幼い肢体を弄ぶことに抵抗や罪悪感を覚えていたのは、ほんの一瞬だった。
一度一線を越えてしまえば後戻りすることなどもう不可能で、それまで涎を垂らしながらも唇を噛んで必死に誤魔化してきたのが嘘のようにしゃぶり尽くすようになった。その様は恐らく、初めて肉の味を覚えた猛獣とそう大差はなかっただろう。
薄い胸や股に顔を埋め、肌の匂いと甘い嬌声に脳を焼かれる悦びを知ってしまった。
流れる汗を飲み、口の端から漏れた涎を飲み、滑り落ちる涙を飲み、秘部から滴る蜜を飲んだ。それでも喉は渇いていて、いずれ肉を千切って飲み、溢れる血を飲み、骨を砕いて飲み込むのではないかと思うほどであった。
そうなってもきっと彼女は喜んですべてを差し出してしまうのだと理解していて、その事実が腹の奥で重い熱になって蒸発し、また渇いていく。
 
「……ふぅ、ん……」
「気持ちいいか?」
「ん……は、……きもち……」
「そうか。よくできてる。いいこだ」
 
ナイトレイブンカレッジのサバナクロー寮に存在する寮長専用の特別な部屋、現在は寮長であるレオナ・キングスカラーに宛がわれている個室にはか細く甘い女の喘ぎ声と柔らかいシーツの擦れる音、そして乱れた呼吸音が響いていた。
本来この部屋に寝泊まりすることが可能なのは部屋の主であるレオナのみであるが、現在レーヴェは療養という特殊な理由で学園からも許可を得てこの部屋に匿われている。
彼女がクラウス・シュナイダーという第二の名前でナイトレイブンカレッジの生徒として通っていたころも、この部屋で二人が共有した時間は多く存在する。
元々部屋に置かれていた備品とほんの少し持ち込まれた私物程度しかなかった部屋に、レオナはある日二人で過ごすための小さなダイニングテーブルとチェアを購入あうると、クラウスはそれに合わせて美しい装飾を誂えたティーセットを持ち込んだ。バルコニーにダイニングセットを持ち出してティータイムを過ごし、各々好きな本を読んでいたはずがあたたかな日差しに惑わされてそのままベッドに沈んでしまったこともある。二人で過ごすためのコーヒーや茶菓子を口実に街へ繰り出すこともあった。道中で映画や美術館に寄って、その感想をシーツの中で語り合うこともあった。
王族と身分を隠して生きる婚約者の少女、秘密を共有する二人にとって、そこはすっかり特別な場所へと変わっていた。
 
ドラゴン討伐という偉業を果たし、最低限の治療を終えてからというもの、白日の峠にあるネーマ湖の畔の小屋でも、サバナクロー料の部屋に戻ってきてからも、日々喰い尽くしてしまうかというほど肌を重ねて身体を貪り合っていた。性行為が魔力の譲渡に最適な方法であるというのはもののついでで、互いの熱や匂いを共有するために行われている行為であることは明らかだった。
もともと治療と同等の行為として始めた蹂躙だった。が、レオナがまだ青く熟していない果実を口に含んだのは事実だった。
それが許されているのは、少女の全面的な同意があったからこそであり、それを彼女が愛による行為であると甘受してくれているからだ。そして何より、身体を置いていきぼりにしながらも育った彼女の中の女の心が、同じように喉の渇きを感じているからだ。二人が行為に没頭するようになるのは当然のことだった。
そもそも世界最高の魔法士養成学校の中でもより優秀な成績を誇る魔法士であり、ドラゴンに挑むほどの実力者同士、更には精霊が係るほどの極めて強力な契約なのである。接続回路にも損傷でもない限り、稼働に使用する魔力の譲渡程度であれば指先を触れ合わせるだけでも本来十分なのだ。
ゆえにこの行為は、ほとんど何の他意もなく、ただただ思い合う二人の男女の睦み合いなのである。
 
平坦な、乳房の中央にある硬くなった桃色の小さな芽を口を開いて覆い、わざとらしく音を立てて軽く吸うと、舌先で丹念に捏ねていく。すっかり慣らされた白い身体は熱を帯び、レオナの動きに合わせ健気に反応してぴくぴくと震えた。
口を離さないまま目線だけで見上げれば、目元をぐるりと覆う長い銀色の睫毛に汗か涙かの水分が絡んで揺れており、光を受けてきらきらと瞬いていた。
たっぷりの唾液を舌に乗せて、皮膚に含ませるように撫でつけると、反射で背を反らし平たい胸を突き出す様子がまるで待っていましたと言うようで、レオナの喉からは思わず笑いが込み上げる。
荒い呼気が肌に触れるだけで行為を思い出し、涎を滴らせて準備を始めるほど敏感になった体は、いつか己が呼吸するだけで快感に脳を痺れさせ腹の奥を焼かれるようになるのではないかと心配になるほどだ。
勿論、そうなるように教え込んだのは彼自身だったが。
 
