嫌そうな顔をする。
その後は他愛ない世間話をして、昼食を食べ終えた。
ゆめみがお手洗いに行った後、お店の外に出ると、さっきまでの快晴は嘘のように、空に雲がかかり薄暗い天気になっていた。
ゆめみが身震いすると、そこには不二だけが立っていた。ゆめみは手にはぁと白い息を吐いて「寒いね」と言った。その姿はゲレンデ効果があるのか、いつもより可愛く思えた。
一緒にスキーが出来たらどんなに楽しいだろう。不二はまだ諦め切れていなかった。思い通りにならないと言うことがこんなに歯がゆいものだったなんて。何か手はないか。ゆめみが自らボクに教えを請う方法が。
「国光くんたち、遅いな」
ゆめみの呟きを聞いて、不二は閃いた。この手を使えば、きっとゆめみもスキーの技術を上達させたいと思うはずだ。
「聞いてない?手塚くんとお父さんは先に行っちゃったよ」
手塚と国晴はお手洗いの前でゆめみを待っていた。しかし結構待っても出てこないため、少し心配になっていた。すると、中から由美子が出てきた。由美子は2人を見ると会釈する。
「もしかしてゆめみちゃんを待っています?中には誰もいなかったですよ」
「そうですか、先にお店を出ちゃったのかな?ありがとうございます」
手塚、国晴、由美子が外に出ると、外は吹雪に変わっていた。国晴が「吹雪いてきちゃったね、これはもう数本滑って退散かな」と呟いた。
「ゆめみがいない」
手塚がそう言った。国晴と由美子が見渡すと、不二と裕太はそこにいたが、ゆめみの姿は見えなかった。
「あれ?おかしいな、やっぱりお店にいるのかな?ちょっと見てくるよ」
国晴が店に戻っていく。手塚は先に外にいた不二と裕太に目を向けた。
「不二くん、ゆめみを見なかったか?」
裕太は困った顔をして「俺も今来たばかりなんです、兄貴何か知らないのか?」と言った。不二は何も言わなかった。
内心ちょっとマズイかな、と思い始めていた。ゆめみも上級者コースを滑れば、もっと上手くなりたいと思うに違いないと思い、ワザと上級者コースへと誘導したのだ。でも、こんな吹雪になるとは思っていなかった。
「何か知っているのではないか?」
手塚は不二に凄んだ。その必死な表情に、不二の中で何かが冷めた。
「あっちのコースを滑るって言ってたよ、もうすぐ降りてくる頃だと思うけど」
不二が指差したコースは超上級者コースだった。裕太はよくわかっていない顔をしたが、由美子と手塚は目を見開いた。
「なんでそのコースに!?そこは積雪量不足で閉鎖されているはずよ?」
由美子の叫びに不二の口から「え」と声が漏れる。その瞬間、手塚は滑り出した。
その時、ゆめみは山の上で途方に暮れていた。不二に支持されたリフトに乗ったのだが、降りたら絶壁のようなコースだったのだ。しかも、他に逃れる道は無い。雪が足りないようでところどころ下の土が見えてしまっている。さらに、どんどん吹雪が酷くなっていっていた。
また騙されたのだ。
はぁ、とゆめみはため息を吐いた。どうしてまた信じてしまったのか。あんなに警戒していたのに。よく考えれば、国晴と手塚が自分を置いて先に行くなんてことある訳がないではないか。
降りるしかない。
ゆめみは慎重に、スピードが出ないように、出来るだけ雪の多いところを見つけて、板を斜面に対して平行にして、おそるおそる体重をかけた。
ずるっとイヤな音がして、ゆめみの体はずるずると落ちて行く。ガキッとスキー板が岩にぶつかる音がした。
落ちる!必死に近くにあった草を掴んだゆめみだったが、体勢を崩してしまっていて、立て直せそうにない。
「いや」
ゆめみの全体重とスキー板の重みを支え切れなくなった草が、どんどん伸びていき、ずるずると体が下がる。草が切れそうだ。怖くて涙目になる。
『助けて、国光くん』
プチ、と嫌な音がして草が切れた。落ちると思った瞬間、力強い腕で抱き上げられた。この感覚は。ゆっくりと目を開けると、手塚の顔がすぐ近くにあった。
「ゆめみ、もう大丈夫だ」