「は……ぁ……ああ、……」
 
すっかり快感と期待で膨らんだ突起を指先と舌先で捏ねる。随分慣れたものだとレオナは思った。
この甘い訓練・・は胸から始まった。
当初レーヴェはくすぐったさに逃げる腰を抑えられては、その行為をぼんやりと眺めては首を傾げていた。
女性らしい柔らかさや形を変えて楽しむような膨らみどころか、ただ幼いだけではなく、痩せた子供の身体を触ることの一体何が楽しいのだろうと思いながら。
その内飽きてしまうまではそれを有難く享受しようと、彼の手が触れてるだけで幸福に満ちるレーヴェの心はまだ無垢な少女のままだった。
しかしレオナはそんな予想をあっさり覆した。
レオナは日がな彼女の平らな胸に触れては先端を弄るのを、やけに時間をかけて楽しんだ。毎日毎日乳頭を優しく優しく撫で、小さな乳輪を舌でなぞった。
普通であればそれは挿入前の前戯の一つであり、ある程度すれば他の箇所へ移行させるのだろうが、こういった行為を始めてから数週間の内だけでもレオナはその行為ばかりに夢中になり、すっかり時間を使い果たしてしまうこともしばしばあった。
驚くほどに飽きることもなく勤勉に丁寧に継続された行為の甲斐あって、小さな可愛らしい桃色の芽はその周囲を指がわずかに掠めるだけで触れて欲しいと自己主張をするようにふっくらと立ち上がって膨らみを持つようになり、その愛らしさに思わず口に含めば離して欲しくないと両腕がレオナの首や頭に回され、見上げれば大きな瞳が欲を揺らして潤むようになった。
レーヴェは小さな突起の中でも特に先端の穴とも言えぬほどの窪みを弄られるのが好きだった。最初に見たときに可愛いと思ったレオナによってしっかりと、執拗なまでに躾けられたからだ。その大好きな場所を両方の中心を舌と指で穿られると、一際甘い声をあげて肩を振るわせ、心地よい快楽に浸れるように。
その姿があんまりにも可愛いからと何度も何度も見たくて続けてしまうので、当然敏感さだって向上してしまい、それを感じ取ったレオナに更に追い詰められる。夜になれば分厚い舌で弄んでくれることを想像して身体を押し付けてしまうほどには、レーヴェはその行為に夢中になってしまっていた。
 
レーヴェ本人には敢えて伝えてはいなかったが、この胸部の愛撫行為に対しレオナがたっぷり時間をかけるには理由があった。
レオナとレーヴェは獣人だ。どちらもライオンの獣人で、耳が頭部の脇にある人間族とは違い、前方の獲物の情報を得る必要がある肉食獣らしく前頭部に付いている。
獣人の耳は鼻と同じく人間より精度が高い場合が多く、レオナのそれも勿論該当していた。そしてその耳の位置は、愛する人の胸部にむしゃぶりつくと、薄い毛皮が唇に触れてしまうほど近い場所になってしまうのだ。
長年たった一人の乙女に欲望を募らせてきた男がこれを逃すはずがなかった。
滑らかな肌に触れることが叶っただけでもたまらないのに、甘い声を鼓膜が犯される歓びを覚え、その熱に脳を焼いて焦がされてしまえば二度と戻れない。
最初むず痒そうな、どう反応すればいいのかわからないといった表情をしていた無垢な乙女が、触る前の、衣服を脱がせようと手をかけたその瞬間から期待で潤んだ目を向けてくるようになってしまったのだ。楽しくないはずもない。
レオナはその平らな胸にあっという間に夢中になってしまったということである。
 
現在のレーヴェを作り上げているほとんどのものは、レオナが誂えたものだ。
ドラゴンの毒と全身に浴びた高熱による火傷や呪詛を取り除くと、彼女が元より持っていた肉体は殆ど残らなかった。事前にかき集めておいた様々な構成物質と彼女の肉親から預かった血肉、そして女神の権限を一時的に借りて、レオナの魔法道具ないし従魔として扱うことで修復に成功させたのだ。
ただの獣人の少女だった元の形に戻すことはできなかった。死者を蘇らせることも、物に成り果てたものを人にすることも、神にも不可能だったからだ。
壊れた身体と術式と構築し直し、魂の欠片を押し込めて、まるで人のように動く肉でできた美しい人形、レーヴェ。
壊れた彼女を修復してからのレオナの行動は実に早かった。魔力や体力を全て使い切ったはずの己などは顧みず、彼女の意識のない内から薄い唇に口付けて唾液を注ぎ、柔らかい皮膚に舌を這わせ、感覚を取り戻す前から肉を甘噛みし、快感を知らない身体を唾液で濡らした。
魔力稼働の魔法道具であるレーヴェの魔力導管が修復不可能なほど破損しながらも滞りなく動くことができているのは、レオナ・キングスカラーという外付けの動力源と、従魔と主人という契約が加わったからである。
そして、体液に含まれる契約をした主人の魔力というのは、従魔にとって非常に甘美なものだ。
それも、レーヴェにとってレオナ・キングスカラーとは物心つかない頃から彼の伴侶になるために人生を捧げてきた男だ。
婚約関係を差し置いても美しい相貌や低い声、分厚い身体は彼女にとってひどく悩ましいほど好ましいもので、自分を見つけた時ほんの僅かに柔らかく目尻を緩ませる姿や、優しく触れる指先や、誰も知らない温度で語り掛ける声。それらすべてが自分だけに与えられたものだと知ってからは無我夢中で彼を愛してきた。
ただでさえ心血を注いで欲してきた男。その中に熱く甘い魔力が存在するとなっては、もはや身体の芯が疼かないほうがおかしいだろう。新雪のように無垢だった少女が絆されて溶かされて、彼に夢中になるのはあっという間だった。
色気に満ちた好いた男が興奮しながら自らの身体を触れている様に、触覚のないことを恨めしく思いながらも這う舌の温度や指の太さや湿った感触を必死に妄想をしていたレーヴェだったが、そのように悶々として過ごしたために、四肢に感覚が戻る頃には、素肌で触れ合うことへの拒否感はひとつもなくなっていた。それどころか素肌を擦りつけて頬を上気させて行為を強請る、淫靡で色香溢れる女になった。
治療と身を隠すために過ごしていた湖の小屋からサバナクロー寮の自室で過ごすようになると、体力の回復やリハビリの成果も相まって積極性もぐんと増した。何せそうするとレオナが喜ぶとレーヴェはとっくに知っていたからだ。
汗のにおいを辿ってたどたどしく小さな舌が己の身を這う度レオナの中で煮え滾るどうしようもない劣情の熱を、彼女はどれだけ感じ取っていることだろう。
 
そうなっても、まだレーヴェの純潔だけは寸でのところで守られていた。
暇さえあれば肌を寄せ合って、身体のどこもかしこも触れたことなどないような状況であるために最早そんなもの薄皮一枚のあってないようなものであるが、それでもレーヴェの最奥はまだ誰にも踏み荒らされていない。つまりはヴァージンであった。
というのも、レオナは己が発した宣言を守っているのである。
討伐作戦の前日、レーヴェはレオナに関係を迫った。
湖の女神が持つ浄化効果でドラゴンの毒と呪いの浄化を行うためには己の肉体を破壊させるしか方法がなく、彼女は臆することなくその道を選んだ。そうして死地に向かう前の最後の我儘だと言い訳に託けて、勇者が持つにはささやかすぎる女という武器を手にレオナの部屋の寝台でしなだれかかったのだ。
レオナがそんな自傷行為を取り合ってくれるはずもなく、しかし彼は言った。一ヶ月後に抱くと。
もしあのまま行為に及び、人一倍逞しいレオナを受け入れれば、幼い肉体は確実に傷ついただろう。それでも構わないと縋ったのだ。その言葉が相手を傷付けると分かっていたのに。
柔らかく跳ね除けながらも誓われた約束は、死地でもレーヴェの胸の内で輝いた。未来の話を避けてきた彼女だからより一層眩しいほどに。
 
そうして現在の彼はそれを律儀に実行していた。いくら欲しいと強請っても、とうに少女の胎や心がレオナを受け入れる準備ができていても、である。
 
 
「どこがいい?」
「ン……ふふ、どこか、じゃなきゃダメですか?」
「いいや? 今夜中にどこもかしこも全部触る予定だが、どこから始めるかくらいは聞いてやるのが優しさってモンだろう」
「んふふふ。なら唇から、お願いします。優しい旦那様」
「愛しい妻の仰せのままに」
 