その言葉は優しくて、ゆめみの心に染み入る。ゆめみはぎゅっと手塚の首にしがみついた。
「怖かった」
ゆめみの目から一粒涙が落ちた。手塚はコースの端にゆめみを立たせて、それを優しく拭う。
「ゆめみちゃん」
手塚の後ろには不二がいた。ゆめみは手塚越しに不二を見る。その表情は申し訳無さそうだった。ゆめみは不二の顔を見たくなくて、手塚の陰に隠れる。手塚は小さくため息をついて「まずは降りよう」と言った。そして器用にゆめみのスキー板を外すと、ゆめみの板とストックを不二に預けた。そして、自分はゆめみを抱き上げる。
「しっかり掴まっていろ」と言う手塚の言葉にこくんと頷くゆめみ。
さすがと言うべきか、手塚はゆめみをお姫様抱っこしたまま、雪のあるところだけを通って、滑らかに下まで降りていった。
「ゆめみちゃん!」
またレストラン前に着くと、心配していた由美子と国晴、裕太が寒い中外で待っていた。
青ざめたゆめみを、由美子がぎゅっと抱きしめる。
「怖かったでしょう、とりあえず暖まりましょう」
ゆめみ達は暖炉型のストーブの近くの席に座った。ゆめみは温かいココアを飲むと、少し心が落ち着いた。
「周助、自分が何をしたかわかっているの?」
ゆめみは何も言わなかったが、そこにいる全員が不二のいたずらのせいだと理解していた。不二は端の方で俯いていた。ゆめみは顔色が悪かったが、小さく首を振ると、「私が悪いんです、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」と言った。
そんなゆめみを由美子はワッと再度抱きしめて「弟が本当にごめんなさい」と言った。
それまで黙っていた不二が、すっとゆめみの前に進み出た。由美子は不二のために、ゆめみから離れる。
「ゆめみちゃん」
不二は座っているゆめみの前の床に座り込んで、そっと手を握った。ゆめみはビクっと肩を震わせたが、そんな不二を見つめていた。
「もう意地悪はしない」
その顔は本当に反省しているようで、ゆめみはコクンと頷いた。その反応に、不二は安心したように笑う。そして、その魅力的な微笑みを浮かべたまま、ゆめみの瞳を覗き込んだ。
「だからボクと付き合おう」
時が止まった。というか、凍りついた。
最初からそう感じていたが、この不二周助という人物は、これまでの人生で出逢ってきたどの人とも違う。
独特の世界観の中で生きているんだ。
ゆめみはなぜか冷静に、そう理解した。
「嫌だよ、私は不二くんが嫌いだもん」
凍りついた空気がさらに凍りついた。
もう今すぐに帰りたい。裕太は心底そう思った。
その後、吹雪は更に酷くなり、帰ることになった。
帰り道、行きの車では助手席に乗っていた手塚だったが、ゆめみの顔色が悪いことを気遣って、ゆめみと並んで後ろに乗ることにした。
ゆめみはずっと窓の外を見ていたが、その手がわずかに震えていることに気がついた。
温室育ちのゆめみにとって、こんな恐怖体験は生まれて初めてのことだった。それだけに、簡単に立ち直ることはできない。
震えるゆめみに気付いた手塚は一度は視線を外した。しかし、やはり気になってゆめみを見る。何度かそれを繰り返した。何か力になってあげたい、しかしその手法がわからない。
それに気づいた国晴は、優しく笑って、「国光、ちょっと」と言った。
手塚が運転席の方へ身を乗り出すと、国晴が手塚に「手を握ってあげなさい」と耳打ちする。そんなことでいいのか?と手塚は不思議に思ったが、ウインクをした父親を見て、「はい」と返事をする。
ためらいながらも、手塚はそっとゆめみの手に手を重ねた。ゆめみはぱっと手塚を見たが、嫌そうな顔はせずに、はにかんだ笑顔を見せた。手塚とゆめみの間に会話は無かったが、心地よいと手塚は思った。いつのまにかゆめみはそのままの体勢で眠っていて、震えも止まっていた。手塚は到着するまでの間、律儀にずっとゆめみの手を握って、その寝顔を見守っていた。
(180422/小牧)→52
そんなことでいいのなら、いくらでも。