呼吸を乱しながら鼻先同士を摺り寄せてキスを強請る伴侶の愛らしい言葉に応えるべく、レオナは逞しい体躯を折りたたんで小さな身体に覆いかぶさった。唇が触れると薄く開いた口からは短い舌が搔い潜ってやってきて、分厚い舌に期待を示す様に纏わりついた。
絡め捕って、吸い付いて、悪戯に引っ張ってやれば、気持ちがいいのだろう、薄い水の膜が張った金色の瞳がゆらゆらと揺れていた。
レオナはこの現状を楽しんでいた。始まりは愛する少女への配慮であったものの、この愛撫という行為は想定以上に彼にとって非常に好ましいものだった。
生まれて間もない赤ん坊を自分の妻にすると決めてから、レオナはレーヴェと身を寄せ合い、抱きしめたり、キスをしたり、幼い頃からスキンシップを取ってきた。その甲斐あってか少女は触れ合うことに迷いも恐れもないまま成長してくれたし、細く小さな身を預けて腕に収まっていてくれる。どれだけ鋭い牙を持っていても、それが自分に向かないことを彼女は心底理解しているからだ。
それがベッドの上で服を剥いで、最も無防備な状態でも同じく愛らしく微笑み、可愛い唇で口付けをして、すべすべの頬で擦り寄ってきてくれているのだ。欲を吐き出すことなんかより、その信頼に応えることの方がレオナにとってよっぽど重要だった。
それこそ無理を通して彼女を貫くくらいなら、みっともなく衣服の中で漏らした方がよほど良かった。そんなことで自分を辱める者はここにはいない。
 
愛する人を拉致されて、何年も再会どころか安否すら知ることが叶わなかった。
王族であるレオナであっても幼いがゆえにできることは限られており、役に立たない身内を背にして、少女の家族であるハーマン家と手を取った。
ずっと会いたかった。会えるだけでも幸福だったのに、抱きしめて、キスができた。そうして夢にまで見た初体験なのだから、万が一にもレオナは痛い思いも嫌な感情も与えるわけにはいかなかったのだ。
それはどれだけ彼女が寛大にレオナのすべてを受け入れていてもである。
 
多少年齢差があるため、当然レーヴェより先に性に関する知識に触れたまだ少年だったレオナは、いつか彼女の初めてに触れるにあたり、当然の如く綿密な計画を練りいち早く行動することに決めていた。慎重に慎重を重ね熟慮した賢い少年は、少女に近しい侍女たちに女性の身体や習慣について詳しく尋ねたほどだった。
敢えて女性に意見を求めたのは、男性側から見ただけでは決して知り得ない情報を仕入れたいというのが主な理由だったが、同時にもしも何かあった時のフォローをするであろう彼女たちを自らの味方につけるためでもあった。まだセクハラだのと指を刺されにくい年齢である自覚や、彼女たちがレーヴェをいたく可愛がっているのも考慮した。
それを武器とし、実益が多い味方の方が重要であると考えた結果だったのだ。
幼いながらに自らのプライドや羞恥心よりも婚約者の身体を重要視して意見を求めたレオナに、当然ながら侍女たちは喜んで協力をした。主人である愛らしいお嬢様を捧げる相手が彼で良かったと感動してうっとりと涙を浮かべる者さえあった。彼女たちの協力は実に有益で、そしていっそ容赦がなかった。絶対アダルトビデオの情報だけは真に受けるなと語ったとある侍女の目はレディにあるまじき熱の入りようだった。
そうして練られた計画とは、土壌を土の成分から作るように長い年数をかけて恐ろしいことなどゆっくりないのだと教え込むことだった。
こうして信用しきって全身の体重を預け頬を擦り寄せる様子を見るに、あの侍女たちの言葉は本当だったようだと、心底感謝しながらレオナは汗で張り付いた前髪を掻き分け曝け出した狭い額に口づけた。
侍女たちが主導し、人目を避けて声を潜めて立てたその計画は叶わなかった。何せそれは幾年をずっと共に過ごせることが前提のものだったからだ。それに比べれば一月なんて駆け足どころか特急列車レベルである。
しかし操立てしていて手慣れているはずもない、俗的な情報が入りにくい立場のレオナがレーヴェの身体に問題なく触れることができていることのほとんどは、指南役の手腕でもなんでもなく、そういった経緯で得たより実際の状況に近い知識を主としていた。プライドをかなぐり捨ててアダルトビデオに頼らず良かったとレオナは心底思っている。
 
健康な男児であるレオナの男根はすぐに限界まで膨らんで、本当は途中で手や少女の股や太ももに挟んで扱くくらいでは足りない。欲望のままに最後まで犯してしまいたいのを抑えるのも、彼女を一通り可愛がった後に適当に扱くのも正直非常に辛かったが、しかしそれを嫌だとは一度も思ったことも後悔したこともなかった。
それはレオナがこの行為において、己の汚い欲を吐き出したいわけでも、己の快感のために触れている訳ではなかったからだ。得られるものに比べたらどうでも良い些事でしかなかったし、そんなもののためであったら、そもそも少女の無垢な素肌に触れたりはしなかった。
彼女もまた心底自分を求めているのが分かったから、それが嬉しかったから、すべてを叶えてやりたかった。
潤んだ瞳で視線を寄越して、淡い唇でキスを強請って、頬と肢体を桃色に染めて、身体よりも先に熟した甘く柔らかい心を無防備に開け放してくれたのだ。この多幸感に勝る快楽など存在するはずもなかった。
 
「レーヴェ、レーヴェ、気持ちいいか?」
「レオナさまぁ……あ、あ、きもちい、んん……」
「そうか」
 
処理するまでもなく陰毛も生えていない少女の腹の更に下、小指の先さえ入るかどうか分からなかったレーヴェの膣はすっかりほぐされ、レオナの太く長い指が肉を搔き分けバラバラに動いても快感として受け止められるようになっていた。
小さいながらも触って弄んでくれと言わんばかりにふっくらと膨れて主張する秘芽を余った親指で撫でて褒めてやれば腰が跳ね、膣の肉が指を締め付け更なる快感に甘い嬌声があがった。
こうなるとその細い身体はどこに触れても快楽を得られるらしく、レオナは膣中の指を優しく揺らしながらも臍や膝裏、脇などに口づけ、舐めて、柔く噛んで褒め倒した。
 
「レーヴェ、教えてくれ。次、お前は俺にどうされたい?」
「あ、……下、した、舐めてほしい……」
「ああ、喜んで」
 
小さく細いレーヴェにレオナの太く逞しい身体で跨ると、自然と大きく股が開かれ全てが晒されてしまう。
右の太ももを支え汗でぴったりと張り付く柔らかさを堪能しながら舌に唾液をたっぷり乗せて秘部に這わせる。魔力を含んだそれは敏感な皮膚に触れれば媚薬にほど近く、ゆっくりと幾度も動かして舐めてやればたちまち絶頂がレーヴェの背筋を駆け上がった。
しかし愛しい伴侶からかわいくおねだりをされたからには、この程度で終わるわけにはいかないというもの。レオナは指で奥を刺激しながらも花芯や舐めては擦って吸い上げて、蜜の甘さと快感に打ち震える愛らしい嬌声や甘い吐息に酔いしれた。
見上げた顔には汗が浮かび長い睫毛には涙が絡みつき、瞳は潤み、レオナが肌に触れるたびに眉間がぴくぴく反応し、常に梳かされている髪はすっかりくちゃくちゃで乱れているはずなのに、それでもレオナの目に映るレーヴェはなお美しかった。
 
「お前のここはいつもいい匂いがするな」
「あ、あ、そんなこと」
「ああ、そうだな、きっと俺だけが知っているんだろう。こんなに美味そうないい匂いがするなんて、俺を誘うためか、はたまた正気でも奪おうとしてるんだろ?」
「んん、レオナさま、」
「安心しろ、今日もちゃんと満足するまで舐めてやる」
「はい、」
 
この満足、という言葉の主語は勿論「レオナが」である。
妻から溢れる極上の甘い蜜を満足いくまで舐めては吸って、可愛い顔を堪能して、小さな芽を舌で転がして、膣の壁の一番敏感なところを何度も擦って、どこを触ってもとろけるように快感を生むよう躾けられた身体を一晩中啜り尽くして、そうしてようやく満足という感覚に足がかかるのだと、レーヴェは毎晩思い知らされていた。
しかし今晩は、昨晩とは少しだけ事情が違った。
 
「レーヴェ、まだちゃんと聞こえるな?」
「はい」
「いいか。これから中を解してから、先に一度出して擦り込んで、何度かイかせる。魔力が全身に行き渡って少々しんどいだろうが、できるだけ気をやるなよ」
「……はい」
「そうしたら、ようやく、お前を抱くんだ」
「あっ……、はい……はい、レオナさま」
 
あの約束から一ヶ月。レーヴェの誕生日から丁度三十一日。レオナにとってどんなことよりも特別な日。今日が丁度その日であった。
つまらない日常からただ逃げ出すために、母の腹にいる頃から決められた婚約者候補がいるのだという噂を利用して辺境の地を訪れた。
覗き込んだベビーベッド、清潔なシーツにくるまれた小さな命。可愛いのかどうかもよくわからないと思っていたはずなのに、すぐにその瞳の輝きに魅入られた。興味が湧いて、たまらないほど触れたくなって、小さな唇に口付けた。
あの日のことを、レオナは昨日のことのように覚えている。
 
あれから十七年の時が経過して、あの握りつぶしてしまえそうな小さな赤子は少女になり、女になり、それなのにあの時のようにベッドに横たわって、無防備なまま無邪気なまま自分の手のひらや口付けを受け入れている。
どうにかなってしまいそうだったし、既に頭の何処かがどうにかなってしまっているのかも知れないと思った。
レオナが吐き出した熱い息が敏感になった皮膚に触れて、それすらも心地がいいのか、頬を染めて震える小さないきもの。
たまらなくなって股に埋めていた顔を上げて身体を起こして身体に両腕でぴったりと巻き付いた。首筋に頬を擦り付けてわざとらしいリップノイズを響かせて唇を落とし甘えるような仕草をすると、くすくすと愛らしさだけを集めて甘く煮詰めてつくられた声がして、細い腕が抱きしめ返して頭を撫でてくれた。
 
「レーヴェ、俺が好きか?」
「ええ、あなたが好き」
「そうか」
「好き、すきよ」
 
わざわざ好きという言葉を言わせたのは、その短く可愛らしい響きを聞きたかったからだった。
すこぶる愛情表現豊かになるように可愛がって育てたので、二人が身を寄せ合って愛を語らわない日はない。だが、常に尊敬と敬意を込められた丁寧な言葉を選んでくれる彼女が時折含ませてくれる少女らしい言葉の音がたまらなく愛らしく、何度も求めてしまうのだ。
その愛嬌と従順さを褒めてやるように顔や身体のそこかしこにかわいこぶりっこの軽いキスを贈ると、慣れ親しんだ行為に目尻は緩み、口元が綻んだ。頬をなぞり輪郭を辿る。
指先が唇に行き着くと二つのシトリンがきらりと輝いてレオナを誘った。美しい導きに抗えるはずもなく、誘われるままに覆い被さり口を塞いで口内の熱を貪った。
 
「……レーヴェ、いいか」
「はい、レオナ様」
 
丁寧にすっかり解された膣の入り口に、大きくて熱い男性器が宛てがわれる。
レーヴェがそれに触れるのは初めてではない。陰核にそれを擦り付けられ、快感で涙が浮かんで喉が枯れるほど喘がされることもしばしばあったし、どこからか得た知識にあった手や口で奉仕をさせて欲しいとおねだりをしたこともあった。中に挿入せずとも、欲を吐き出したあとそのまま秘部に刷り込まれることもあった。
性行為を綴った本のようにその男性特有の部位を恐ろしいと感じることはなかったのでその通りに伝えたら、レオナは小さく「そうか」とだけ、相槌を打った。
ああ、安心してくれたのだ、とレーヴェはすぐにわかった。レーヴェにとってのレオナはいつだってそういう男だったからだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翌朝、レオナの腕の中で目覚めたレーヴェが覚えているのは断片的な記憶ばかりだった。
そのどれもが激しく美しく、特に達した時の表情や滴る汗は、これまで見たこともないほど官能的であった。
時間をかけて散々慣らされたせいなのか魔力のせいなのか、処女喪失に痛みや苦痛が伴うことはなかった。
数本の指では足りないほどの太さのものが腹の中を圧迫し、身体の中心からすべての神経が暴かれたが、事前に唾液や精液をたっぷりと身体の奥に注いでから挿入したこともあり、与えられるすべてのものが甘く痛烈なほどの快楽として変換された。
レーヴェは思った。こんな素晴らしいことなら、もっと早くおねだりしておくべきだったと。
 
彼女を好き勝手した目の前の男は眠っているだけなのに、不思議とすこぶる満足そうに目に映った。
すっかり眠っているはずなのに小さな妻を決して腕から逃すまいとしている様は、まるでお気に入りのぬいぐるみを離さない子供のようで、そういえば彼は自分を安眠抱き枕と称していたはずだが、この様子だと案外間違ってはいないのかも知れないと思った。昨晩の色気に満ちたこの世で並び立つ者のない、唯一無二の美しい男と同一人物だと思うと、レーヴェは少し不思議な気持ちになった。
 
挿入してからのレオナはレーヴェの乱れる様を一層うっとりと見つめていた。
熱く柔らかい肉が男性器をきゅうきゅうと締める心地よさは格別で、衝動に任せて好き勝手してしまいたいのを抑えながら、感じたことのない快楽に震える小さな少女の姿を余すことなく記憶することに集中していた。
従魔契約は彼らが行為を行うにあたって非常に大きな恩恵だった。女の中は伴侶を受け入れるために存在するためであるからか、精液を刷り込むと他の体液以上に具合が良かったのだ。
レオナは一際体格が良く、当然それに男性器も釣り合う大きさをしていた。
ゆえに未熟な小さな穴で性行為が可能か心配していたのだが、ただの体液がまるで何かの薬かのように彼女の身体をほぐしてしまうので、小指一本を入れるだけでも一苦労かと思っていた頃が嘘のように、早く慣れさせることができたのだ。
生まれてこの方受けたこともない甘い快感を逃がすこともできず、レオナに縋りながらふるふると震えて喘ぐ様はレオナにとって可愛くも少しかわいそうに思えるほどであったが、魔力の補填もあり肉体に体力はなくとも辛いということはないようだった。傷を負ったり、苦しんだりするより、ずっといい。
そうして何の憂いもなく毎日愛されてほぐされてきた身体はより一層可愛がられ、深く揺さぶられ、最奥を貫かれ、幾度も絶頂に浸った。
吐精により増した快感の中で高濃度の魔力が魔力導管を通して全身に駆け巡る、いつも冷えていたはずの身体は燃えるような熱を帯び、足りなかったものがすべて満たされてからようやく、自分がずっと飢えていたことを知らされた。
そうしてレーヴェは微睡によく似たぼんやりとした思考の中で気付いてしまった。
この充足感を知ってしまったら、きっと二度と元には戻れないこと、レオナがいる限り自分は不足することは決してないのだろうという時分ではもうどうしようもない幸福な事実に。
 
 
 
レーヴェはぼやける思考で状況を確認していた。
まず、肉体には痛みがあるかどうか。不具合は起きていないかどうか。
強固な契約を結んだ使い魔でもあるレーヴェは、レオナに肉体的不調を隠せない。事前に調べたように腰や股の不快感が残ってしまえば、確実に気を遣うだろう。そうでなくともここのところのレオナはレーヴェに対し殊更過保護を尽くしているのだ。
眠ったあと一通りの後始末をしてくれたのか、レーヴェの身体は汗も綺麗に拭かれていて、もみくちゃになっていたはずのシーツも事前に準備しておいた清潔なものに交換されているようだった。
自他共に認める面倒くさがりのくせに、汚いものが嫌いで、乱れたものが妻に触れるのは断固として気に入らない。こうもありありと手厚く可愛がられてしまっては、好きにならないほうが難しいというものだ。
平生と違うところと言えば、つい数時間前まで腹の奥に膨れ上がった男性器が入っていたことによる余韻があることと、中に残っていたであろう精液が溢れているということくらいだ。調べていた一般的な初夜の女性の状況に対する情報と比較しても、体格差がある二人の初夜はかなりうまくいったということを確信し、レーヴェはにんまりと一人口角を上げた。
きっとひどく痛かったりしたら、過保護なこの男が次触れてくれる機会は随分先になってしまう。
ずっと待っていた機会をようやく手に入れたというのに、今更待てをされるのも、彼が傷付くのも嫌だったからだ。自分が無事で、それどころかこの行為に満足していたら、次を欲していたら、きっとまた自分をめいっぱい甘やかしながら触れてくれるからだ。
 
どれほど触れ合い、どれほど眠り、どれほどそうしていただろう。
太い腕に囲まれながら綺麗な寝顔を観察する以外にすることがないレーヴェは窓の外を伺った。広いレオナの部屋の窓は硝子が張られておらず、魔法で防音防塵されている以外はウッドブラインドのみが外界との遮蔽物が存在していないかなり開けた空間になっている。隙間から差し込む日差しの角度からして恐らく昼頃であろうと推測した。
終わったのが何時頃だったかすらも曖昧だったが、学校が終わって、軽い食事を取って、少し語らって、執拗なほどの愛撫をしてから、挿入の後も動き始めるまでかなり時間をかけていたはずとレーヴェは記憶している。
それから熱がついたように更に何度も何度も求めあって快感に浸ったので、恐らく夜が更けるまで行為は続いたのだろうと予測した。
睡眠をさほど必要としない肉体が休眠を取ったということは、それだけの疲労感はあったのだろう。レーヴェ・ハーマンから作られた肉体はまだ酷く痩せていて、まるで体力がない。魔法で補強しなければ数十分歩くだけで座り込んでしまいたくなるほど脆弱で、本来は契約を抜きにしても性行為なんて以ての外だ。
それがかなり激しい行為であったにも関わらず疲労感がないどころか充足しているということは、少なくともレオナはレーヴェの中にかなりの体液を吐き出したのだろう。十三歳で止まっているはずであるが痩せているため十歳と言われてもおかしくない身体だ。色気がないと認知していたはずの自分の身体で好いた男が反応し、満足したであろうという事実は、レーヴェに多くの意味と感情を齎した。
 
「………レーヴェ……?」
「はい、レオナ様。あなたのレーヴェです」
「……起きてたのか」
「ええ、おはようございます。よく眠れましたか?」
「ああ……お前がいたからな……」
 
見つめていた薄い瞼の中から、出る日のように眩しいペリドットが現れた。
寝起きでまだ脳が覚醒していないのか鈍い光と少し掠れた声はどこか色気があり、無意識なのか意識下なのか、柔らかい肌が心地よいのか腕の中の温かい塊に額や頬を擦り寄せた。寝顔も、寝起きの姿も、隙だらけの無防備を独占できる朝が、レーヴェはとても好きだった。きっと自分はこのために早起きをできるように生まれてきたに違いないと思うほどに。
 
「……からだは」
「お腹に少しだけ違和感がありますが、すごく元気ですよ」
「……そうか」
「ええ、わたし、幸せです」
「そ、か……」
 
二度、三度、瞬きをしてから、耐えきれなくなって再び長い睫毛が頬に影を落とすと、そのまま眠りについた。
それが安心したかのように見えたのがうれしくて、かわいくて、レーヴェは思わずうふふと声をあげてぎゅっとその頭を抱きしめた。細い腕の中に世界で最も美しい命が在った。名実ともに己の全てが彼のものになったという事実に、レーヴェはすっかり浮かれていた。
 
「わたし、あなたがすき」
 
たまらなくて、額にキスをした。
気を遣ってだろう、昨夜はかなり余分なほどに魔力を消費していたようだ。まだ眠っていて欲しかったから、唇はお預けだ。
腕の中ですっかり気が抜けた顔で眠るレオナの穏やかな寝息に耳を澄ませながら、レーヴェはもう一度小さな笑い声を漏らした。
 
寝坊助なあなたは知らない。あなたが眠っている間、あなたが目覚めるまで、あなたの腕の中でわたしがいつも何を考えているか。
あなたとともに過ごす時間と同じくらい、あなたを待つ時間がわたしにとっては特別だということを。
あなたは起きてから一言目はどんな言葉を発するだろうとか、髪がやわらかいから付きやすい寝癖のかたちだとか、そういうことを考えて過ごすあたたかい布団の中は、わたしにだけ与えられた幸運な時間だ。
早く目を覚ましてほしいし、もう暫く期待に胸を揺らすこの時間が続いてほしい。どちらにせよわたしがあなたが隣にいることだけが確約されているという、恐ろしく贅沢な事実だけが存在している。
きっとあなたもその寝顔を見ることができたら、この感情を理解することができるはずだ。
 
しかしそう経たないうちに本当に目を覚まさなくてはならない。レーヴェは部屋に置かれた時計を目で探った。
実は昨夜、ラギーに朝食の給仕をするよう依頼していたのだ。従魔契約をしており魔力不足に陥っている以上、性行為のもののついでと言えどもレオナに相応の魔力を消耗させてしまうであろうことはレーヴェも分かっていた。そういう時、最も単純で健全に外部から魔力を補給できる食事を抜かせるわけにはいかない。
それに何より、せっかくとろとろの半熟に焼き上げてもらったサニーサイドアップを冷ましてしまうのは非常にもったいないだろう。
 
シーツにくるまってだらだらと過ごす誘惑に負けてしまいたい気持ちはあったが、朝食がやって来るまでにシャワーくらいは浴びておきたかった。
行為があったことを他者に知られることそのものに羞恥心を抱くほどでもないが、流石に事後そのまま状態で青少年を出迎えるほど最低限の品性までは死んでいないし、匂いを察知されるのも気味がいいものではないだろう。
どれだけ寝坊助でも怠惰でも、近頃のレオナはレーヴェを太らせることに非常に熱心なので、自分がほんの少し子猫を被って強請れば嬉しそうに体を起こしてくれるだろうことをレーヴェは知っている。
レオナはレーヴェを愛している。
そしてそんなレオナは、絵に描いたようにレーヴェを可愛がる行為が好きだ。きっと起こしたら疲労感がないにも関わらず、大欠伸をしながらも風呂場に抱えて行って温めてくれるだろうし、ブランチを手ずから食べさせてくれるくらいはするだろう。そしてレーヴェはこれを甘んじてすべて受け入れる。それを受け入れることが、最も喜ぶのを知っているからだ。
 
二人の特別な部屋に、香ばしいベーコンとコーヒーの香りに包まれて始まる、少し遅い朝が近付いている。